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ラミとクルクルの大冒険。  作者: 背徳の魔王 実に残念だ。車には気をつけろと予言したが、彼女は聞かず新車を購入。3ヶ月で廃車にした。負の連鎖が始まる予感が拭えない。
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クルクル初めてのお使い

太古の森の現状


森の入り口は3つあって。それぞれ亜人の村や国が存在していた。有名なところはリザードマンの国・沼の国であろうか。



人間と多少なり交易をするが、基本沼の国に迎え入れることはない。比較的人間と良い関係を結んでいるのが草原の妖精クランナースと呼ばれる小人族。ただしある団体。赤の旅団がらみに限られていた。



海と湖に繋がる洞窟には、半魚人と人魚がそれぞれ争いを繰り広げていて。お互いの海底都市を巡り地上からは見えない争いをしていた。



太古の森で、国と呼ばれているのが、リザードマンの沼の国、エルフの太古の森、半魚人の国、人魚の国の四つである。その他の種族は、村や集落を形成していて、独自の発展を遂げていた。森の南。リザードマンの国とエルフの太古の森。直線上に見れば丁度中間にあるのが、ホビット村である。二国にもちょっとした因縁があって、人間の夫妻の力によって、ひとまず和平を結んでいた。



ホビット村から霧の湖までは、北西に。人間の足で数日でたどり着ける位置にあった。



太古の森にある湖とは。太古の湖、霧の湖、沼と呼ばれる3つで。沼と呼ばれているが別に水質に問題はなく。

プロローグ。




━━時間は、ラミが早起きする。かなり前……。



前日の夜に遡る。



ラミの母エルダは、姉ヒルダの不摂生な性格を心配していて。定期的に村で取れた野菜。果物や。ラクと呼ばれる牛に似た。ミルクから作ったチーズ。保存用の堅めに焼いた堅焼きパン等。姉の住む。一年中霧に包まれた湖近辺では、なかなか手に入らない食べ物を。湿気に強い油紙に包み。定期的に送ってた、でも……、

輸送屋のドーム爺が、ぎっくり腰になってしまい。孫のレームでは、土地勘が必要な霧の湖近辺は。かにり難しく。ほとほと困り果てていたそんなところに。

「うにゃにゃ~ん?」

大丈夫?と、言われた気がして、エルダは豊かな毛並みの。クルクルの頭を撫でながら、小さく嘆息した。

「クルクル実はね……」

人間の言葉を理解し。何でも聞いてくれるクルクルに、ついつい色々なことを、家族みんなが話をする。


━━それどころか、村の誰もが、何でも話し聞かせるのだ。それをクルクルは、真摯な優しい眼差しで、じっと聞いてくれたり。時に慰めてくれたり。一緒に悲しんでくれたり。優しい性格のクルクルを、村人みんが大好きになていった。


もう誰もクルクルがモンスターだとは思ってない。村の大切な一員。まるで家族や仲間として……、みんなから受け入れられていた。

「うにゃ~ん、ニャ~ン」大きな身体のクルクル。ふわふわな頭を優しくくっ付け。クルクル用の大きな鞍を引っ張り出してきて、エルダの前にお座りした。



驚くエルダに。優しく鳴いていた。

「もしかして……。クルクル?」

「うにゃ~ん♪」

そうだよ~と胸を張る。優しいクルクルは、エルダが姉のこと、とても心配してるのを理解していた、それにクルクルは何度か、ラミを乗せて、みんなでヒルダの家まで、訪ねた事がある。クルクル用の鞍は、その時にあしらえた物だった。

「……ありがとうクルクル。でも良いの?」 村の外は、危険が一杯である。友好な種族ばかりではないからだ。

「うにゃ~んニャ~ン!」大丈夫よ~って、言ってるようだった。クルクルの優しい気持ちに気が付いて。思わず首をギュ~ッて抱き締めていた。

「ありがとうクルクル……、姉さん1人だから、悪いけどお願いします」

「うにゃ~ん♪」

くすぐったそうに。でも誇らしそうに。胸を反らした。

「お母さん、クルクルお休みなさ~い」

お湯で身体を拭いたラミは、髪も洗い。ご機嫌である。

「うにゃ~ん♪」

クルクルが大好きな石鹸の香りを嗅いで。まるで姉のように振る舞うラミを、本当の母のように慕い。時には世話の焼ける妹を世話するお姉さんのように接していた。だからしばらく留守にするからと、大好きなラミに、優しく頭を擦り付けて、

