契約の指輪
ラミは朝早く目覚め。大好きな相棒クルクルを探したが、いなくてガッカリ。そこから小さな冒険が始まった。
プロローグ
僅かに差し込む。春の日差し、ひんやりした部屋。柔らかな暖かさを与えてくれるた。花の香り、眠い目を擦りながら、目を覚ましたラミは、大切な相棒を探してキョロキョロ。いないのに気が付いて、散歩に出たのだろうか?、唇をすがめ。残念な気持ちになっていた、そっとカーテンを開ければ、ポカポカ気持ち良い天気である。
「ん~」
クルクルにおはようは言えないのは、とても残念で、ラミは1人で散歩することに抵抗を覚えた、クルクルがいないと、楽しく無いのだ……、
「あっそうだ……」
一つ手を叩いて、ニヘラそれが、楽しいことのような気がした、だから素早く着替え。
音を立てぬように、そっと扉を開けて、部屋の外を伺った。まだ母さんは、起きて無いようだ。クスリ悪いことでは無いが、ちょっとした冒険のようで、ワクワクしてきていた。
「お母さんの宝物。あの指輪……、とっても綺麗だったな~」
初めて見たのは、二年前……、お母さんはスタッフと、綺麗な指輪をしていた。ラミは母さんにねだった。一度着けさせて欲しいとお願いしたら、
『ラミごめんなさい。この指輪は、姉さんからもらった大切な物なの。貴女が12歳まで、着けさせてあげれないわ』
やんわり言われた。でもあまりに綺麗だったから……、
「ごめんなさいお母さん、少し着けたら、戻すからね」息を殺して、ラミは廊下に出た……、ほんの小さな冒険に。
廊下を歩く度。軋む音に。
小さな胸が跳ねる。いつ母が起きてくるのではないか、ドキドキ、隣の部屋まで、抜き足、差し足、ゴブリン足。盗賊と知られる。彼等の掛け声である。ラミはドアノブを回し。そっと手を添えて。ゆっくり音がしないよう。最新の注意しながら、扉を少しだけ開けた。こっそり素早く。両親の部屋に入った。
あの指輪があるのは、ベッドの側にある。小さなタンス。その中に秘密の引き出しがあった、母さんは簡単な呪いをしていた、確か……ラミは優しくタンスに触れながら。
「扉や扉、私の秘密。内緒の秘密」小声で囁くように。言葉を紡いだ。
するとガコン……、引き出しの下の部分が外れた。中に小さな引き出しがあって、キラキラした宝石やペンダントが目についた、それをグッと我慢して、ラミは引き出しの奥に隠されていた、もう一つの引き出しを取り出して、中に大切に仕舞われていたのが、赤い石のそれは美しい指輪である。目をキラキラさせて、指輪を手に、太陽の光に照らした。ラミの指には大きいけど、親指なら大丈夫。
「うん♪やっぱり綺麗だな~」
そうだ、村の皆に見せてこよう。それが凄く良いことに思えて、手を叩いて、ラミは両親の部屋から外に出る。
『あっ……どうしようラミちゃんが、契約の指輪を持ち出しちゃたよ。キリーどうしよう?』
部屋の隅にいた。お揃いの緑色の服を着た、可愛らしい双子は、オロオロし出した。
『まさか魔法が使えるなんて、急いでラミちゃんを止めなきゃマリー』
うんうん頷き合う。家付き妖精の姉弟は、ブカブカのぼんぼりの付いた、帽子をかぶり直し。あわててラミの後を追った。
二人は`家付き妖精´の双子の姉弟で、ラミの母。エルダと契約している。妖精である。大好きなクッキー、ミルクをもらい、お手伝いをする。可愛らしい妖精で、召喚術師の力量により。魔法も使える。
家の外に出たラミは、辺りをキョロキョロ。
「ん~クルクル……、帰ってきてないのか」ちょっと残念な気持ちになった、だってクルクルなら、ラミと一緒に。喜んでくれるから、ラミとクルクルは大の仲良しだから、残念に思い、花壇の前まで歩き。フッと……、異変に気が付いた、
「ああ!、カトレア咲いてる」
そうなんです。母さんが毎日。大切に手入れしている花壇。中でもカトレアが好きで、母さんのお姉さんが、故郷のカトレアの種を、手にいれてくれたと。そう聞いてました。
「うわ~、綺麗なお花。咲いてるね~、クルクルに教えたら、一緒に見れるのにな~」
ちょぴしクルクルと、早く会いたくなりました。
『ん~何よ。うるさいわね』
キョトンとラミは小首を傾げた。何処からか声が聞こえるのに、姿がありません。
ラミの反応に。声は驚いたような声音で、
『あらあら貴女もしかして、私の声聞こえてるのかしら?』
「うん!聞こえるよ~、お姉さんは、何処にいるの?」
声はすれど姿は見えず。ラミは興味津々と辺りキョロキョロ。
『ここよ。貴女のめ・の・ま・え。そうそう、ああ~惜しい、カトレアを見て』
言われるまま視点を下げて、パチクリ瞬き。カトレアの花に、優雅に腰かける。草花のドレスを着た、花の妖精が、艶やかに笑い、ラミを見上げてました。ポカーン口を開けて見いると、
