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その上司、俺様につき!  作者: 皇ハレルヤ
とにかく出会いは最低最悪
13/98

第13話

忘れようとしても記憶に鮮やかに焼き付いてしまった、残念なクソイケメン野郎。

今朝、私の貴重な時間を奪いに奪った張本人が、今まさに私の目の前に同じ会社の人間として立っているなんて!

(ありえない……!)

頭がクラクラしてきた。

私の性格が今よりもっと気弱で、繊細だったなら。

今頃私は悲劇のヒロインよろしく、気を失って倒れていたに違いなかった。

「私は、本日付で人事部に配属された久喜善人くき よしひとだ。今月来月いっぱいで全社員と1人1人面談し、人材をその能力にふさわしいポジションに再配置する」

(久喜、善人……人事部……ポジション……)

脳内にポンポン放り込まれる単語を、私はただ繰り返すだけで精一杯だった。

「……ひとまず、人事が一通り落ち着くまで、適材適所。それが私の仕事になる」

「はあ……」

私のおおよそ理解しているとは言い難い間抜けな返答に、久喜善人はあからさまに嫌そうな顔を浮かべる。

「……で、だ」

しかし、気を取り直すようにコホンと咳払いをすると、急に凛とした表情になり、射抜く強さで私を見つめてきた。

「まずは君のポジションから、決めさせてもらおうと思ってね」

「……は、はい」

(異動勧告、現状維持、はたまたクビ……。お願いです、神様! どうかクビだけはご勘弁ください!)

私は心の中で両手を組むと、神様に懇願する。

背中はすでに冷や汗が流れ始めていた。

「遠藤遙。年齢28歳、勤続年数6年。うち、4年は営業部、2年は総務部」

私の経歴を読み上げながら、スラリとした体躯がこちらに向かってくる。

「家族構成は両親と3つ年上の兄、2つ年下の弟。父親は電化製品のメーカー勤務で、母親は専業主婦」

会社用に履いている黒いパンプスは、歩きやすさを優先して買ったから、ヒールが3センチしかない。

面と向かってまともに対峙すると、長身からくる威圧感が半端なかった。

「は、はい? それが何か? か、家族構成って仕事に関係ありましたっけ!?」

(これ以上近づいたら、セクハラかつ個人情報の不正取得で訴えてやる!)

私は両肩をギュッと内側に縮こまらせると、迫り来る久喜善人から身を護ろうと身構える。

ビクッと体を強張らせ、これから何が起きるのか待ち構えていたら―――。

「遠藤遙。本日付で君を、私の補佐役に任命する」

「はあ?」

たとえ天と地がひっくり返ったとしても、まだまともに応対できたと思う。

「ほ、さ……役?」

惚けたように、たった今聞いた言葉を繰り返すことしかできなかった。

(補佐役……って私、今日から人事部に配属される、ってこと?)

じわじわと体に実感が広がる。

「な、なんで私なんですか……?」

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