「クルクル~♪」

くすぐったそうに悶えながら、目を細めて、クルクルの太陽の香りする毛並みに顔をすり付け、胸一杯に匂いを嗅いだ。

「ラミ、クルクルにお使い頼むんだけど、良いかしら?」

お母さんとクルクルの話は、聞こえていた……、ラミにとっても大好きなヒルダ伯母さんのこと、ラミだって心配なのだ、だからとびっきりの笑顔で、

「うんうんいいよ!、クルクルなら大丈夫だよね?」

「うにゃ~ん!」

任せとけ。そう言われた気がして、思わず親子は見合い。楽しそうにに吹き出し。声を上げて笑っていた。それからラミが寝るまで一緒に過ごし。真夜中そっと大好きなラミの頬に、鼻でチョンチョン。

「クルクル……、きをつけて……」

何て寝言を聞いて、

「……ニャ~ン」

小さな声で、返事をしていた。



食堂で待ってた夫婦は、しっかりクルクルを抱き締めていた。「クルクルわかってると思うが、オーガには気を付けるんだぞ?」

「うにゃ~ん!ニャン」

邪悪な気配に敏感なラクシャなら、大丈夫だとは思うが……、リードはもう1人の娘が、お使いに出るようで、気が気では無いのだろう。思わず吹き出してしまいそうになるが、そこは我慢した。

「クルクル、こっちの袋に、朝ごはんが入ってるから、安全なところで食べなさい」

「ニャ~ン」袋の中に、クルクルの大好きな、ラクのミルクを浸したパンが入ってるのだ、ゴロゴロ嬉しそうに喉を鳴らしていた。立ち上がったクルクルの背に。鞍を着けて、落ちないようしっかりと。荷物をくくりつけた。

「クルクル重くないか?、大丈夫かい」

「ニャン。ニャ~ン!?」



二人に見送られて。クルクルは村の外に向かってトコトコ歩き出した。



その様子を見ていたのが、村の入り口まで、ブラウニー姉弟である。

「うにゃ~んニャ~ン!?」

姉弟とは物心付いてからの知り合いである。だから二人にラミの事を頼んだ。

『私たちに任せといて』

『ラミちゃんは守るからね』

「うにゃ~ん♪」

安心してクルクルは、初めてのお使いに出たのです。



肉きゅうにひんやりした土の感触。夜露に濡れた木々の香り。スカピ~スカピ~。胸一杯に吸い込む。夜の匂い。ホビット村から森に出たのは久しぶりである。クルクルはラクシャと呼ばれるモンスターである。本来は森の中で、ひっそり暮らす生き物で、滅多に人前に現れないから幻獣と呼ばれていた。さらにモンスターであるが知能は高く。幻の魔法まで使うので。森のモンスターからは賢者として崇められていた。まだ若いクルクルだが、ラクシャの固有スキルが開眼していて、僅かではあるが、森に同化する能力が使えた。



ゆっくりした歩みは、やがて疾走に……。

森を走り。草木を踏み分け。自然の中を走る喜びに。しばらく浸る。どれくらい走ったか……、


やがて緩やかな歩にしていた。それは徐々に辺りが明るく。日が出てきたから、他の種族が目を覚ます時間。特に朝は注意が必要だった。


段々暖かくなると。朝露で、匂いが分からなくなる。それに危険なモンスターもいるので気をつけてなければならない。この辺りには悪食のオーガや、好戦的なホブゴブリンがいるから。見付かると厄介である。辺りに注意しながら歩いてると、微かに香る水の匂いに気が付いた。湖を源流として、森には小さな小川が無数にあって。丁度喉の渇きを意識したクルクルは。一休みすることにした。



