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その上司、俺様につき!  作者: 皇ハレルヤ
泥酔の夜の星
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第05話

「そ、そっか……どうしよう……」

その時ピンと、頭の中にアイデアが浮かぶ。

「次の通りに入ったら、右に曲がってもらってもいい? そこに公園があるんだ」

「ああ、わかった。ベンチ的な場所にお前を下せばいいんだな?」

「そうそうそう! お願いします!」

そうして飯田君に連れてきてもらった公園は時間帯のせいもあり、1人では絶対に立ち寄らないであろう、どんよりとした雰囲気が漂っていた。

当然ながら私達の他には、人っ子1人いない。

「あそこか……」

それほど広くない公園なので、ベンチは一箇所にしか設置されていなかった。

遊具も滑り台と鉄棒、ブランコのみしかなく、毎日公園の前を通って通勤している私ですら、ここに公園があったことを忘れるくらいだった。

「下ろすぞー……」

「……お願いします」

丁寧にベンチに下ろしてもらい、息を整えて姿勢を正す。

飯田君はぐっと伸びをして、痛むであろう肩や腕を労わるように撫でている。

普段から太りすぎないように気をつけているとは言え、成人女性を背負って10分近く歩けば、節々が痛んで当然だ。

(なんとかここからは1人で帰らなきゃ!)

そうして気合を入れて一歩踏み出そうとしたのに、すぐによろけて尻餅をついてしまった。

ザリ、と膝に嫌な痛みを覚える。

「だ、だめだ。ごめん、かなり足にきてるみたい……」

「……はぁ~」

無人の公園に響く、飯田君の盛大なため息。

「本当にごめん! あ、でもここからならタクシー呼んで、1人で帰るよ。歩くとあと10分近くかかるし、何より坂道がきついからさ」

もっと早く提案すればよかった。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

終電の時間も迫っているのに、ここまで付き合わせてしまったなんて。

「いいよ……もう、乗りかかった船って感じだし」

そう言いながら、彼は私に手を差し伸べてくれた。

その手を受け取って、私はなんとかベンチに座り直す。

「ご迷惑おかけします……」

お詫びの思いを込めて飯田君にお辞儀をすると、頭にズキッと激しい痛みが走った。

「いったぁ……」

上半身を倒した姿勢のまま、しばらく固まってしまう。

「明日は完璧に二日酔いだな。くれぐれも遅刻すんなよ!」

「……頑張ります」

「ごめん、ちょっと俺も休憩……」

額の汗を拭いながらそう言うと、彼はワイシャツからネクタイを引き抜いた。

そのままドカッと私の隣に座る。

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