ブラウニー姉弟
小さな冒険に出てしまったラミを追いかけて、家付き妖精姉弟マリー&キリーは、ようやくラミちゃんに追い付いたのですが、とんでもない光景を見るのでした。
プロローグ
ラミは小さな幸せを感じながら、世にも珍しい男の水精霊フルードさんや、精霊のみんなを見送りながら。満足感に包まれました。するとやっぱり……大切な家族で。ラミの妹のような存在クルクルと、喜びを分かち合いたいと思いました。だからクルクル探しを。再開する事にしたのです。
「よ~し、頑張るよ」
輝く笑顔で歩き出してたラミだったが、━━直ぐに。小さな人影を見つけて立ち止まります。首を傾げながら。改めて緑の服を着た、小さな姉弟を見ると、どうも一人は倒れていて。男の子の方が、ラミを真っ青な顔で見ていました、二人とも初めて見る顔ですが……、何だかとても気になりました。
「あの~初めまして、私は……」
『ラミちゃん……、無事で、無事で良かった……』
小さな男の子が、ラミに抱き付いて、わんわん泣き出したもんだから、訳もわからず固まってしまいました。
「え~と大丈夫?」泣いてる男の子キリーを慰めながら。泣き止むの待ってたら。ムクリ女の子が起き上がり。ハッと息を飲んで言いました。
『ああ~ラミちゃん!、良かった。無事だったのね』
どうやら気絶してたマリーが、目を覚ましたようです。ラミに抱き付いて頭をグリグリ。戸惑うばかりです。
『グスグス……』
「え~と二人は、ラミを知ってるの?」姉弟は同時に。うんうん頷き。交互に。
『僕達はエルダ様と契約してる。家付き妖精なんだよ』『私たちは、ラミちゃんが生まれる前から、家でエルダ様のお手伝いをしてたんだ』
話始めた。二人だってラミちゃんが赤ちゃんの頃から、お世話してたのだ。愛情たっぷり抱いてたし。だからラミが指輪を持ち出して、出掛けたから、とても心配してたと訴える。
「あっ……そうだったんだ、二人とも心配かけてごめんなさい。そうだ!二人はクルクルが、何処に行ったか知らない?」
二人は同時に顔を見合せ。小さく頷いていた、
『エルダ様にお使い頼まれて、ヒルダ様の元に出てるよ』
「あっ……、そうだった」
すっかり忘れてたけど、お母さんに聞いてたんだっけ。失敗失敗……、てへっと舌をだして、頭をこっつんこ。ブラウニー姉弟は顔を見合せ、期待を込めてラミをキラキラした顔で、見上げたのである。
「クルクルを迎えに行こう~!」
『え~、ラミちゃん帰ろうよ』
『お母さん心配するよ?』
慌てる二人に、小さくクスクス笑いながら、
「大丈夫、村の入り口近くの畑まで行くだけだから。二人も一緒に来てくれる?」
ラミの素直なお願いに。姉弟は見合い。嘆息する。
仕方ない。村の外まで行くわけじゃないし。畑までなら、渋々承知したのであった、
ブラウニー姉弟と、お歌を歌いながら。日が登る中。愉しげに歩いて行くと。やがて……豆畑が見えてきました、
いつもこの時間なら。ピーターさん。パシマ兄弟が、畑の世話をしている時刻である。不思議な毎に。まだ起きて来ていないようだ。首を傾げ。疑問をもったが、ポカポカした陽気である。ちょっとした冒険をしたラミと大変やきもきしたブラウニー姉弟は、とっても眠気を覚えて、木陰に入った途端に、直ぐにうつらうつらしていた。
『おっほほほ、可愛らしいお嬢ちゃんと。おお~これは。家付き妖精ではないか?、何故人間と……』
ゆっくり樹を揺らし。木陰を作ってやりながら。樹の精霊は、興味深くみたが、
『ん?……、誰か村に入り込でおるな……、門番たるわしが、気が付かんかったとは』
嫌な気配が、村の方から微かに感じた……、いつもなら、とっくに兄弟が、起きて汗を流してる時刻。おかしいと感じたカレーナは、枝を動かし、
