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ミネラルワーム

 坑道内でミネラルワームと戦うなど自殺行為に等しい……満場一致で即時撤退した一同の背後には古くなった洞穴からヌッと後頭部を出した魔物。


 ミネラルワームは人間の存在を認めたものの、向こうに殺意がないと悟るや否や新たに活性化した魔力の間欠泉(マナスポット)を陣取り、ムシャムシャと魔石を食べ始めた。


(ミミズをそのまま巨大化したような化け物だな)


 遠くからチラッとその巨体を確認したときに感じた白南風しらはえの率直な感想がそれだ。


 坑道の外まで撤退した一同はそこでようやく一息付き、落ち着いて荒くなった息を整えることが出来た。


「遭遇しないとは思わなかったけど……もう少し空気読んで欲しかったわね、今の登場」

「同感です。折角魔石を確保したというのに、あれじゃあ……」


 白南風も自分の我が儘に付き合って貰っている自覚がある手前、強く主張することが出来ない。


(こういう時、立派な大人が持つ図々しさが自分にもあればと思うよ、マジで)

「それより、これからどうします? 他の坑道で似たような場所を探しますか?」

「……いや、それは時間的に厳しいと思う。口惜しいけど諦めるしかないか」

「諦めちゃうの? でもミスリル針があれば──」

「元々カルデオに立ち寄って貰った事自体が、俺個人の我が儘ですから、ここから更に付き合えと言えるほど図太い神経は持ち合わせてません」

「それでも、ないよりはあった方がいいのは確かでしょう? あのまま坑道で戦うのは賛成できないけど、もう数日ぐらいなら予定伸ばしてもいいわよ」

「人員的な損失はどうなんですか? ミネラルワームの防御力は簡単に貫けるものではない筈です」

「メタルゴーレムを相手にするよりはマシよ。それに、坑道内で戦うのが不利なら有利な場所におびき出せばいいわ」


 言いながら、アリスティアはポケットから赤色に染まった、掌に収まるサイズの魔石を取り出して見せた。


「それは……?」

「火魔石。強い衝撃を与えると火の魔力が炸裂する……まぁ使い捨て魔術みたいなものね。ミネラルワームは長い間、外敵の驚異に晒されたこともないからこれを餌に外まで釣り出せばいいわ。幸い、陣取っている個体はそれほど大きくはないから人が使う坑道でもギリギリ通れる……分の悪い賭けじゃないでしょ?」

「……まぁ、専門家がここまで断言するってことは自身ありってことでしょうけど」

「大ありよ。……まぁ私達がここまでするのもクリスティーナ様の病をちゃんと治して欲しいからってのが一番の理由なんだけどね」

「そんなに容態が悪いんですか?」

「容態というか……無理しすぎなのよ。クリスティーナ様は」


 フッと、寂しそうな笑みを浮かべてアリスティアは語り出した。

 四英雄・クリスティーナは稀代の魔術師でもあり、同時に努力家でもあった。


 仲間達と魔王討伐の為に旅立っていた時は限界まで魔術を使い、身体を酷使するのが日常茶飯事……そんな状態で魔術を使い続けた結果、魔王討伐を終えた頃には身体が内側からボロボロの状態……今では満足にベッドから起きあがることすら難しい。


 おまけに現代の治癒魔術師の間では不治と言われてる病に冒される始末……隣国が戦争を仕掛けてくる気配が強まる中、国家としてもクリスティーナの存在が欠けるという事態は避けたいところ。


「不治の病って……そんな話全く聞いてないんですけど?」

「絶対に治せっていう話じゃないでしょう? ジオドール様もその辺はキチンと弁えているわ。だから、もし無理なら無理ってハッキリ言って構わないわ。どのみち先生はお忍びという形でクリスティーナ様に会って貰う予定だから。……あいつら絶対、先生のこと知ったら無理にでも囲い込もうとするから」

