表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その上司、俺様につき!  作者: 皇ハレルヤ
泥酔の夜の星
67/98

第03話

「営業なんて男社会中心なのに、一度もへこたれなかったしさ。ガッツあるよ、マジで」

「……あんまり嬉じぐない」

(それって、男勝りって言われているようなもんじゃない……)

かろうじて拾った単語から、支離滅裂な連想が脳内に広がる。

「私は女だもん……」

そうだ。私は女性だ。桜井さんと同じ、女性なんだ。

身の程知らずにも、出会った時から桜井さんのことはライバルとして意識していたのだろう。

女性として久喜さんの隣に立ちたかった。

部下として能力を認めてもらうよりも、女性として彼に選ばれたかった。

私にとって彼女は、久喜さんに選ばれる可能性がもっとも高い存在だった。

「どうぜ、私には働ぐじが、脳がないでずよ……」

「いや、そういう意味じゃなくて!」

私の愚痴の方向が怪しくなってきたせいか、飯田君が焦っている。

「ごべんねぇ……迷惑ばっか、がげじゃって……」

夢とうつつの狭間で、かろうじて謝罪の言葉を口にした。

自分でも面倒臭い女だなと思う。思うが、ぼやきと文句は止まらない。

「いや、それはもういいって。俺、お前の役に立てるの嬉しいから―――」

「……ぞうなの?」

むくっと顔を上げて飯田君を見たけれど、半分以上落ちたまぶたのせいで、彼がどんな表情をしていたのかはよくわからなかった。

その時急に頭がズキンと痛み、唸り声を上げて私はまたテーブルに伏せる。

「頭……痛いぃ……」

「おい、もう二日酔いかよ!」

私のために店員に冷たい水を注文してくれている飯田君を尻目に、私は誘われるまま深いまどろみの渦へと引き込まれていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