『これブラウニーよ。ちと起きよ!』
さらに根を動かして、ブラウニー姉弟の身体を揺すります。程なく。眠そうな目を擦りつつ。マリーが目を覚ましました。
『も~何よ~、ああ~カレーナ。どうしたの?』
恨めしそうに睨んだ。これには苦笑を隠さず。
『何者かが、村に侵入しておる。嫌な気配じゃて、娘を連れてエルダに至急報せよ。ワシは種を飛ばし。村中見張るでな』
『なっ、何ですって!』
泡を食ったマリーは、大慌てで、キリーを揺らし大声で起こす。『大変、大変、キリー起きて』
姉に揺さぶられ。仕方なく目を覚ますと、やや不機嫌そうに呟いた。
『なんだよ~せっかく気持ち良く寝てたのに~』
弟の気持ちは、痛いほど分かるが。
『侵入者よ!。ラミちゃん連れて、エルダ様に知らせなくては』
緊急事態だと聞いて。一瞬で眠気が覚めた。慌ててキリーは起き上がり、ラミを起こすべく。ゆすりだした。
「ん~な~に?」
すっかり寝入ってたラミは、眠そうに目をしょぼしょぼさせていた。
『大変なの。誰か悪い人が村に侵入したの。エルダ様に知らせなくてはならないわ。ラミちゃん急いで!?』
慌ててるブラウニー姉弟の言葉に、きょとんとなるが、お母さんにも言われていた。悪い人が入り込むことがあるから、お母達に知らせるようにと、
「うん!、分かった」
━━━時間は少し戻る。
ラミが目を覚ます。ほんの少し……、前のこと━━、
日も登らぬ早朝……、村の入り口に突如、霧が現れ。ゆっくり村中を漂い。強い魔法を掛けた。眠りの魔法である。その者は死者の王である。自身に備わってる力の一つ。霧に化けた吸血鬼は。日の光が届かね。床下に隠れ。夜までしばしの時間眠りにつくことにしていた。彼こそ闇の四天王が1人。師からある使命を受け。森の奥にある。ホビット族の村に来ていた。
彼は元々人間であった。ある王国で、宮廷魔導師をしていた。彼の名をレビーニ。死者使い(ネクロマンシー)の魔導師であり、貴族として、ネジ曲がった性格と嫌みな性格ゆえに。嫌われていた。
彼が何故吸血鬼となったか……、新祖と言われる。存在に堕ちたのか……。
『こんな貧相な村にいたとはな……』
霧が一つに集まり。貧相な顔立ち、嫌みな笑みを浮かべ、すやすや眠る美しい女と男を見下ろし。暗い侮蔑の目をむけていた。既に女が男と結婚して娘を生んだこと知っていた。
『裏切った貴様の娘を生け贄に……。契約の指輪の力。解放してくれる』
呪いを吐き出した。それはとても強い恨みで、怨みの深さを思い浮かばせる。
その昔。レビーニは、美しいエルダに好意を寄せていた。同じ貴族の出であり。家柄も申し分ない、密かに妻にと想像しては、嫌らしく悦に入ってた。ある日のこと……彼の思いを、あっさりエルダから拒絶されてしまう、こともあろうに……、学もなく平民上がりのリードを相手に選んだのだ。
貴族である自分を蔑ろにするなど。信じられなかった。許されない出来事に。プライドがズタズタとなっていた。許されなかった……、だから全てを壊す。そんな私怨……、狂気に魅入られた。 末路……。
『もうすぐだ……』
嫌いな光から逃げ出すよう。部屋から逃げ出して、鼠のように床下に入り込み。つかの間。闇の眠りに着いた……。
ラミは走る。太陽が少しずつ下がり始めていた。しかし誰も起きて来ないことに、ようやくおかしいと感じていた。一度不安を感じると泣きそうになっていた。
息が切れた頃。ようやく自分の家が見えて来……、急に寒気を感じた。
『ラミちゃん!。家に。何か良くないものが居るわ』
表情を険しくして、マリーがラミを止めていた。
『キリー行くわよ。ラミちゃんは、みんなを起こして!、起きない時は、樹の精霊を呼んで』
