袋小路
何処にでもあるような
薄暗いライブハウス
照らさずに
隠すような照明と
包まずに
貫くような音の波
酒を飲む金もなく
空回っていく虚ろさと
誰もが買える安たばこが
人の足りない空間を
横切っていく
爆音で
かき消しながら
「僕」だの
「君」だのが
「愛」を叫ぶ
もういっそ
「Rock 'n' Roll」つまり
セックスを歌えばいい
もういっそ
「神様たち」にならって
ドラッグに頼ればいい
言葉も音も
思いも曲も
何一つ
残りはしないのに
誰もが何かを探していても
ここは少し
暗くて
狭くて
うるさくて
見つかるはずもなく
歌っていた男の
友達が
酔った口調で
何度も
何度も
彼を誉めていた
だけど僕には
どうしても
僕だって
「愛」なんて
語れはしないけど
何も諦めきれていないけど
すべてが終わった後
誰も去らない
誰もいない
行き止まりで
僕は少しだけ
酒を飲んだ
でも
酔えず
まだ
誉められている
その人に
重なった自分が悔しくて
もういっそ
なんて思いつつ
もういっそ
なんて
―
友人のバンドのライブを聞きに行った時に思いついたものです。
この注釈が必要かどうかよく分からないのですが、彼らの演奏は悪くなかったですし、「僕」が「どうしても」誉められなかった男も友人ではありません。
ただ、この空間はあったような気がしています。