冷たい小川の水で、渇きを癒してから。大好きなお母さんが持たせてくれた。鞍にくくりつけていたお弁当の袋を。器用に外していた。さて食べようとした時だ。視線を感じて。そちらを見てみると。

「うにゃ~ん♪」

小さなラクシャが数匹出てきて、クルクルに挨拶をしてきた。

「うにゃ~んニャ~ン♪」

同じラクシャに。森で会うのは珍しいことだ。小さい子供達の後に。クルクルと同じ位のラクシャが、ノッソリと現れて。しばらく顔を見ていたが、仲間だと分かり安心して、挨拶の鼻キッスをかわした。その時グウ~、

子持ちラクシャからお腹が鳴っていた。見れば餌が取れていないのか毛並みがパサパサで。子育てに苦労していたようだ。

「うにゃ~ん。ニャンニャニャニャ」

自分は恵まれてるから、大好きな、ラクのミルクを浸したパンを譲ると伝えるや、とても喜び。クルクルの首筋に。頭を擦り付けて感謝を示した。



よっぽどお腹空いてたのか、あっという間に平らげる。その間はクルクルが子供達と遊び。落ち着いて食事を済ませれるよう。辺りを見ていると。ラクシャの母親は、満足そうに髭に着いた、パン粕を取って。身だしなみに顔を洗っていた。一息落ち着いた所を見計らい。

「ウニゃニャ~ン」

別れを告げたクルクルは、再び森の中を走り始めた。大切な家族の元に急いだ。



日が高くなる頃。水の鮮烈な清々しい匂いがしてきた。すると……、毛皮にまとわり付く霧が急に現れて、視界を悪くしていた。どうやら目的の湖が近いようだ。でも髭が霧の水滴に濡れて、能力が半減する前に。髭を揺らし。向かうべき方向と、

方角━━。



さらに周囲の地形を判断する。そう時間は掛からず。この辺りからならヒルダの家に着くだろう、クルクルは尻尾を上げて、軽快に走り出した。



森の奥にある。3つの湖、その中でも最大の大きさを誇る湖があって、遠くゴツゴツした岩山に囲まれて見えるが、あの先は外海。海がみえると言う、湖の底は巨大な洞窟となっていて、海と繋がっていて。海の魚。大型モンスターもある季節になると見られると言われていた。霧の湖が一年中霧に包まれてる理由が、暖かな海水が、海のみちひきによって、冷たい湖の水と混ぜ合わせられて、発生する。そんな住みにくい場所。湖のほとりに居を構える物好きな人間の女がいた。

近隣に住む種族は知っていた、それが人間の女であり。彼女には癒しの魔法を使い、またあらゆる薬の調合が出来る。稀有な存在研究者であることを。そして住まいが研究所兼治療院を営む女性ヒルダを、多少なり信頼し。彼女を訪ねる患者はいた。薬を求めたり、原因不明の毒、怪我、病気に掛かった時。渋々助けを求めるのだ。その日も珍しく。二人の患者がやって来て、先ほど帰っていた。何時のか昼を少し回った時刻で、薬の代金に。リザードマンは新鮮な魚と、睡蓮の種を置いてった。もう1人、人と言うか……コボルトなのだが、多くが洞窟に住んでいて。その奥でしか手に入らない。希少な麻酔に使う。茸を持って来てくれた。