足がすくんだラミを気遣い。マリーがラミの手を握る。
「マリーさん……、ラミも行く。大丈夫。ラミは大丈夫だから!」
決意に満ちた。ラミの顔に。ハッと息を飲んだブラウニー姉弟だが、
『一緒に行こうラミちゃん』
『うんうんそうだね』「うん!」三人は、手を繋いで。不気味な気配漂う。自分の家に入った……。
薄暗い室内。春の日差しでポカポカ陽気なのに。しっとりと肌寒い……。マリーとラミは、怖くて手を強く握ります。キリーが二人を守るように。前に出ていました。昼間なのに。よく知ってる自分の家とは思えない……、気味悪さに。マリーがプルプル震えた。
「大丈夫だからねマリーさん。ラミがついてるから」
『ラッ、ラミちゃん……、うん!私も頑張るね』
二人はうんうん頷きあい。ようやくマリーの震えが止まりました。
三人玄関を抜けて食堂から、廊下に出ると。
『うっううう……』
奇妙なうめき声を聞きました、途端に決意もなんのその凍り付きました。
「なっ何いまの?」『わっ、解んない。キリー……、見てきて』
『え~ぼくが』
二人に押し出されて、しぶしぶキリーは廊下に歩き出し。辺りをキョロキョロ。
人影はないが、相変わらず怪しい気配が漂っていた。でも見ると自分たちに危険及ぼす者はいないと……、二人の元に戻ろうとした瞬間。
『うっううう……』
やはりうめき声が聞こえて来た。廊下から顔をちょこんと出した二人が。
『キリー見てきてよ』
「お願いねキリーさん」
なんて言われてしまう。本当は怖いのに……。仕方なく。もう少し廊下を探索することにした。
びくびくしながら。抜き足。差し足。ゴブリン足。ゆっくり歩いて行きました。
すると……、うめき声は、廊下の突き当たりにある窓を覆う。カーテンの裏から聞こえてるようだと分かる。
ゴクリ……、恐々。びくびく。抜き足。差し足。ゴブリン足と、ゆっくり、音をたてないよう進む。
二人はハラハラ、ドキドキ、キリーの様子を見守りました。次第に手に力が入るのも仕方ありません。ようやくキリーが、廊下の突き当たりまで着いて、カーテンをめくった瞬間━━。
そこには、がさごそがさごそ音を立てる存在。僅かに換気で開けてある窓枠に、引っ掛かってるカレーナの種が、じたばたもがいていたのです。
『なっ、なんだカレーナ』
安堵のあまり、座り込んだキリー。心配そうに見ていた二人に。大丈夫だと手招きして、安全だと伝えた。
『うっうううその声は、家付き妖精姉弟か?、助かった。済まないが、引っ張ってくれ』
切なる願い。まあ~それはいいが、カレーナの種が、どうして引っ掛かってるのか?、首を傾げつつ。身軽に窓までカーテンづたいに上ると。小さな葉っぱを頭で揺らし。キリーと同じ位の大きさの。植物の種の手を引っ張る。
『ぐっ、ガチリはさまってる……』
『いや~、入れると思ったんだが』
ウエストに当たる。ゴツゴツした部分が、丁度窓枠に引っ掛かってるようだ。『キリーもしかしてカレーナ?』
『うん、マリーも手伝って』
『わっわかった、ラミちゃん、窓上げられる?』
「うん、大丈夫だと思う」
目を丸くして、カレーナを見ていたラミだったが、窓の下にある。小さなラミ用の台を取り出して、慣れた手付きで、窓枠に手を掛け力を入れた。ちょっと固くなってるが、
「よいしょ!」
窓が開く。爽やかな風と春の日差しが入って来て。闇の気配が弱まっていた。
『やれやれ助かったわい。お嬢ちゃんありがとうのう~』
種は小さな手足を動かして、ヒッョコリ立ち上がり。パッチリお目めを丸くして、喜びを表す。
「そう良かったね、私はラミ。あなたはだ~れ?」頭の葉っぱをピョコピョコ動かして、実にコミカルな風貌な、種に興味が沸いた。
