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2-2

「羽月さーん!」

 千可ちゃんがその声で振り返ると、教室の入り口のすぐ外に城島さんが立ってました。帰りのホームルームが終わった直後のことです。

「あ、城島さん」

 千可ちゃんはカバンを持って慌てて城島さんの元へ走りました。

「は、早いですねぇ。帰りのホームルームは終わったんですか?」

「ふふ、うちのクラスの先生は、何をやっても早いんだ」

 千可ちゃんと城島さんは廊下を一緒に歩き始めました。が、そこに森口くんが現れました。千可ちゃんはちょっとびっくり。

「あれ、森口くん?」

 森口くんはいつものようにもじもじと話始めました。

「あ、あの~ 羽月さん・・・」

 森口くんのセリフが終わってないのに、千可ちゃんは即答です。

「あ~ ごめん、今日は部活だから」

「そ、そうなんだ・・・」

 森口くんは苦笑いです。と、森口くんはもう1回千可ちゃんに質問しました。

「ぼ、ぼくもその部活についてっててもいい?」

「う~ん・・・ ちょっと特殊な部だけど?」

「か、構わないよ!」

「じゃあ、ついてきて」

 千可ちゃんと城島さんは、森口くんを引き連れて歩き始めました。今度は城島さんが森口くんに質問しました。

「あなた、羽月さんの彼?」

 森口くんの顔が急に赤くなりました。

「そ、そんなものじゃないですよ!」

 森口くんはもじもじしながら応えました。けど、どっからどう見ても千可ちゃんに恋愛感情大です。もちろん、千可ちゃんもそれに気付いてます。千可ちゃんだって乙女です。恋に憧れてます。でも、森口くんはまだその対象には至ってないようです。


 ここはオカルト研究部の部室です。余った教室を使ってるようです。オカルト研究部だから魔女の大釜とか護符とか置いてあるような気がしますが、そんなものはまったくありません。ただ、大きな書庫があり、そこには怪しい本とDVDがたくさん並んでました。

 ドアが開き、千可ちゃんと城島さんと森口くんが入ってきました。

「こんにちは」

 中には浜崎さんと福永さんがいました。

「こんにちは」

 と、浜崎さんが森口くんに気付きました。

「きみは?」

 千可ちゃんが応えました。

「森口くんです。入部希望者ですよ」

 あれれ、千可ちゃん、森口くんは入部希望なんて一言も言ってませんよ? でも、森口くんはこう応えました。

「も、森口です! よろしくお願いします!」

 どうやら森口くんもその気があるようです。それを聞いて福永さんは大喜びしました。

「ほ、ほんと? 歓迎するよ、ありがとう!」

 実は浜崎さんと蓑田さんがほんのささいなことで大ゲンカしてしまい、それ以来蓑田さんは部室に来なくなってしまったのです。もし蓑田さんが正式に退部届けを出したら、オカルト研究部は4人となり、また同好会に逆戻りです。だからこのタイミングで森口くんが入部してくれると、オカルト研究部はたいへん助かるのです。

 けど、森口くんには疑問がまだ1つ残ってるようです。

「あ、あの~ ぼく、男だけど、入部していいんですか?」

 そう言えばオカルト研究部は全員女子です。けど、浜崎さんはこう答えました。

「あは、いいよいいよ、去年は男子が3人いたから、な~んの問題もないよ」

「よ、よかったぁ」

 森口くんはちょっと安堵です。

 いよいよ部活動開始。今日は同じ県にあるみみずく神社の話題です。

 この神社、絵馬を奉納すると願いが叶うことで有名なのですが、最近○○死ねと書かれた絵馬が幾度となく奉納されてました。しかもその絵馬をカメラで撮影すると、かなりの確率で心霊が写るとか。その噂が広がると、みみずく神社の祢宜(ねぎ)さんは絵馬を逐一チェックするようになりました。けど、それでもたま~に呪いの絵馬が奉納されてるようなのです。

 オカルト系の雑誌にその絵馬の写真が載ってるのですが、その呪いの絵馬の真後ろに女の子の顔があります。まるでそこに生きてる女の子を立たせて撮影したような写真です。けど、その女の子は首の途中から透明になっていて、肩は写ってません。

 浜崎さんがその写真をみんなに提示しました。

「これがその写真よ」

 それを見て城島さんは興味津津。

「これはすごい・・・」

 けど、森口くんはビビりました。

「うわっ!」

 浜崎さんが心配したようです。

「きみ、大丈夫?」

 さらに福永さんがこう発言しました。

「この程度でビビっちゃうの? これより怖い写真はここにはいくらでもあるんだよ」

 森口くんは苦笑いしながら、

「だ、大丈夫ですよ。あははは・・・」

 ちなみに、千可ちゃんはこれを生き霊と判断しました。もちろん、そのことは口にしてません。

 今日は金曜日。明日は土曜日。オカルト研究部はこれを確かめに、明日みみずく神社に行くことにしました。

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