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2-6

「う、うう・・・」

 千可ちゃんが目覚めました。ここは病室のベッドの中です。左ほほのガーゼはそのまま。ガーゼの下の大きな腫れもそのままでした。

 千可ちゃんはふと右手に温かい圧力を感じました。千可ちゃんは右手側を見ると、そこには千可ちゃんのお母さんがいました。お母さんは千可ちゃんの右手を両手で握り、千可ちゃんのケガが早く治るよう、霊的なエネルギーを送ってたのです。

「お母さん」

 お母さんは微笑み、語りかけました。

「ようやく目覚めたようね」

「ずーっとここにいたの?」

「ふふ、10分前から。ごめんなさい。こんなに遅れちゃって」

 千可ちゃんの顔が急に泣き顔になりました。

「お母さん、私、人を呪い殺しちゃった・・・」

「泣かないで。私もあなたと同じ能力があったら、きっと呪い殺してた。あれは正当防衛よ」

「で、でも・・・」

「それよりも、千可、あなた、今、生き霊を飛ばしてたわよ」

「ええ?」

「知らないところをみると、やっぱ自分じゃコントロールできない生き霊だったか・・・ 止めておいて正解だったようね」

 どうやらお母さんは、千可ちゃんの生き霊を止めてくれたようです。

「ど、どこに行ってたのか、わかる?」

「さあ、そこまでは・・・」

 でも、千可ちゃんはどこに飛んで行ってたのか、だいたいわかってるようです。

「あなたが生き霊を飛ばすのは2回目だけど、この調子だと1回目も覚えてないようね」

「えっ?」

 千可ちゃんはそのお母さんのセリフにびっくり。お母さんは話を続けました。

「城島さんが拉致られたとき、拉致した男はトラックに轢かれて死んだけど、あれ、あなたがやったのよ」

 千可ちゃんの身体に衝撃が走りました。私はすでに1人殺してる。その事実を聞いて千可ちゃんはパニックになりそうです。


 これはあの日の夜のことです。お母さんは愛車に乗って家に帰る途中でした。が、そのとき千可ちゃんの霊的エネルギーを感じました。それはただならぬエネルギーでした。

 お母さんはその霊的エネルギーを辿ることにしました。そしてあのマンションを発見したのです。

 お母さんはそのマンションとは反対側の車道の脇にクルマを駐めました。ちょうどその時、マンションのエントランスから城島さんを拉致した男が出てきました。男は両ひざの上に掌を置き、激しくなった息を整えてました。

「はぁはぁはぁ・・・ くっそーっ、どうしてあんなところに幽霊がいるんだよ!」

「ククク・・・」

 その笑い声で男はびっくり。なんとエントランスの自動ドアの前に半透明の千可ちゃんが立ってました。その両目は異様に光ってます。そうです。これは千可ちゃんの生き霊です。男は慌てて後ずさり。

「こ、こんなところまで・・・ くっそーっ!」

 が、男はすぐにガードレールに詰まってしまいました。

「くっ!」

 男はガードレールを乗り越えようとしました。その瞬間強烈なヘッドライトとクラクション。見ると右側から1台のトラックが迫ってきてました。

「ちっ・・・」

 男は当然のように動作を止めました。が、次の瞬間千可ちゃんの生き霊が男の背中を押しました。

「うっ?」

 男の身体がアスファルトに転がりました。そこにトラックが。

「うわーっ!」

 グシャッ!

 この光景をずーっと見ていた千可ちゃんのお母さんは、かなりの衝撃を受けました。娘の分身がたった今1人の命を奪ったのです。

 人が集まってきました。お母さんはここにいたらまずいと思い、クルマを発進させました。

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