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すきとおる
僕はふと
すきとおった自分を想像してみる
ここにいる僕という存在を
風が通りすぎていく
ありとあらゆる粒子が
光が エネルギーが
僕を通り抜けていく
人の視線も
誰かの記憶も
想いも 声も
はじめからなかったかのように
誰の心にもいないであろうただの男が
エキストラとして
誰でもない誰かみたいに
人混みを歩いていく
物語なんてなければ
記憶なんてなければ
何も 何一つ
苦しくなんてないのに
過去を断ち切って
未来を放棄して
一人で歩いていけるなら
寂しいなんて
口にせずにすむのに
何にもふれず 近寄らず
誰にもさわらず かかわらず
すり抜けるように
知る人もない町をゆく
誰かに会いたいけれど
一人の方が絶対楽で
誰かと話したいけれど
この沈黙が心地よくて
僕は
日常が過ぎていくように
町をすり抜けて行くんだ
しかし実のところ僕は
透明にはなれず
影も消せず
足音も 姿も 重さも 存在も
悩みも 夢も 想いも 声も
期待も 寂しさも 残したままで
僕は多分
誰でもないんだけれど
それでも風は
僕に当たって
乱れてしまう
─
暗い気分。
大切なものを放り捨てようとしている自分の諌め方すら分からず。
時たま「もし僕がいなければ」なんて仮定が頭を過ったり。




