4話 『正しさ』
ーー誰かは誰かの幸せを願った
けれどもそれは小さな願い
人はどうしようもない絶望に追いやられてしまうと、思考を放棄して心を捨ててしまう。
だから拾ってあげなくちゃ
だから覚えてあげなくちゃ
「反逆者K!侵入者の名前は反逆者K!
各兵士は見つけ次第侵入者を排除せよ」
サイレンが鳴り響く
リオンは震える手で腰に携えた剣に手を添え、抜刀の構えをとる。
声は掠れ、けれど必死に絞り出す。
「君が……君が反逆者なのか……」
掟に従えば、ここで刃を振り下ろさなければならない。
だが、胸の奥で何かが強く否定していた。
Kは怖気る様子もなくその眼差しをまっすぐと返した。
「そうだ……俺が反逆者だ」
言葉は静かで、それでいて揺らぎない。
剣を握るリオンの手がさらに震える。
「なら……俺は、君を裁かなければ……それが、掟だから……!」
けれどその言葉とは裏腹に、リオンの瞳は迷いに揺れ、足は鉛のように重く、刃先は決してKに振り下ろされなかった。
Kは薄く息を吐き、わずかに笑みを浮かべる。
「だったら……決めろよ。お前の正しさを」
「正しさ……だって……?」
リオンの喉が震える。掟を守ることが正しさだと、ずっと信じてきた。
幼い頃から、それがすべてだった。
間違いを犯す者は裁かれる。従う者は救われる。
そういう世界で育ったはずなのに――。
Kの瞳は迷いなく、ただ真っ直ぐにリオンを見据えていた。
「そうだ。お前にとって掟は自分の心を越えてまで優先されるものなのか?
それがお前にとって正しい行いなのか?」
リオンの胸に、あの声がよみがえる。
少女の声。
森に隔てられ、孤独に生きていたあの子の歌声。
そして、自分の手で終わらせてしまった、あの夏の日。
(あれも……掟が正しさだったのか……?)
震える剣先が、音を立ててわずかに揺れる。
リオンの足は動かない。腕は固まり、刃はKを捕らえることは無い。
「俺は……」
かすれた声が、喉の奥で掠れて消えた。
その時、大量の足音とともに、この街の騎士たちが石畳を揺らした。
鎧の擦れる音、靴底が刻む重い響き。先程まで和やかな雰囲気で満たされたパン屋はあっという間に鋼の気配で満たされた。
「反逆者Kに告ぐ!今すぐ抵抗をやめて、大人しくしろ!」
先頭に立つのは、先ほど門で相対した騎士団長――ガリウス。
その眼差しは冷たく、無慈悲に言い放った。
「リオン、貴様は掟を破るつもりか!この街を守るなら、今すぐその剣で反逆者を討て!」
空気が凍りつく。
団長の声は重い鐘の音のように、兵士たちの胸を揺さぶった。
「……!」
リオンは剣を抜こうとする。だが震える指先が鍔から先へ進めない。
刃を抜けば、目の前の反逆者を斬らなければならない。
仲間として短くはあれど、時間を共有した彼を。
しかし、それは――。
「どうしたリオン! 掟に背く気か!」
仲間たちの怒号が飛ぶ。
冷や汗が頬を伝う。
リオンの胸の奥で、何かが冷たく崩れていく音がした。
自分の正しさ――それは、あの日以来ずっと問い直すことを避けてきたことだった。
掟の名の下に与えられた秩序に身を預けることで、傷は塞がったように見えた。
だが塞がっていたのは傷ではなく、自分自身の息づかいだったのかもしれない。
(俺は……生きるために掟を守ってきただのはずなのに、いつの間にか、生きているとは言えない毎日を送っていた)
反逆者Kは、驚くほど冷静にこちらを見据えている。
銃口は向けられていない。
その瞳にあるのは、裁きでも恐怖でもない。
ただ──揺るがぬ確信だ。
「俺は弱い……」
リオンの声は、誰にも届かない呟きに消えた。
その瞬間――。
耳をつんざくような警報が街に鳴り響いた。
規律の街に似つかわしくない甲高いサイレン。無機質で冷たいその音は、再び裁きの鐘のように市街全域へ響き渡った。
「告ぐ――」
無情な機械音声が、塔に取り付けられた拡声器から流れ出す。
「騎士リオンは掟を破り、反逆者を街に導いた共犯者と認定する。直ちに拘束し、処刑に処す」
「繰り返す、騎士リオンは掟を破り、反逆者を街に導いた共犯者と認定する。直ちに拘束し、処刑に処す」
言葉は鋼鉄の刃のように突き刺さった。
リオンの心臓が強く跳ね、目の前が暗くなる。
「な……なにを……?」
震える声。
信じられない。つい昨日まで共に剣を交え、笑い合った仲間たちが、背後から冷たい視線を突き刺す。
「やっぱりおかしかったんだよな」
「少女の声が聞こえる? 妄言を……」
