表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その上司、俺様につき!  作者: 皇ハレルヤ
謎解きは定時後の会議室で
86/98

第01話

心と体は繋がっている。

私は今日ほど、それを実感した日はない。

「ふう……」

つい先ほど、本日最後の面談を終えた。

私はすっきりした気持ちで、手にした資料をトントンと揃える。

「お疲れさまでした!」

そしてにこやかに、机を挟んだ目の前でぐったりしている久喜さんに声をかけた。

「……女性は、強い生き物だな」

感心と唖然のちょうど真ん中を取ったくらいの調子で、彼はボソッとつぶやく。

私は社長のコーヒーのおかげもあってか、あれほど酷かった二日酔いの症状はさっぱり消えていた。

久喜さんに関する心配事が、ほぼほぼ解消されたことも大きかったと思う。

一方彼の方はというと、今朝も具合が悪そうだったが、現在はそれに輪をかけて辛そうな様子だ。

面談用の会議室は白い壁に白いテーブルと、殺風景な雰囲気なので、余計に彼の顔色の悪さが際立ってしまう。

「今日は、早く帰られた方がいいと思いますよ?」

心配そうな声音で助言すると、久喜さんが視線を上げて私を見つめる。

その瞳には、まるで聖母や女神を崇拝するような、感謝が満ち溢れていた。

「遠藤……」

「―――と言いたいところですが」

パッと明るい顔になった彼をあざ笑うかのように、私は手のひらを返して言った。

「今朝のこと、きっちり説明してください!」

本日は急遽、午前の面談のスケジュールを全てキャンセルしてしまったため、そのしわ寄せが午後にドッとやってきた。

今日以外にも都合がつく人は別の日に面談の予定を組み、予定が詰まって動けない人は何とか午後にスケジュールをねじ込んだ。

私が出勤しなかったことが予定が押した最大の原因だが、久喜さん自身も自分に非があると自覚していた。

そのため、午後からは2人して遮二無二働いた。

もしかしたら今日だけで、1週間分以上の実績をあげたかもしれない。

そんな激務を終え、彼の表情は今すぐにでも帰りたいと訴えていた。

でも、そんなことが許されるはずはない。

はぐらかされたままになっている社長室での出来事を、洗いざらい白状してもらわなければ、私の気が収まらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