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追放されたけど、実は世界最強でした ―今さら戻れと言われても遅い! 盛大ざまぁ返し  作者: 黒羽レイ
第2章 歪んだ正義、暴かれる罪

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第23話 「勇者vs世界樹の子──決裂」

聖域の中心で、

二つの剣が激突した。


キィィィン――!!


金属音が空気を裂き、

光と緑がぶつかり合う。


「おおおおっ!!」


カインの剣には、

“聖域補正”が乗っている。


一撃一撃が重く、

大地を砕くほどの威力だ。


(……確かに強い)


だが――


(それでも……)


『主。

 聖域は“他を従わせる正義”です。

 あなたの力は――

 “共に生きるための加護”』


(ああ、分かってる)


俺は踏み込み、

剣を横から叩きつける。


カインの剣が弾かれ、

火花が散った。


「なっ……!?

 押し返されてる……だと!?」


カインの表情に、

初めて“動揺”が浮かぶ。


「ふざけるな!!

 ここは俺の聖域だ!!

 俺が正義だ!!」


怒号と共に、

剣を振り下ろしてくる。


俺は真正面から受け止めた。


「だから言っただろ」


刃が軋む。


「それが――

 歪んでるって」



◆正義の衝突


カインは歯を食いしばり、叫ぶ。


「黙れ!!

 お前は追放された無能だ!!

 姫を惑わせ、

 世界を混乱させてるのはお前だ!!」


その言葉に――


俺は、静かに答えた。


「俺は、

 誰も従わせてない」


一歩、前へ。


「エルフィリアは、

 自分で選んで、

 自分で立ってる」


剣を弾き、

距離を詰める。


「それを否定するのが、

 お前の正義か?」


カインの呼吸が乱れる。


「うるさい……

 うるさいうるさいうるさい!!」


聖域が揺れ、

光が暴走し始めた。


後方で、

アイナが叫ぶ。


「カイン様、止めて!!

 魔力制御が――!!」


グラッドも声を張り上げる。


「これ以上やったら、

 聖域が暴発する!!」


だが、カインは聞かない。


「俺は勇者だ!!

 選ばれた存在だ!!

 俺が間違うはずがない!!」


(……完全に、自分を見失ってる)



◆王国軍の動揺


聖域の外縁。


王国騎士たちが、

異変に気づき始めていた。


「……おい、

 勇者様の魔力……

 ちょっとおかしくないか?」


「森の精霊が……

 逃げ出してる……」


「“浄化”ってレベルじゃないぞ、これ……」


副官が唾を飲む。


「……もしや……

 勇者様は……」


その言葉を、

誰も口に出せなかった。



◆エルフィリアの決断


その中心で。


エルフィリアは、

苦しさに耐えながら立ち上がった。


「……やめて……」


その声は小さい。


だが――


確かに、届いた。


「もう……やめて……

 カイン……」


二人の剣が、

一瞬だけ止まる。


エルフィリアは、

胸元の紋章に手を当て、

一歩、前に出た。


「わたしは……

 精霊王国の……

 王女エルフィリア」


その言葉に、

空気が震えた。


「そして……

 世界樹の意思を継ぐ者」


聖域の光が、

わずかに揺らぐ。


カインが叫ぶ。


「姫!!

 下がれ!!

 危ない!!」


エルフィリアは、首を振った。


「いいえ」


強い声。


「わたしは、

 誰かの“守られるだけの存在”ではありません」


彼女は、カインを真っ直ぐ見た。


「あなたの正義は、

 誰かを傷つけています」


カインの顔が、

引きつる。


「……なに……?」


エルフィリアは続けた。


「それでも続けるなら――」


胸元の紋章が、

柔らかく輝いた。


「わたしは、

 リオの側に立ちます」


その瞬間。


聖域に、

“亀裂”が入った。



◆決裂


バキィ……!!


聖域が、

崩れ始める。


「なっ……!?

 聖域が……!?」


カインの声に、

焦りが混じる。


俺は剣を下げ、

はっきりと言った。


「終わりだ、カイン」


「お前は、

 勇者である前に――

 一人の人間だ」


「正義を振りかざすなら、

 その責任から逃げるな」


カインは、

言葉を失った。


聖域は完全に崩壊し、

夜の森が戻ってくる。


重苦しい沈黙。


アイナとグラッドが、

剣を下ろした。


「……カイン様……」


カインは、

その場に立ち尽くしていた。


俺は、エルフィリアの手を取る。


「行こう」


彼女は、力強く頷いた。


「……はい」


二人は背を向け、

森の奥へ歩き出す。


その背中を、

カインは追わなかった。


――追えなかった。

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