表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたけど、実は世界最強でした ―今さら戻れと言われても遅い! 盛大ざまぁ返し  作者: 黒羽レイ
第1章 偽りの追放、真なる覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/32

第5話「精霊姫の秘密と、“滅びの紋章”」


村の長老の家で、エルフィリアはベッドに座っていた。


村人たちが用意してくれた温かい毛布にくるまれ、

蒸気の立つハーブ茶を両手で包んでいる。


精霊姫である彼女を見れば、村中の人がざわつくのも当然だった。


「わ、若いの……本当に精霊族を連れてきおったのか……」


「こ、これ大事件じゃないか……!」


「精霊族の王女って噂、本当なのか……?」


(うわ、村中に広まってる……)


俺は横で、頭を抱えていた。


一方、エルフィリアはというと――


「……リオの隣が落ち着く」


と、当然のように俺の袖をつまんでいる。


(頼むから距離感……!)


そんな中、村長が恐る恐る尋ねた。


「エルフィリア様……

 ひとつ、お伺いしてよろしいでしょうか」


彼女はこくんと頷いた。


「どうして……森の奥で倒れておられたのですか?

 あれほどの力を持つ精霊族が……」


村長の言葉に、部屋の空気が一気に張り詰める。


エルフィリアは視線を落とし、胸元をそっと押さえた。


(あの“紋章の傷”のことだ……)


俺が助けたときには、肩のあたりに

光を帯びた奇妙な紋章が刻まれていた。


あれは普通の傷ではなかった。


和やかだった空気が、静かに変わる。


やがて――


エルフィリアはゆっくりと口を開いた。


◆◇


「……精霊族の国“エルダリア”は、

 今、“滅びの呪い”に侵されているの」


「滅びの……呪い?」


俺は思わず声を漏らした。


エルフィリアは肩の部分の布を少しずらし、

俺と村長に“紋章の傷”を見せた。


淡く青い光が脈打つ刻印。


「これは“虚魔紋章こまもんしょう”。

 精霊族だけが反応する、古い……呪い」


「呪い……!」


「これが刻まれた者は、魔力が乱れて――

 精神を奪われ、最後は“うつろ”になる」


(そんな……!)


「精霊族は魔力で命を保っている。

 だから魔力を乱されると、生きていけない……」


その声は震えていた。


村長が息をのむ。


「では……エルダリアの皆が……?」


「……たくさんの仲間が倒れた。

 お父さま(精霊王)も……お母さまも……

 皆、倒れて、動かなくなった」


俺は息を呑んだ。


精霊王や王妃でさえ……?


「わたしは逃げたの。

 国を覆っていた黒い霧から。

 でも逃げる途中で……

 呪いの魔力が限界になって、森で倒れた」


(なるほど……だから傷が光っていたんだ)


エルフィリアは俺を見上げる。


「でも……あなたが助けてくれた。

 あなたの“世界樹の加護”が、

 紋章の魔力を薄くしてくれたの」


(じゃあ、俺が治癒したのって……)


「リオがいなかったら……わたしはもう……」


そこまで言って、彼女は声を詰まらせた。


俺は反射的にエルフィリアの肩に手を置いた。


「大丈夫。もう倒れさせない」


彼女の細い肩が、小さく震えた。


「……信じても、いい?」


「もちろん」


「……ありがと」


村長は静かに頷いた。


「なるほど……紋章の傷とは、

 古代の呪術“虚魔こまの刻印”……

 村に残る古文書で読んだことがあります」


(古文書……?)


「それは通常、治癒も浄化も効かぬ絶望の刻印。

 だが……世界樹の加護ならば……

 本当に浄化できるかもしれませんな」


「浄化……?」


村長は俺の手を見つめた。


「リオ殿。

 その力で、精霊姫様を……

 そして精霊族を救っていただけませんか」


急に責任重大なお願いをされて、心臓が変な音を立てる。


(お、俺が……!?)


◆◇


だがその瞬間、エリュシオンの声が響いた。


『主、それはあなたの運命の道です。

 あの呪いは“世界樹の敵”が生んだもの。

 あなたが選ばれた理由と無関係ではありません』


(……選ばれた理由……?)


『いずれ分かります。

 ですが、精霊族を救えるのは、

 “世界樹の加護を宿す者”だけです』


部屋の中に、沈黙が落ちた。


そして――


エルフィリアが俺の手をぎゅっと握る。


「お願い……リオ。

 わたしの国を……家族を、助けて……」


その瞳に宿る涙と決意。


逃げられるわけがなかった。


「……分かった。

 俺にできることなら、全部やるよ」


「……っ!!」


エルフィリアが胸に飛び込んできた。


「ありがとう……リオ……!」


(近い近い近い! 今はいいけど!!)


◆◇


こうして、精霊族救済という大きな目的が生まれた。


だがその裏では――


王国本土では、こういう通達が走っていた。


【緊急命令】


“精霊王国の第三王女エルフィリア・エルダリア”行方不明につき、全騎士団に緊急捜索を命ずる。

目撃情報があり次第、速やかに王城へ報告せよ。


そして、勇者パーティの耳にも、その話は届くことになる。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をいただけると励みになります。


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