『ああ~コホン、あんまりじろじろ見ないでね。恥ずかしいから』
「あっごめんなさい」
素直に頭を下げる。そんなラミに。好意的に頬を緩め。優しい顔をする。
『あら?……』
改めて目の前のラミを見て、ビックリしたように目をパチクリ、ラミの手にある指輪に注目した。
『貴女。お名前は?』
注意深く。ラミの様子を伺う。確かに彼女の髪は似ている。この家に住む。昔馴染みの……。優しい笑みを浮かべて、
「初めまして、ラミ・ニールです」
ペコリ頭を下げる。そんな素直な女の子。やっぱりそうかと納得しながら、笑みを深めた。
『そうラミちゃんね。私はクルーレ。花の妖精なのよろしくね』
まさしく花が咲き誇るような。可愛らしい笑みに。パーッと頬を赤くして、ラミも笑みを深め。パチン手を叩いた。
「クルーレさん。ラミとお友達になって下さい!」
唐突過ぎてビックリした。今までそんなこと言う、召喚術師はいなかったから、だけど……、その言葉は、悪い気持ちにならない。頬が緩むほど。嬉しい気持ちが溢れた。
『しょ、しょうが無いから。お友達になってあげるわ』
ツンツン顎をつき出すが、喜びは隠せない。
『ラミちゃん指輪のある手を出して、もう一度私にお願いして』
「えっ、うん!」
ラミは素直な女の子、クルーレさんに言われるまま。右手をだして、
「クルーレさん、ラミとお友達になって下さい」
契約の指輪と言う。魔法の指輪がある。あらゆる精霊、妖精、その王と無条件で契約を結べる。召喚術師最高峰の秘宝と知られる指輪。それが契約の指輪である。ただし指輪を持つものは、ある条件が課される。
その一つ。
契約を結ぶのは対象の気持ち次第であること、
その二つ。
契約を望む相手には、必ず応えること。
その三つ。
契約を結んだ対象を、召喚して、対象が死傷するほどの怪我を負った場合。召喚者も。契約中ならば、死傷する可能性がある。リスクのある契約を望む者は少なく。契約の指輪を使う者は、覚悟が必要とされる。
それ故。使い方を悪用される可能性ある指輪だが、指輪をするには。指輪に選ばれなければならない。ラミが気楽にしている指輪は、それほどの力があり、なおかつラミを認めた、それだけでラミと契約するに十分である。そう……花の妖精女王と呼ばれる。クルーレと契約を結ぶに……。
『我が名クルーレは、いかなるときも力になることを、誓おう。ラミちゃんよろしくね♪』
お友達と言う契約が結ばれ。クルーレはラミの召喚妖精となったのだ、
「あっ、クルーレさんよろしくね♪」
機嫌よく。輝く笑みを向けられ。クルーレは気恥ずかしい気持ちで、頬を薔薇色に染めた。
「クルーレさん。良かったら。クルクル探すの手伝って下さい」
真摯な訴えだが……、チラリ空を見上げた、雲の流れが早い。雨が降る可能性が高いのだ。それは花の妖精に嬉しいこと、妖精界で、政務に勤しまねばならぬことを意味する。
『ラミちゃんごめんなさい。私仕事があるから、お手伝いは出来ないの……』
せっかくお友達になって、捜索を頼まれたが、こればかりは仕方なく。済まなそうな顔で、頭を下げた。
「あっ……、うん仕方ないね。お仕事大切だから」
少し寂しげに笑うラミ、クルーレはラミの気持ちを汲んで。ゆっくり羽を羽ばたかせ。ラミの頬にキスをする。驚いたラミだが、嬉しそうに微笑み。クルーレはラミの額に。おでこをくっつけていた、
『ラミちゃんまたまた呼んでね♪』
「うん!。クルーレさんまたね」元気にバイバイできたよ。クルーレは晴れやかな笑みを浮かべ。ヒラリ、ヒラリ、ラミの周りを軽やかなダンスするように。飛び回り。空中に浮かべた魔方陣の中に。ひょいっと飛び込んで消えた。何だが楽しい気持ちになって、ラミは駆け出した、
『ああ~ラミちゃんが契約しちゃった。どうしよう』
頭を抱えるマリー。あわあわするキリーの心配を他所に。ラミはさっさと行ってしまった。
エピローグ
ラミは知らないが、妖精のキスは祝福の魔法があると言われている。花の妖精女王であるクルーレのキスには、あらゆる攻撃魔法を跳ね返す。強力な祝福が与えられたなど、まだラミは知らない。妖精姉弟が頭を抱えていたのはご愛敬である。
それは本当に少しずつ森の奥で、異変が起こりはじめていた。湿地のあるリザードマンの国。さらに先には広大な3つの湖がある。最大の湖は毎年夏に。海竜が訪れ。春になると海に戻るのだが……、大きなシルエットのシーサペントが、悲しげな声を上げていた。ただ一匹しかシーサペントはいなかった……、
やがて。ラミの小さな冒険が、大冒険となって行きます。この小説はショートストーリーで進む。そんな物語です。また同じ物語か、別の物語で背徳の魔王でした。