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その上司、俺様につき!  作者: 皇ハレルヤ
名前のつけられない感情
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第04話

(何でもいいから適当に返事をして、さっさと部屋の外に出よう……)

「今後は気をつけていただけると助かります!」

「あ、遠藤―――!」

久喜さんが何か言いかけたようだが、聞こえない振りをしてバタンとドアを閉めた。

人事マネージメント事業推進部があるフロアは、打ち合わせ用の会議室や来客用の応接室があるだけで、他部署は一切入っていない。

一時的とはいえ、会社の重要な人事情報を扱う部署だ。

情報漏洩を案じて、人の行き交いが少ないフロアを与えられたのだろう。

(不謹慎かもしれないけど、女子トイレがいつも空いてるって、結構ポイント高いのよね)

総務部は女性ばかりの部署だったから、常にトイレは順番待ちだった。

隙あらば時間を潰そうと、やたらめったら化粧直しをする人が多かったし、こっそりスマホや携帯電話を持ち込んで、メッセージが来ていないかチェックしている人もちらほらいた。

ただ、難があるとすれば、1つだけ。

トイレの電気は感知センサーで自動的に点灯するタイプがゆえに、長時間(と言っても3分~5分程度だが)個室にこもっていると、勝手に照明がオフされてしまうのだ。

(初めて遭遇した時は、心臓が止まりそうになったっけ……)

今回もあまり長居はしていられない。

(手を洗ってからうがいをして、すっきりしたらすぐに戻ろう!)

感知センサーの活躍もあって、トイレがある突き当たりはいつもどんよりと暗い。

外が明るい時間帯はまだいいが、夜になると入ることを躊躇してしまうくらい、一気に雰囲気が薄気味悪くなる。

(あれ? 電気がついてる?)

だからこうして、たまに煌々と明かりがついていると、却って不安になってしまう。

圧倒的に暗いことの方がほとんどだから、中にいるのは何者だろうと、入る前に少し緊張してしまうのだ。

気配を窺いながら、おそるおそるトイレに足を踏み入れる。

すると、穏やかだがはっきりとした女性の声が聞こえた。

「お疲れ様です」

洗面所の前に小柄な女性が立っている。

「お、お疲れ様です」

慌てて会釈をして、挨拶を返した。

制服を着ていると言うことは、社内の人物だろう。

でも、滅多にお目にかからないような華がある雰囲気の人だった。

肩までの髪はゆるく巻かれていて、彼女が持つ可憐な雰囲気を、より一層際立てている。

大きくクリッとした瞳は、例えるなら子鹿やウサギといった小動物系だ。

(……アイラインを引くと、いつも目つきが鋭すぎるって言われる私とは、まるで正反対だわ)

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