「むぅ……」


 今更ながら自分が危ない橋を渡っていることに気付き、顔をしかめる。

 騙されたという思いよりも、自分の無知さに呆れ、或いは張り倒したい気分だ。


 勿論、そうした事を踏まえた上で今回の件は自己責任だと思うし、事情がどうあれ引き受けた以上は最善を尽くし、完治という最高の結果を出すべきだと思っている。


「ミネラルワームを釣るっていうなら一ついいですか?」

「何かしら?」

「その役目は私が引き受けます。見たところアリスティアさんの履き物、グリーブですよね? 坑道内を走り回るには不憫と思いますが?」

「まぁ……否定はしないわ。元々こういう場所に行くことを想定してなかったから代わりのものなんて用意してないから」

「そういう訳なので、その囮役は私が──」

「いえ、御主人様がそのようなことをなさる必要はありません! その役目は私が引き受けます!」


 主の暴挙を察したシャルロットがズイッと前に出て自ら囮役を立候補する。

 理屈の上では白南風が囮役に適しているのは理解できるが、だからと言って彼にその役目を押しつけるのはシャルロット個人の感情が許せない。


 主人のことを信頼していない訳ではない……寧ろ信頼しているからこそ、彼の思いに応えたい、役立たずの奴隷でいたくないという決意が芽生えてくる。


「私もシャルロットちゃんの意見に賛成。そもそも先生は護衛対象なんだから自ら危険に首突っ込むことないと思うけど?」

「何処の世界にシャルロットみたいな娘に囮役を押しつける男がいるんですか? アリスティアさんみたいに自らの立場と仕事に誇りを持つ人間であれば違いますけど、シャルロットは私が選んだ娘です。奴隷を囮に使うのは間違いではないかも知れません。ですが、そんな非道な行為に走るほど、私は男を捨ててません」

「いや……正直な話、足でも先生よりシャルロットちゃんの方が早いから護衛云々を抜きにしてもシャルロットちゃんに任せた方が確実だと私も思うよ。それに先生、ビックリするぐらい体力ないし」


 アリスティアにそう指摘されると何とも反論しづらい。

 彼女の言う通り、白南風はシャルロットよりも体力がないのだ。


 一時は冒険者として活動していた時期もあったが、地球人と異世界人とでは体力の土壌が違う。


 運動部に所属していた訳でもなく、大して身体を動かすことなく生活してきた白南風に対して、幼い頃は野山を駆け回り、時には畑仕事を手伝い、最近は積極的に戦闘訓練に参加しているシャルロット……男女の差を考慮しても、彼女の方がタフだということは火を見るより明らかだ。


「私のことなら心配無用ですよ、御主人様。剥き出しの岩場とは言え足場はしっかりしてました。鉄製なら別ですけど、私の穿いている靴なら特に問題ありません」

「それにミネラルワームは地中での移動は早いけど地表だとそこまで早く動けないわ。一度ヘイト取ってもシャルロットちゃんの足でも逃げ切れるから問題ないわよ」

「…………分かりました。ここは専門家の意見に従いましょう」


 苦いものを無理やり飲まされたように顔を顰めながら、白南風は同意した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 仮称・ミネラルワーム釣り作戦は単純シンプルだ。

 シャルロットが奴等の餌となる魔石を見せびらかして地表へ誘き出して、外で待機しているアリスティア達のもとへ誘導する。


「ミネラルワームは魔力の波長に敏感だから。掌で魔石に魔力を込めればそれに釣られて出てくるわ。でも注意して。あいつらは縄張り意識が強いけど食事となると一気に押し寄せてくる可能性があるから。わずかでも地響きを感じたら姿が見えなくてもすぐに駆け出して」


 アリスティアから聞いた忠告を頭の中で反芻して預けられた魔石を取り出す。

 握り拳ほどの魔石に少しだけ魔力を込めて魔力を活性化させる。


 だが新たな魔力の間欠泉(マナスポット)に夢中になっているミネラルワームはその程度の魔石など眼中にないとばかりに食事に没頭する。


「もし魔石を活性化させても駄目だったら思い切ってあいつに火魔石をぶつけて。ダメージはともかく食事中にそんなことされたら流石に怒って襲いかかってくるから」


(この作戦は、絶対に失敗できない)