『ふぉふぉふぉ、お嬢ちゃんとは、毎日会っておるのだがな、こうして話すのは初めてじゃな、ワシは村の入り口に立つ樹のカレーナと言う精霊じゃな、お前さんの母と契約をしておる』
「カレーナさん……、樹の精霊なの?」そう言われても。今のカレーナの姿と、ギャップありまくり、ピント来ないようだ。
『まあ~よい。早くエルダの元に急ぐぞい』
とてとて種が、両親の部屋に急いだ。三人は呆気に取られたが、種の後に続いた。
━━ラミが部屋に入るや。ブワリ……、闇の波動。強い圧力を感じた……、
ラミは知らなかったが闇の波動とは、強力な闇の魔物。それに連なるモンスターが、無意識に放つ。自分たちの領域を増やす為の。能力だと言われていた。
『グッ。早くエルダを目覚めさせなくばならぬ!!』
慌てる種はテトテト。母のベッドにピョーン飛び乗り、顔をペチペチ。体を揺するが、目覚める様子がない。
『これは……、強力な眠りの魔法か、うぬ……、我が魔法では、役に立たぬ。花の妖精ならば何とか……、できるやも知れぬが』
苦悩の呟き、ブラウニー姉弟は、不安そうに顔を見合う。
「カレーナさん花の妖精さん、呼べば良いのね?」
種の困った様子に。何とかしなくちゃと訪ねる。種は葉っぱを揺らしながら。
『そうじゃよお嬢ちゃん、しかし……』言いにくそうなカレーナさん。ラミはにっこり笑い。右手の親指を掲げ、最初のお友達、クルーレさんを思い浮かべる。
「クルーレさん!、助けて」
ラミの切なる叫びは、お友達と言う契約を結んだ。クルーレに届き、皆が見守る前で。空に一輪の花の蕾が現れた。緩やかに花が咲いて、華やかな草花のドレスを着ている。美しい花の妖精クルーレが現れた。
『ラミちゃん、やっと呼んでくれたわね。話は妖精世界から聞いてたわ。任せてね!』
にっこりお姉さんの笑みを浮かべ、颯爽とカレーナの隣まで飛んで、呆気に取られた種を他所に。お母さんと隣で眠らされてる父さんを調べ。
『これなら大丈夫ね~』
『クルーレ……、そなたは花の……』
カレーナが何か言う前に、ラミに大丈夫だからとウインクしてくれた。
『いや敢えて言うまい。頼むぞ。二人を救ってくれ』
『わかってるわ。ラミちゃんは、私のお友達だもの』
素早く宙に浮かび。華麗なステップを刻んだ。クルーレはくるくるダンスを踊ると。ステップを刻んむと不思議なことに足跡だけが残る。薄桃色に輝き出しました。すると瞬く間に魔方陣が描かれて行きました。
「うわ~!クルーレさん、くるくる綺麗だな~♪」ラミの不安、闇の領域に犯されてることなど、一切忘れて。目をキラキラ、誰もが感嘆の吐息を吐いていました。
『目覚めの吐息!』魔方陣が完成して、二人の瞼に。それぞれフーっと吐息を。吐き掛けるや。パチンて音がして、
「うっ……、何だか随分ね……、この気配は!」
青ざめる父さん。お母さんも軽い頭痛に顔を歪めながら、
「あなたおはよう……、あら?ラミ、カレーナ……」
ハッと息を飲み。慌てベッドから飛び出して、しまっていたスタッフを引っ張り出しました。
「カレーナ説明して!」切羽詰まった顔をしながらも、二人は慣れた様子でした、クルーレさんがホッと、安堵してるのを見ました。
「お母さん!」
「ラミ……」
ギュッと大好きなお母さんに。抱き着いて、安堵のあまりちょっと涙ぐんでいました。
『闇の魔物が、村に侵入した、それに気付いたのは、この家から魔物の気配がしたからじゃ』
申し訳なさそうに。種の葉っぱが項垂れた。「そう……、彼女はあなたが?」
カレーナに目をやるが、全身をフルフル震わせる。思わず訝しげな顔のお母さんに。
「クルーレさんは、ラミのお友達だよ!」
