プロローグ
長編小説でライトノベルに初挑戦してみました。「もっとこうしたほうがいいよ」などのアドバイスが有ればドンドンお願いします。隔週投稿予定です。
「あぁ今日も雨か……」
周りの人には聞こえなないほどの声量で僕は呟いた。雨は憂鬱な気分を気分を生むから昔から嫌いだ。だが、別に晴れが好きというわけでもない。何事もない、害も利益さえもない、無難な曇りという天気が最も落ち着く。僕みたいな陰でも、陽でもない、いわゆる中キャラと呼ばれるような中途半端な人間には一番お似合いである。僕の名前は山田市郎どこにでもいそうなごくありふれた名前である。一体両親はどんな気持ちでこの普遍的な名前をつけたのだろうか?そのことについて考えるだけで腹が立ってきたのでやめておく。天気を確認し、下駄箱に掛けてあったビニール傘を一本手に取る。玄関の扉を開け傘を勢いよく広げる。現在の時刻は朝7時、人々がまるで餌を与えられた鯉のように、死んだ顔で駅に向かっている時間である。その社会に溶け込むように、人流に乗り駅へと歩いて向かう。僕の家から最寄り駅までは、徒歩5分程、走れば3分程で着く距離だ。決して寝坊し遅刻しても大丈夫なように走ったときの時間を覚えているというわけではない。絶対に。駅へと向かう道の両端には家や小さな商店が立ち並び、いわゆる下街という雰囲気を醸し出している。昔は旧街道沿いの宿場町であったとか、なかったとか。僕はこの街に愛着はさほどないのでよく知らない。そんなふうに考えていると。
「一郎くんおはよ~」
そう声をかけてきたのは、高橋のおばちゃんだった。高橋のおばちゃんは精肉店を経営していて、小さい頃からお腹が空くと名物のコロッケ(1個120円)をよく食べに来ていた。このあたりに住んでいる人とは、僕が小さいから関わりがあり全員顔見知りであるため、あまり顔を合わせたくないというのが本音である。無視するわけにもいかないので、そっけなく返事をする。
「おはようございます」と返事をする。
そうこうしているうち間、駅についた。雨に濡れた傘をたたみ手に持つ。電光掲示板の次の列車の時刻を確認する。僕の乗る電車の発車まで5分はある。ICカードの定期券をかざし、改札内へと入る。たまには階段を使ってみるのもいいかもしれないと思い、エスカレーターの横にある階段を登る。案外登るのがしんどい。かばんに荷物が多く入っているせいなのか、今日も雨が降っているせいなのか、はわからない。ホームに上がると人がごった返していた。人が多いからなのか、湿度が高いからなのか、暑さを感じる。雨の日はみんな歩いて行きたくないのか、こうやって人が増える。だから僕は雨の日の電車は好きでない。天井にあるスピーカーから列車の接近を知らせる音楽がなる。急いで僕はいつもの乗車位置へと立つ。まもなくすると列車が入ってきた。目の前にドアが止まる。ドアは開くが降りてくる客はいない。すぐに列車に乗り込むと反対のドアに立っている、一人の女子高校生が目に留まった。その子は、肩につくぐらいの後ろ髪、目にかかるほどの長い前髪、きれいな目を持っていた。この路線の沿線にある高校の制服をきちっと身に着けていた。そして、どこの誰が見ても美人だと思える美貌を持っていた。思わず、私の口から独り言がこぼれ出た。
「きれいだな……」
「あんな子を彼女にできたら幸せだろうなぁ」
それはお世辞というわけではなく、僕の本心から出た言葉であった。それと同時に彼女には”雨”という言葉が似合いそうだと感じた。ただなんとなくというだけだが。彼女の持つ長い前髪からそう感じたのだろうか?よくわからない。僕はあの女子高校生のことを勝手に”雨ちゃん”と呼ぶことにした。自分でもそのあだ名の付け方は気持ち悪いとは思ったが、それ以外思い浮かばなかったのだ。
それから毎日雨ちゃんについて観察しているといくつかのことに気づいた。
1つ目、雨ちゃんは雨の日は決まって6号車の中央の扉に立っている。しかも英単語帳を読みながら。
2つ目、電車内で友達と話している姿は一度も見たことがなく、決まっていつも一人で乗っている。
3つ目、猫の柄の傘を持っている。猫が好きなんだろうか?
たったそれだけのことだか、雨ちゃんについて何も知らなかった僕にとってはすべて新たな発見だった。次第に彼女のことをもっと知りたいと思うようになっていった。だが中キャラである私が雨ちゃんみたいな美少女に話しかけることはできず、このままいつの日か会えなくなってしまうんだろうなと僕は思っていた。あの日が来るまでは……
ご視聴ありがとうございました!
次回2月22日17時頃投稿予定