「反逆者に心を許した時点で終わりだ」
次々と浴びせられる声は、刃よりも鋭かった。
リオンの足は地に縫い付けられたかのように動かない。
団長ガリウスの怒号が響く。
「リオン! 貴様は反逆者と手を組み、この街に不吉をもたらした。
掟に従い、貴様を処刑する!」
リオンは押し潰される。
自身が正しいと信じて守ってきた掟によって、自身が裁かれる。
心の奥で何かが砕け、迷いと恐怖に押し潰された。
Kは銃を構えず、ただ真っ直ぐリオンを見据えて言った。
「……俺はこの街からすると反逆者だ。それでも俺は、自分の正しさに迷いは無い
お前も自分の心に正しさを聞いてみろ
迷いがあるのならば、それはきっとお前にとって最善の選択肢じゃ無い」
反逆者は手を差し出す。
「今決めろ、お前にとっての正しさは何だ」
リオンの瞳に涙が滲む。
胸を締め付ける掟の鎖と、目の前の「正しさ」を掲げる反逆者。
背後から迫る騎士たちの足音押されるように、彼はとうとう一歩を踏み出した。
反逆者Kの手を取り彼は宣告する
「俺は自分の心の正しさを守りたい!」
Kは力強く頷き、にやりと笑った。
「よく言った、リオン」
次の瞬間、二人の足元を包む石畳に、仲間だったはずの騎士たちの剣が突き立つ。
「捕えろ! 二人まとめて!」
ガリウスの怒号と共に、抜刀した騎士たちが殺到してくる。
リオンの胸は締め付けられる。昨日まで共に剣を振るった仲間の顔が、今は冷たい敵の仮面に変わっている。
それでも彼は剣を抜かなかった。ただ、Kの手を掴んだまま――。
「走れ、リオン!」
Kの声に背を押され、二人は街の外縁へと駆け出す。
サイレンが絶え間なく鳴り響く。石畳を蹴る足音と鎧の金属音が追いすがる。
だが前方には、緑深い森が広がっていた。
(ここを越えれば……!)
リオンは胸の奥で叫ぶように祈りながら、仲間に向けて剣を振るう代わりに、ただ掟から逃れるために走った。
二人は、冷たい森の影へと飛び込んでいった。
騎士たちの足音は次第に遠ざかり、やがて完全に消えた。
残されたのは、夜露を含んだ森の空気と、虫の鳴き声、鳥のさえずりが木霊する静けさだけだった。
「……奴ら、どうして追うのをやめたんだ?」
荒い息を吐きながらKが呟く。銃口はまだ下ろされず、森の奥を探るように睨んでいる。
リオンも同じく肩で息をしながら、木々を見上げ答えた。
「それは……きっと、ここが不可侵領域の《聖域》だからだよ。」
その言葉にKの眉がわずかに動く。
「聖域?」
リオンは頷いた。
「この森の奥には、街の掟で触れてはいけない場所がある。
誰もがそこを恐れて近づかないし、騎士団でさえも足を踏み入れることを禁じられているんだ。
だから俺たちは――今、掟に背いたことで追われてるはずなのに……逆に掟で守られた安全圏にいるってことさ。」
Kは鼻で笑い、銃を肩にかけ直す。
「皮肉なもんだな。掟に背いた奴が、掟のおかげで助かるなんてよ。」
リオンは言葉を返せず、ただ沈黙する。
彼の瞳には、街で自分を見限った仲間たちの顔がちらついていた。昨日まで笑い合っていた声が、掟ひとつで冷たい断罪に変わる。
その現実に胸を締め付けられ、剣を握る手が震えた。
「……でも」
リオンは深く息を吐き、Kを見た。
「俺はもう、戻れない。掟に従う生き方は……もう選べないんだ。」
Kは沈黙した。
代わりにリオンの肩をぽんと叩き、ゆっくりと足を進めた。
全てを持たないはずの彼の背中は不思議な事に力強く見えた。
リオンはその背中を追うように先へと進んだ。
2人は再び声の主の元へと向かう。
「K……俺は、もう一度見つめ直すことにするよ。
自分の中の正しさについて……」
リオンはKへと感謝のような言葉を紡ぐ、しかしその言葉は地面を揺さぶる衝撃によって中断された。
「……っ!?」
空気がひび割れるような音が響き、二人の間を黒い飛行物体が裂いた。
木々の隙間から無数の鎖のような何かが降り注ぐ。
森の闇を切り裂いて飛来するそれは、街を監視する“眼”――《監視者の偵察機》ドローンだった。
「リオン、伏せろ!」
Kが咄嗟に叫び、銃を構える。反射弾を放ち、何体かを撃ち落とす。
だが、群れは一向に衰えず、むしろ規則正しい円を描きながら二人を包囲していく。
その瞬間、地面が大きく揺れた。
地面が崩れ、Kの足元が裂ける。
「K!!」
リオンが手を伸ばす。だが間に無数のドローンが割り込み、遮断するように弾丸を放った。
「……!!!!!」
