滅亡寸前って何事ですか
昔、勇者が居た。勇者は世界を破滅に追い詰めようとした罪人を倒すことによって、世界を守る事が出来た。
そこから数十年。世界は平和とはならなかった。
村を歩いていると声が聞こえる。
「かーちゃん。さむいよぅ・・・」
「駄目よ勇者様が平和の為にエネルギーを使ったから・・・」
俺はそっとその家の前に薪を置いていく。世界をこうしてしまった原因は俺にもある。
『なぁ。世界を平和にする為に――を殺すっていうのか?誰かを犠牲にして、世界を救うなんて間違っている!』
アイツと戦って俺は負けた。敗者は黙って勝者の言う事を聞くしかない。俺は世界をアイツに委ねた。その結果が・・・。
「うわぁ!!また魔物が街を襲っているぞ!!皆広場に逃げるんだ!!自警団に誰か報告を!」
男が入口の方から慌てて走ってきた。
ガルルルルッ。
魔物の群れが攻めてくる。
「いてッ。うわぁぁん。」
目の前で子供が転んだ。
俺は魔物の方を向き、剣を手に取る。
「滅せよ。」
抜刀だけで蹴散らす。ここもまだエネルギーが足りずに結界が張れないのか。
「ありがとう兄ちゃん!兄ちゃんって強いんだな!まるで昔の勇者様みたいだ。」
俺が勇者?俺は勇者なんて良い奴じゃない。俺は『罪人』だ。