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その上司、俺様につき!  作者: 皇ハレルヤ
謎解きは定時後の会議室で
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第06話

「し、知らなかった……」

呆然と答える私に、久喜さんは当たり前だとでも言いたげに頷いた。

「社内でも俺と社長と……役員の一部しか知らされていなかった計画だからな」

そこでふと、ずっと聞きたかった質問を私は思い出した。

「……久喜さんって、社長とどういう関係なんですか?」

ずばり、単刀直入に尋ねる。

「あー、うん、なんだ……」

すると、今までとは打って変わった、なんとも歯切れの悪い反応が返ってきた。

ここまで全てを打ち明けてくれているのに、これだけ教えてくれないなんてありえない。

「……はぐらかすおつもりで?」

ドスの効いた声で答えを強要すると、しぶしぶといった体で久喜さんが白状した。

「―――あれは俺の親父だよ」

「お、お父さんなんですか!?」

まさかの回答に驚きを隠せず、彼の腕の中だというのに跳ね上がってしまう。

「あー……なんと言うか、前の親父だ」

なぜか一瞬、久喜さんはバツの悪そうな顔になった。

そして、私が理解できるように、噛み砕いて丁寧に説明をしてくれた。

「中学に上がる頃にうちの両親は離婚したんだが、俺は母親に引き取られた。それからすぐに母親は再婚して、俺には新しい親父ができた。だから特に、今は関係がないといえば関係はない」

「で、でも……実のお父さんは……」

「そうだな。血のつながりがあるのは、あっちの親父だな」

思わず、ほう……とため息が出てしまった。

社長と久喜さんの掛け合いを見る限り、険悪な仲にはとても見えなかった。

でも多感な時期に両親が離婚してしまったことで、久喜さん的には複雑な思いを抱えているのかもしれない。

(会社の役員に親族がいるっていう噂も、あながち外れてはいなかったのかも……)

「まぁでも、社長のことは俺という人間を見るにあたって、それほど関係ないと思っている」

血の繋がった家族だというのに、久喜さんは社長の話になるととたんに素っ気なくなる。

やっぱり何か思うところがあるのだろう。

「でも、社長は久喜さんのこと、すごく信頼しているみたいでしたよ?」

人様の家庭の事情にまでズカズカと土足で上がりたくはないが、社長室でのやり取りを思い出してみても、そのことについてだけは自信を持って言える。

「……あとを継ぐ気はないよ。部屋でコーヒーを淹れることだけが楽しみの老後なんて、なんの張り合いもないだろう?」

軽く鼻で笑い飛ばしながらそう言うと、彼は私の体を抱きしめ直した。

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