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異国の地
異国の地へ行って
そこに住む人に出会った
何とかなると思った
少しはどうにかなると
だけど、僕は無力だった――
僕はことばを操ってきた
あらゆることを表してきた
ただ 僕の言語の中で
誰かを動かす力も
誰かに届く響きも
誰かのための誓いも
誰かに向けた叫びも
何の意味もなし得ない
その場所を
知ってしまった
誰かが言った
ちゃんと聞こえた
だけど少しも
分からなかった
どれだけ
己の
狭い狭い 自分の国の
小さく 弱い
ただひとつのことばを
使えたとして
僕に何が出来るのか
僕は無力だった
ことば だけ なのだから
ところで
そこで 出会った子供たち
妖精のように
きらきらと笑う子供たちは
何故か僕になついてくれた
僕はただ
一緒にはしゃいで
笑っていただけなんだけど
その中の一人
青い服の女の子
僕の耳元で
囁いたその声を
その一言を
そのことばを
僕は今も
探してる
―
初めて英語圏でない外国へ行き、自らの無力さを痛感させられました。
何を思おうと、何を秘めようと、言語の壁を越えない限り、僕は何者でもあり得ない。
「ことば」なるものをを多少なりとも操ろうとしているがゆえに、その事実への理解がある種の衝撃でした。