 シャルロットの主、白南風しらはえは過保護だと、常々思う。

 身体を動かす為、という名目で数日置きではあるが、白南風も訓練に参加し、時にはシャルロットと模擬戦を行うこともある。


 白南風が勝ち星を挙げられたのは最初のうちだけで、今ではシャルロットにすら満足に勝てないほど実力差が生まれている──にも関わらず、彼は自分に変わって矢面に立とうとする。


 シャルロットとて女だ……男に守られれば悪い気はしないが、白南風に限って言えば事情が違う。


(ここでキチンと成功して、御主人様の信頼を勝ち取る)


 女として自分を愛してくれてはいても、真に命を預ける相棒としては未だに信頼されていないことについては、大いに不満が残る。


 故に彼女は胸の内に闘士をメラメラと燃やしていた。

 自分でもやればできるというところをしっかりとアピールする為にも、絶対に外してはいけないのだ。


 短く深呼吸をして決意を固めて火魔石をミネラルワームへと投げつける。

 オーバーハンドで放たれた火魔石はミネラルワームの背中に直撃して、火花をまき散らしながら爆ぜた。


「──…………」


 シャルロットの存在は感知していたが、取るに足らない羽虫も同然の存在に、食事の邪魔をされたミネラルワームの反応は顕著だ。


 こぉーっと、怒気のこもった息を吐き出し退化した目をギョロリと見開き、魔力感知に特化した瞳で食事の邪魔をした不届き者を補足する。


 その頃には既にシャルロットは駆け出していた。

 健脚を自負するだけあり、少々足場が悪いとは言え彼女の速力は一○○メートルを一一秒代で走破するほどのスピードを出している。


 アリスティア達に教わった、魔力のみで行う単純な身体強化によって生まれた速力は背後から追いすがるミネラルワームより僅かに遅い……が、逃げ切れる。


(このぐらいならいける。御主人様・・・・のアドバイス通り(・・・・・・・・)


 当初、この強化方法を習った時は教わった通り強化したい箇所全体を魔力で覆い、身体の強化を図っていた。


 正規の手順を踏んで行う強化魔術より効率は劣るが、これを主力としている冒険者も多数存在し、極めれば強化魔術に準ずる効率を叩き出すことができるという。


 アパートの部屋で白南風にマッサージを施しながら説明したシャルロットに、白南風が返した言葉は『場合によっては無駄な強化』と評価した。


 攻撃力・防御力が欲しければ全身に魔力をまとわせるのは常套手段……それは白南風も認めるところだったが、速度に関しては異議を申し立てた。


「いや、だって身体を動かすのって筋肉だけじゃなくて関節もそうじゃん? 速さが欲しければ筋肉より関節の可動速度を挙げた方が結果的に無駄ロスを減らせるんじゃない?」


 果たしてその見立ては、正しかった。

 関節のみに速度強化を割り当てた結果、全体に速度強化を施すよりも効率的で、最小の消費で最大限の効果を生み出すことが出来た。


 今はまだぎこちなく魔力操作をしているが、いずれは──

 背後から迫るミネラルワームの這いずり音が次第に大きくなっていくのに連れて、早く早くと焦燥が身体を急かす。


 ギリギリ間に合う──その目論見はギリギリのところで補足されるという未来に書き換えられる可能性が色濃くなっていることに、嫌でも気づかされる。


 ならばと、意を決したシャルロットは手にした槍をグッと握ると、一瞬で身体を反転させると同時に全身をばねのようにしならせて投槍した。


 鋭く飛翔した槍は距離が近いこともあり、退化した目玉へ深々つ突き刺さり、進撃速度を大きく緩めた。


 その隙を突くようにシャルロットは最後の力を振り絞るようにラストスパートを掛けて、出口へと向かう。


「アリスティア様! 後はお願いします……ッ!」


 叫ぶと同時に、復讐の炎を滾らせたミネラルワームが坑道からその姿を現した。

 その姿を現すと同時に頭上で待ち伏せしていた隊員達が一斉に魔術詠唱に入る。


 魔力を感知したミネラルワームが大きな魔力のうねりを察して足を止め、そこを突くようにアリスティアが一瞬で肉薄して一撃を見舞う。


 ミネラルワームの皮膚は強度もさることながら、柔軟性にも優れている為、並みの武器では傷一つ負わせることができない……が、代理とは言え三大クランを預かる人間が扱う武器が並みである筈がない。


