ハロウィン 2012 【イチ×サン】 豚足 【イルカ×サラマット】 かぼちゃ
2012年は【イチ×サン】【イルカ×サラマット】からハロウィンをお届け!
【イチ×サン】 豚足とハロウィン
「美味しそうだね、頂き」
背後から伸びた腕が、豚足をさらう。
振り返ると、青い髪の青年が微笑んでいた。
「イチ、それはハロウィーンの…」
「え?(もぐもぐ)これ、ハロウィーンのだったの?」
飄々と驚いてみせるイチは、しかし豚足を食べる手を止めない。
「やっぱりお菓子とは言えないだろうか?」
項垂れるサンに、イチが再び微笑む。
「ハロウィーンのお菓子は、悪戯防止が目的。(もぐもぐ)いいんじゃないかな?(もぐもぐ)めっちゃうまいし、愛情いっぱい!悪戯を防ぐ力はあると思うけど?」
「そうかぁ?」
納得いかないサンが、豚足を見つめる。
ふいにイチがサンの腕をつかみ、引き寄せる。突然のことに驚くサンに、イチが不敵に笑う。
「正直言うと…俺はサンが欲しいかな」
「…バカ」
イチはサンから手を離すと、いつものように飄々と笑ってみせた。
「んじゃ、俺仕事あるから。またね」
「豚足喰いすぎだあ!」
扉の向こうで「うまいもん作るほうが悪い」と小さく聴こえる。
「………バカ」
静寂の戻ったキッチンで、サンが小さく呟いた。
(…今日こそサンちゃんのハートをゲットだ)
豚足の味見をするサンに、フローラルの香りを漂わせフロハミが迫る。
「美味しそうd…ぶふあ!」
イチと同じように声をかけたフロハミに、サンの肘が容赦なく直撃した。
【イル×サラ】 カボチャおばけとハロウィン
嫌な予感がした。
扉の向こうに感じる、ただならぬ気配。イルカはゆっくりと部屋の扉を開けた。
「ただいま」
「ただい…おかえりなさい」
窓辺の月明かりが、手足の生えたカボチャを照らす。
カボチャの下から聴こえてくる裏声には、聞き覚えがあった。
「何をしているんです?サラ」
「ぼ…僕はサラじゃないよ?カ、カボチャおばけ君だよ?」
カボチャが手足をジタバタさせる。
―まったく、今度は誰の入れ知恵でしょう。
「カボチャおばけ君が、どうして僕の部屋にいるのですか?」
「お、おばけ君は、お菓子が欲しいんだ!お菓子くれますと悪戯するです」
思わず吹き出す。
「では、お菓子はあげられませんね」
「え?えぇ?」
裏声を作るのも忘れて、自称カボチャおばけが戸惑う。
「残念ですね、誰かさんの大好物を用意したんですが」
「…か、カボチャおばけ君が悪戯する、からお菓子くさい!」
「それを言うならお菓子ください、ですよ」
「お菓子く、ださい!」
不完全ではあるが、よしとしよう。
イルカが受け皿にお菓子を開けると、カボチャの手足がバタバタする。
「食べていい?」
「悪戯されるのは困りますからね。どうぞ」
しかし、カボチャはピクリとも動かない。
「どうしました?」
「…口、作るの忘れてた」