「これだけあれば、麻酔薬のストックも。安心ね」

ぐっと背伸びして、一息着くことにした。お茶を入れるため。お湯を沸かしに。キッチンへ━━。

火を起こし。薬莢に水を入れて、火に掛けた。


保存のパンを一つ取り出し。くわえながら中身を見て、眉を潜める。

「残り少ないわね……。何時もなら。ドームじいさんが、来る頃だけど……」

妹達に何かあったのかしら?。可愛い姪と、その相棒を思い出した。

「うにゃ~んニャ~ン♪」

途端。聞き覚えのある。鳴き声が聞こえてきた、ケルトから蒸気が沸き上がる。薬莢を火から外して、小さく唇を綻ばせていた。

「噂をすれば、コボルトが来るね」クスクス笑い。火を消してから、玄関に向かった。



扉を開けると、ちょこんと待ってたのはやはりクルクル。

「よく来たわねクルクル」

辺りを見たが。どうやら一匹で来たと理解して、益々笑みが深まる。

「入りなさい。タオル用意するから。待っててね」

「うにゃ~ん♪」

ヒルダに続いて中に入る。



ヒルダの小屋は、診療所も兼ねてるので、入り口付近は、待合室のような造りになっていた。受け付けを兼ねたカウンター、その奥に。調合室。細い通路の奥に。寝室と、客間がある。客間を治療部屋に使うこともあるから、渇いたタオルが大量に用意してあるので。適当に見繕い。濡れた毛皮を拭いてると。

クルクル用の鞍をしてることに気付いた。鞍には何やら荷物がしっかり結えられていて。落とさぬよう。一つづつ外して、中を確かめていくと。やっぱり……、納得していた。

「ご苦労様。ありがとうねクルクル♪」

「うにゃ~んニャ~ン♪」

ゴロゴロ喉を鳴らし。大丈夫だよ~と主張する。鞍が外され。荷物の重さと、責任を果たした重圧を降ろして、誇らしさに。クルクルは胸を張っていた。



━━今から一年以上前。

クルクルがラミに拾われて。村人が集まり、話し合いが行われた。様々な意見が述べられ。物議をもたらしたが、村で暫く面倒を見ると、決められたことがあった、



あの時━━、



ラミが頑として、自分が育てると譲らず。両親や村人を驚ろかせた。最後には大人達が折れて、まだ五歳になったばかりのラミに。クルクルと名付けたラクシャの子の世話を任せることにした━━。



クルクルが━━ラミの家にやってきて、昼夜問わず。幼い女の子が甲斐甲斐しく世話をした。それは端から見れば本当の姉妹のようだった。1人と一匹は何時も一緒だった。村人もラミの両親も。ラミとクルクルが。仲睦まじい姿を見ることが、大好きで、すっかり日常の一部になるほど。温かな気持ちで見守っていた。




エピローグ



クルクルがラミの家の家族となって。半年が過ぎた頃━━。



聖獣の祠で、不思議な体験をしたことがあった━━、



何時ものようにクルクルは、助けてもらったお礼を言いに、祠に毎日しに通うのが日課で、


その日だけはほんの少しだけ、様子が違っていた……。


暖かな春の日差しを思わせる気配。まっすぐクルクルを慈しむ。優しい気配を感じ取った。

『クルクルと名付けられたようだな。お前は幸せか?』

それはとても厳しい感情が渦巻いていた。聞くものに安心感と、不安を与える深い思念。

「うにゃ~ん」

幸せだよ~と答えるや。優しい気配が、クルクルの後ろに現れて。毛を慈しむようにペロペロ。まるで両親に愛されてる。そう思わせてくれた日だった。

『お前の姉。ラミはどんな子供だ?』

少しだけ、和らいだ声音。純粋に興味を抱いた思念に。

「うにゃうにゃウニャニャ~ン」

いっつもクルクルのこと一番に考えてくれる。大切なお姉ちゃんだよ~、

ゴロゴロ自慢そうに喉を鳴らして、胸を張るのだ。あまりに可愛らしい気持ちは、聖獣とも。神とも呼ばれる。テ・ミリオンにも……。

とても優しい気持ちにさせた。

『そうか……、森の闇は深い。今しばらく。お前達の行く末を見守ろう……』

そう言い残し。気配は消えていた、でもクルクルの尻尾には、一房の白い毛が巻かれていた。

「うにゃ~ん♪」

クルクルは、とてもぽかぽかした気持ちになり。今しばらく祠に居ることにしました……。

沼地特有の巨大蓮が群生していて。そこから沼と呼ばれるようになった。また同じ物語か、別の物語で、背徳の魔王でした。

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