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思い出



押し入れの奥の奥から

突然あらわる一枚の

写真やハガキなんかで

思いがけず

過去へ飛ぶこと


きっと多分

そんなよくある

お話も


この先の未来では

昔話でしか

なくなるのかもしれない




ともかくも

僕は

絶望するほど退屈な

暇潰しのために

携帯のメールを

遡って見てみたりする


そこには

僕がもらった

なんてことのない言葉が眠っていて

そして僕が発した

なんてことのない言葉がよみがえってくる



そういえばこの時

僕は

どちらに転ぶにしても

決着をつけようとした


負けても良いからと

勝負に出ようと思った


心の揺らめきも

やるせなさも

妙に鮮明に

この場所に帰ってきて

僕は

思いがけず

あの頃にいた




そうだ

僕は

やはり

逃げたんだ




その昔

僕は

記憶になる前の

たくさんの物事を

思い出にした気になっていた


触れてもいない

遠い景色も

手に入れた気になって


すべて悟った顔をして




僕は

手に入れる前から

失っていて


だから

多分

そのことに

気づかずにいたんだ




思い出は

奇妙な電気の羅列に

置き換えられて

今は手のひらの中にある


残念な話だけど

多分

それが

消えていっても


僕は

気づかずに

すべてを

なくしていくんだ




―――


電子機器の中にある思い出は、あっけなく消えてしまう危険と隣り合わせなんだと思います。


その容易さが何か良くない←

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