 太陽に照らされた剣身がキラリと光り、サクリと野菜を切るような感覚でミネラルワームの皮膚に刃が食い込む。


 半分ほど埋まった刃は抵抗することなくするりと振り抜かれ、巨体に押し潰されるよりも早く退避する。


 ミネラルワームの体格と剣のサイズを考えれば致命傷とも呼べない。

 魔術師のような後衛攻撃役がいなければ討伐は困難を極める……ミネラルワームが冒険者に嫌われる所以だ。


 巨体を躱し、ステップを踏んで横へ回り込むように移動して刺突を見舞い、突いた時と同じ速さで剣を抜いて離れる。


 高台に陣取り、上級魔術を放つ為の準備をしている隊員達に間違っても攻撃が向かないよう、常にミネラルワームのヘイトを稼ぐ必要があるが故の、一撃離脱戦法ヒットアンドアウェイ


 しかし、アリスティアの一撃が自分の皮膚を貫ける一撃であっても致命傷には届かない事実に気付いたミネラルワームはそれを無視して高台へ向かう。


(まずい! 詠唱はまだ半分しか終わってないッ)


 外に誘導した時点で撤退という選択肢はない──街を襲う可能性があるからだ。

 剣身に魔力を乗せてより強力な一撃へシフトする。


 強化魔術の中には武器の耐久性や切れ味を底上げするものや爆発を付与する魔術も存在するが、無機物に働きかけるそれは習得難易度が桁違いに難しく、団長代理を負かされているアリスティアでさえ習得できてない。


 故に即物的な威力を欲する時は通常魔術よりも効率の悪い魔力撃を使用しなければならない……常時、魔力撃を使用できない冒険者達が俗に言う名剣を求める理由の一つでもある。


 刃が食い込むと共に純粋な魔力の塊が体内で暴れ回るそれは、ハンマーで打ち抜かれたような衝撃が、外見からは想像も出来ないような鋭利な剣から撃ち込まれる。


 微かに巨体がよろめき、アリスティアも魔力撃の反動でふらつく……が、それを無視して上り詰める。


 咄嗟に突き刺さった愛剣に手を伸ばし、ロッククライミングのようにミネラルワームへ張り付きながら控えの剣を握る。


 愛剣と比べれば切れ味は数段落ちるが、魔力撃を介した攻撃であれば充分にミネラルワームに通用する……剣そのものが駄目になる可能性もあるが、人命には変えられない。


 ミネラルワームが隊員を必殺圏に納めるまで時間に余裕がない──残りの魔力を全て剣に注ぎ込みあらん限りの力を込めて剣を叩き付ける。


 爆発と錯覚しそうな衝撃が白煙となって背中から立ち上り、衝撃で剣は砕け、自身は吹き飛ばされる。


 渾身の一撃は流石に応えたか、放り出された空中で見たものは大きく体をくねらせる魔物の姿。


 魔力が炸裂した箇所からはぽたぽたと赤い液体が雫のように滴れ落ちている以外、目立った怪我はない。


(これなら、どう?)


