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2-7

 再び病室です。しゅんとしてしまった千可ちゃんがぽつりと言いました。

「あのときお母さんは、私の顔を見た瞬間、いきなり私の顔を引っぱだいた。なんで私、引っぱだかれたのかわからなかったけど、こんなことがあったんだ・・・

 お母さん、私どうしたらいいの?」

「わかんない。私、生き霊を飛ばしたことがないから・・・ けど、このままだとあなたはずーっと無意識のうちに人を殺し続けることになるわね。なんとかしないと・・・」

 お母さんはふと病室に設置されてる時計を見て、はっとしました。

「あら、もうこんな時間・・・ そろそろ出ないと閉められちゃうわね」

 お母さんは立ち上がり、

「それじゃ、また明日」

「うん、お母さん、ありがとう」

 お母さんはドアを開け、出て行きました。お母さんが帰ったあと、千可ちゃんはオカルト研究部の部室で読んだオカルト本を思い出しました。その本によると、生きてる人間は肉体・霊体・幽体の3つの身体からできてるようです。今回千可ちゃんが飛ばしていたのは霊体。通常霊体は意識してコントロールすることはできないようです。霊体をコントロールしてるのは無意識。では、無意識とは何か?

 無意識とは意識の上にあるもので、意識ではコントロールできないものです。逆に意識は常に無意識にコントロールされてるようです。だとすると、霊体はコントロールできません。けど、霊能力者の一部には、霊体をコントロールしてる人がいるようです。なら千可ちゃんでもコントロールできるかもしれません。

 さらに千可ちゃんは幽体にも注目しました。幽体は霊体と肉体の中間のような存在で、こちらはコントロールしようと思えばコントロールできるようです。ここで千可ちゃんの脳裏にある作戦が思い浮かびました。

「ふぁ~・・・」

 千可ちゃんはふいに大あくび。千可ちゃんは今強い鎮痛剤を飲んでるせいで、急に眠気が襲ってきたようです。

「お休み」

 と言うと、そのまま眠りについてしまいました。


 ここは別の病院の病室です。戸村の母親が眠らされてます。その手には点滴の針があります。ベッドの脇にはパイプ椅子があり、そこには半透明な戸村が座ってます。その目はかなり厳しく光ってます。戸村は寝ずの番で母親を守る気でいます。ま、幽霊だから眠る必要はないのですが。

「くっそーっ、早く来いよ! ぶっ潰してやるからさあ!」

 と、壁の一角にふわ~っと人型の影が現われました。

「来た!」

 その影が千可ちゃんの生き霊となりました。相変わらず目が不気味に光ってます。

「ク~ククク」

 戸村は千可ちゃんに殴りかかりました。

「お前の好きにさせるかーっ!」

 すると千可ちゃんはさっき撃ったものと同じ白い光りを放ちました。白い光りが戸村に向かっていきます。が、戸村はニヤっと笑いました。

「ふっ」

 白い光が当たる寸前、戸村の姿はぱっと消え、次の瞬間、千可ちゃんの真後ろに現われました。

「バカめ、オレだって幽霊になってんだよっ!」

 戸村の両手が千可ちゃんの首を掴もうとします。けど、その手は素通りしてしまいました。

「へっ?」

 千可ちゃんが笑いながら振り返りました。

「ケーケケケ!」

 千可ちゃんがショートレンジで白い光りを放ちました。

「うぎゃーっ!」

 戸村は吹き飛ばされ、背中から壁に叩きつけられました。すると壁から手が2本すーっと現われ、戸村の両二の腕を掴みました。

「な、なんだよ、これ?」

 戸村は2本の手で壁に縛り付けられてしまいました。

「くっそーっ、離しやがれーっ!」

 千可ちゃんの手にはいつのまにか抜き身の脇差が握られていました。そしてその刀を戸村の母親の真上で大きく振り上げました。

「やめろーっ!!」

 悲鳴にも似た戸村の叫びを聞いて、千可ちゃんはおちょくるように笑いました。

「う~ひゃ~ひゃひゃひゃ!」

 が、ここでふいに別人の声が。

「もう、そのへんにしておいてよ!」

 千可ちゃんははっとして振り返ると、そこにはなんともう1人の千可ちゃんが立ってました。これには戸村もびっくり。

「な、なんじゃこりゃあ~?」

 もう1人の千可ちゃんは目も正常だし、右ほほにはガーゼが貼りつけてあります。そうです。これは千可ちゃんのコントロール下にあるもう1人の千可ちゃんの生き霊、正確には幽体離脱した千可ちゃんです。なんと今この空間には、千可ちゃんの幽体と千可ちゃんの霊体が同時にいるのです。

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