表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/55

1-2

 と、城島さんは突然千可ちゃんの両手を掴みました。

「あなたが私に取り憑いてた悪霊を追い払ってくれたのね!」

「ええっ?」

 まさにその通りなのですが、千可ちゃんにしてみれば、絶対気付かれないようにやったつもりなので、これは意外でした。

「私、この前幽霊が出ることで有名な廃ホテルに行ったんだけど、それからずーっと体調が悪かったから、きっと廃ホテルで悪霊に取り憑かれたんだと思うの。お払いしてもらおうと考えてたんだけど、助かったよ。

 そうだ、あなた、部活は?」

「え、え~と、帰宅部ですけど・・・」

「じゃあ、オカルト研究会に入ってくれない?」

「ええっ、オカルト研究会ですか?」

 千可ちゃんは大いに困りました。実は千可ちゃんにはいろいろと制約があるのです。


「ただいま~」

 千可ちゃんが自分の家に帰ってきました。こちらの家も住宅街にあるふつーの一軒家です。

 千可ちゃんは靴を脱いで玄関に上がりました。壁1枚隔てた居間では、お母さんがテレビを見ています。

 お母さんは千可ちゃん同様ミニミニな身体ですが,それ以外は正反対です。顔はとても美人で、眼は異様に大きく、それがお母さんを若く、いや、幼く見せてます。お母さんはすでに30歳を越えてるのですが、一見してまだJK、高校生に見えます。千可ちゃんと同級生だと偽りを言ったら、ほとんどの人が信じてしまうほどの幼さです。

 髪の毛も針金ヘアの千可ちゃんとは真逆な、ピーンとしたストレートヘア。これを腰のあたりまで伸ばしてました。両耳のところには小さな三つ編みが見えます。これが幼く見えるお母さんをさらに幼く見せてました。

 ただ,胸の方はかなり残念な膨らみでした。これだけは千可ちゃんが勝ってました。

 ちなみに、お母さんの名前は美可。名前も美人でした。

 お母さんは千可ちゃんの帰宅にはあまり興味がないらしく、テレビを見たまま、おかえり~と言うだけでした。が、ふと何かに気付いて、さっと立ち上がりました。

「千可ーっ!」

 お母さんは突然大きな声を発しました。それを聞いて廊下の千可ちゃんはびびりました。ドアがバーンと開き、お母さんが飛び出してきました。お母さんは千可ちゃんのところに急ぎ足で来ると、右手を大きく振り上げ、千可ちゃんのほほに思いっきりビンタを喰らわしました。千可ちゃんの小さな身体はその威力で数メートル吹き飛び、無残にも床に転げました。お母さんはその千可ちゃんに向かって声を張り上げました。

「あなた、力を使ったわね!」

 千可ちゃんは張られたほおを押さえながら、上半身だけ起こしました。

「ご、ごめんなさい・・・」

「どうして? いったいどうして? あれほど使うなと言ってたのに!」

 そのお母さんの詰問に千可ちゃんは何も返答できません。お母さんは詰問を続けました。

「あなたのおばあちゃんはね、霊能力のせいで自殺したのよ! あなたも自殺したいの?」

「そ、そんなことないよ・・・ 今日クラスメイトに悪霊が取り憑いてたから、取り除いただけだよ・・・」

 千可ちゃんは声にならないほどの声で返答しました。お母さんははーっとため息をつきました。

「わかった。もう2度としないで。あなたの友達が悪霊に殺されても、あなたにはな~んの関係もない。これからはそう思って!」

 千可ちゃんはうんとうなずきました。そしてとぼとぼと2階の部屋に消えて行きました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