紹介に預かり。クルーレはフワリ踊るような軽やかさで、エルダの前に飛んで行き、花のスカートをつまみ。美しく一礼。にっこり華やいだ笑顔で、
『ラミちゃんのお友達で、花の妖精クルーレと申します』
驚きのあまり、なかなか言葉が見付からないエルダ。だけどクルーレは、理知的な眼差しで、
『ラミちゃんを怒らないで、彼女の行いは私たちに。人間を信じさせる心をくれたわ。それにお友達だから、力になれたのだし。ね?』
大人の対応で説明されてようやく、ラミの親指にある。契約の指輪に気が付いた、なるほどと微苦笑を露にしたが、幸い良い出会いだったようだ。なんだかラミが産まれた時を思い出していた。
「クルーレさん。ラミをよろしくお願いしますね」
『ええ!任せてね』
クスクス二人は笑い会う、話がまとまった所を見はかり。両手持ちの大剣を背にして。更に細身の剣を二本左右の腰に吊るしたお父さんが、「時間が無いカレーナ。お前は村人を守るよう頼む。ラミはクルーレと。村人を目覚めさて回るんだ」
「あなた!、いえ……そうね、ラミお願い出来るかしら?」お母さんと父さんの願いは、とても大切なことだと感じたから、
「うん!ラミ頑張るよ」
「ああ……」素直に。成長した我が子の優しい笑みに、ホロリと目の端を拭う。
「ラミいいかい。みんなを起こしたら。お母さん達が、呼びに来るまで、聖獣さまの祠に行ってなさい」
「はい!」
素直に頷き。油断なく辺りを伺う夫の様子で、あまり時間が無いことが分かる。
「マリー、キリー、ラミを守ってね」
ブラウニー姉弟はしっかり頷き。ラミが産まれた日を思い出した。
エピローグ
━━6年前……。
エルダとリードが、ホビット村に住むようになって。一年が過ぎた頃。二人は結婚していた。村人から沢山の祝福されて。そして……、待望の子を成し。生まれた我が子を抱いた日。国を亡くして以来初めて……、幸福を、噛み締めた時間だった。
子供を授かったと分かって数日が過ぎたある日のこと━━、
夫婦の前に、家付き妖精の姉弟が現れたのでした。
『初めまして、私はマリー』
『初めまして、ぼくはキリー』
可愛らしい双子のブラウニーに。夫婦の顔も優しくなる。
「珍しいわね。あなた達から。姿を現すなんて」
そうなのです。ブラウニーは、とても恥ずかしがりやで、滅多に人間の前に現れません。
『うん。私たちね妖精の王オベロン様から、二人のお子さんを守るよう。仰せつかって来ましたの!』
姉に追従するようキリーが、ウンウン頷いていた、驚いた夫婦が顔を見合せると、ブラウニー姉弟は、
『お二人のお子さんが、私たち全ての妖精。精霊の未来を決める。大切な存在だからですよ』
夫婦はただただ驚いていた、とても信じられない話なのだが……、
「あっ……、今お腹を蹴ったわ」
「そうか、元気に産まれてくれたら。それだけで十分だ」
夫の慎ましい思いやりに。ギュッと幸せを噛みしめながら、
「あなた達が、私たちの子供を慈しみ。見守ってくれるなら、家にいても良いわよ」
双子のブラウニーは、エルダの優しい笑みに。感激して、何度も何度も。頷いて。喜びのあまり踊り始めました……、ブラウニーの微笑ましい様子に。夫婦は愉しげに笑い。それと同時に。不安を覚えました……。
子供が生まれて一月後━━。
可愛らしい女の子の名前をようやく付けた。夫婦はラミ(すみれの花)と名付けた。元気に育つ成長を……、村人全員で見守ることになった。
ホビット村の門番。木の精霊カレーナの気転とラミちゃんのお友達。花の妖精クルーレさんの力を借りて、お父さんとお母さんの目を覚ますことに成功しました。しかしまだまだ油断は出来ない状況のようです。また同じ物語か別の物語で、背徳の魔王でした。