 自慢の愛剣は突き刺さったまま、控えの剣は駄目……武器と言えば魔物の素材を剥ぎ取る時に使うナイフのみ。


 このまま自分に意識が向けば魔術が発動するまでの時間は稼げるのだが──


(やっぱり駄目……っ)


 アリスティアを意識せず、尚も執拗に隊員を狙う行動に唇を噛み締める。

 魔力を感知することに長けているミネラルワームは明確に危険度の優先順位を付けていた。


 即ち、ちょっかいを掛けてくる人間を差し置いても集団で魔力を練り上げている連中を先に始末するべきだということ。


 もしミネラルワームの目が魔力感知に特化したものでなく、他の生物と変わらない目を持っていれば、或いは危険察知能力が高ければ違ったアクションを取ったかも知れない。


 故にミネラルワームはその存在を感知しても、驚異ではないと判断し無関心を貫いていた。


 それが、生死の分かれ道となった。


「……? …………っ!?」


 飛翔したソレは、アリスティアが渾身の力を込めて空けた傷口に直撃して、中で四散した魔力が電光石火の如く全身を駆けめぐり──異変は起きた。


「……っ!?」


 身体を伸ばし、隊員達を喰らおうとしたまさにその刹那、その動きが突然鈍くなり、苦しみに耐えるように身体を曲げて地面に横たわる。


 時折、苦しそうな声を上げながらぐねぐねと鈍く動くミネラルワーム……そして、高台から注がれる無慈悲の一斉魔術攻撃。


 槍を象った炎が、鋭利な氷柱が、三日月型の刃をした風が、見た目以上の質量を誇る石礫が、容赦なく身体を貫き、或いは傷口を抉り、地面に縫いつけるように何発も降り注ぐ。


 一部の例外を除けば外側が固い魔物というのは柔らかい内側を守る為に進化したモノ──つまり、装甲さえ貫通すれば傷を与えるのは容易い。


「──…………、……っ」


 時間にして一○足らずの一斉魔術攻撃が止んだとき、ミネラルワームは完全に息絶えていた。


 固い皮膚は一斉攻撃によってボロボロに朽ち果てたが無傷な部分も多々ある……必要存在を剥ぎ取ればそれなりの金になりそうだ。


(それにしても、あそこで見せたあの苦しみ方は一体なんだったの?)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


(間一髪……てところか)


 アリスティアから少し離れた場所で事の顛末を見届けた白南風はリボルバーをホルスターにしまい、安堵のため息を漏らす。


 ジオドールから急遽依頼を受けた際、リボルバーを売ってくれた妖精族フェータのアラン・スミシーに弾丸を都合してもらった彼の手元には、いくらか弾数に余裕がある。


 先の異変の正体は白南風がミネラルワームに対して行った攻撃が原因だ。

 リボルバーに装填されている弾丸には術者の魔術・魔力の特性を大きく反映させる能力が備わっているので、これを整体魔術の技術を使って応用した。


 白南風の魔術を掻い摘んで説明するなら身体の調子を整える魔術──であれば、体調を良く有益な魔力を精製することも出来ればその逆、|身体に有害な魔力を精製・・・・・・・・・・・することも可能だ。


 つまり、弾丸が通る相手であればほぼ無条件に相手の状態を意のままに操ることが出来るのだ。


 先の戦いで真っ先に使用しなかった理由は弾丸がミネラルワームの身体を覆う皮膚を貫通しないかも知れないという可能性が残っていたから。


(けど、想像してたより効き目は鈍かったな。即死するぐらいの魔力込めたつもりだったのに)


 唯一の誤算としては想定通りの結果を出せなかったことだが、こういうものには個体差が大きく反映されるのだろうと思っておく。


 それに弾は残り五発・・しかないのだ……検証という名目で無駄撃ちすることも出来れば避けたい。


「アリスティア様、早速剥ぎ取り作業を開始しても?」

「え? ……えぇ、そうね。これだけ大きな個体なら体内に結晶化された魔石を蓄えてもおかしくないわ。早速剥いじゃいましょう」

(疑問は残るが、今はそれを棚上げしておきましょう)


 アリスティアの指示の元、その場に居る皆でミネラルワームの剥ぎ取りを開始する。


 皆の力で仕留めたミネラルワームの体内から取り出されたのは文句なしに高純度化された結晶魔石……これなら良い針が作れそうだ。

次回は28日を予定してます。

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