表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたけど、実は世界最強でした ―今さら戻れと言われても遅い! 盛大ざまぁ返し  作者: 黒羽レイ
第2章 歪んだ正義、暴かれる罪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/32

第24話 「王国に走る亀裂──勇者失墜の始まり」

◆王国軍、沈黙の帰還


夜明け。


森に残されたのは、

砕け散った聖域の痕跡と、

沈黙する王国軍だった。


カインは剣を握ったまま、

地面を見つめている。


肩で息をし、

額には冷や汗。


「……くそ……」


その呟きに、

誰も応えなかった。


アイナが静かに言う。


「……撤退しましょう。

 これ以上ここにいる理由はありません」


副官が頷く。


「勇者様の魔力波形……

 王都に報告する必要があります」


カインが顔を上げる。


「報告……?

 何をだ……?」


アイナは、はっきり言った。


「勇者が、制御を失ったことです」


その言葉は、

刃よりも鋭く突き刺さった。


グラッドは何も言わず、

ただ背を向けた。


(……違う……

 俺は間違ってない……

 間違ってるのは……)


だが、その言葉は

口に出すことができなかった。


◆王城・緊急評議会


同日、王都。


王城の評議室では、

異例の緊急会議が開かれていた。


「勇者カインが

 禁じられた聖域展開を独断で使用した……?」


「しかも精霊の森で、だと……?」


重臣たちがざわめく。


魔術顧問が資料を叩いた。


「観測結果では、

 あの聖域は“浄化”ではなく、

 侵食型の聖属性です」


「下手をすれば、

 精霊種を絶滅させかねない……」


国王は沈黙したまま、

深く椅子に座っていた。


やがて、低く言う。


「……勇者の力は、

 制御できなければ“災厄”だ」


側近が恐る恐る尋ねる。


「では……

 勇者カインの処遇は……?」


国王は即答しなかった。


「……様子を見る。

 だが――

 監視を強化せよ」


この瞬間、

“勇者は絶対”という神話が、

静かに崩れ始めた。


◆闇で嗤う者


その頃。


王都の地下水路。


松明の光の届かぬ場所で、

一人の男が立っていた。


「……ふふ……」


クロード・ルミナス。


かつて精霊姫の側近だった男。


今は、

闇と契約した存在。


「勇者は暴走し、

 王国は疑念を抱き始め……

 世界樹の子と姫は逃げ延びた」


壁に刻まれた呪符が脈打つ。


「……いい流れだ」


クロードは、

指先で黒い魔力を転がした。


「王国の“正義”も、

 勇者の“誇り”も、

 全部……壊れていく」


「次は――

 民衆だ」


不気味な笑み。


「恐怖と噂ほど、

 人を操るものはない」


闇が、

彼を包み込んだ。


◆新たな拠点へ


一方、森の奥。


リオとエルフィリアは、

小高い丘に立っていた。


眼下には、

古い石造りの遺構。


『主。

 ここは“旧精霊監視塔”です』


「使えるのか?」


『はい。

 世界樹の加護に反応しています。

 一時的な拠点に最適です』


エルフィリアは、

静かに息を吸った。


「……ここから……

 やり直そう……」


俺は頷く。


「王国も、勇者も、

 クロードも……

 全部相手だ」


エルフィリアは、

俺を見て微笑んだ。


「でも……

 ひとりじゃない」


胸元の紋章が、

穏やかに輝いた。


「わたしは……

 王として立つ」


その言葉に、

胸が熱くなる。


(……ああ。

 もう“守るだけ”じゃない)


俺は、剣を背負い直した。


「行こう。

 歪んだ正義を、全部暴くために」


風が吹き、

監視塔の扉が、ゆっくりと開いた。


新たな戦いの拠点。


ここから――

反撃が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