――視界が崩れ、重力が消えたような感覚の後、Kの体は地下へと引きずり込まれていった。
闇に落ちながら、彼はかすかに声を聞いた。
少女の声。
優しく、しかしどこか悲しげな囁き。
「――進みなさい貴方たちの道は、別れど断たれはしない。」
……………
――落下の衝撃で肺の奥の空気が吐き出され、胸が苦しかった。
Kは石の床に倒れ込み、しばらく呼吸を整えてから身を起こす。
ゆっくりと目を開けた。
その目には街の地下に広がる暗闇――だが、完全な闇ではない。壁に埋め込まれた淡い白光が照らす、無機質な回廊が広がっていた。
「……どこだ、ここは……」
声が吸い込まれる。返事はない。だが、ただの洞窟ではないと直感した。
壁は石造りではなく、黒い鉱石を加工したような滑らかな材質で、ところどころに金属製の管や文字の刻まれた石版が埋め込まれている。
確実に誰かに作られた人工施設だった。
「リオンとは離れたか……」
天井を見上げても先は見えず、さっきまで一緒だったはずの仲間の姿は無い。
立ち止まる訳には行かず足音を忍ばせて進む。道の両脇にガラスの管や、崩れかけた台座が並んでいる。
中には――人の形をした白い欠片が散乱していた。
仮面のような顔、腕だけの残骸、背骨のような金属フレーム。
人を模してはいるが、決して生き物ではない。
人工的なロボットか何かの研究施設か?製造工場には見えない。
だがおかしい事にオクルスの街にはこのような機械のロボットは居なかったはずだ。
異質な気配を放つ部屋を注意深く探してみる。
学校にある保健室の様な部屋だ。
薄暗い部屋は緑色のライトで照らされて、そこにはいくつかの資料が転がっていた。
机の上に散らばった資料には擦り切れた紙と黒い結晶をはめ込んだ装置が混在しており、どれも薄く消えそうな文字で埋め尽くされている。
読めそうな文書を探して眺めてみる。
その中の一束を手に取り文字を読み解く
そこに記されていたのは、見たこともない
「個体番号」と「処理記録」
――まるで実験動物のように、人間の名前ではなく数字で管理された“誰か”の一覧だった。
「被験体No.17:感情不安定、廃棄処分
「被験体No.22:制御不能、隔離」
読み進めるごとに胸がざわめく。最後の一文で手が止まった。
「被験体No.31 ― 覚醒の兆候ありとされる現住民に対し、精神的疲労を与える為に接触。以降、感情機能に異常発生 処刑」
そこには、震えるほど見覚えのある名前が併記されていた。
被験体No.31マリー
現住民 "リオン"
「……リオン……?」
胸にざらついた違和感が広がる。
マリーという名に覚えはない。だが、この書き方は明らかに、リオンと深い関係を示している。
Kはその場で立ち尽くした。
真実の形はまだ見えない。だが、確かなことがひとつあった。
――この街は、リオンをただの兵士として育てたわけじゃない。
何かを仕組み、利用した。
他の資料を探す。
Kは棚を乱雑に漁り、黄ばんだ紙束を引き抜いた。
そこには断片的な記録が並んでいた。
「被験体に対し、認知刺激実験を実施。
効果:一部、感情に歪みが生じる」
「現住民との接触は継続。
覚醒因子を誘発させることで、抑止力としての可能性を検証」
「観測結果:対象リオン、被験体No.31との接触後ーーー本ーーーり断罪」
最後の行だけは滲んだインクで読みにくかったが、それでも“断罪”という言葉だけははっきりと浮かび上がっていた。
Kは思わず拳を握りしめる。
兵士として生きてきたリオンの背後には、こんな計画がうごめいていたのか。
だが、資料にはそれ以上の詳しい経緯は書かれていない。
断片的な実験記録だけが並び、全貌を掴ませないよう意図的に削除されたようだった。
冷たい空気が背筋を撫でる。
ここにあるのは人を守るための研究ではない。
人を利用し、壊すための仕組みだ。
他の資料にはこの研究施設の事が描かれていた。
――この地下は「忌み子」と呼ばれる人工生命を生み出す研究施設。
資料の言葉を借りれば「被検体」。
彼らは生まれながらに人間として扱われず、演算のための道具として設計され、配備された。
「忌み子は、恐怖・孤独・嫌悪を誘発する形質を備える。
その存在を社会に紛れ込ませ、現住民に“選択”を強いる。
断罪により心を鍛え、覚醒因子を刺激することが目的」
そこに書かれていたのは、吐き気を催すほど冷酷な計画だった。
忌み子は怪物でも悪魔でもない。
生まれた瞬間から“役割”を背負わされ、人に憎まれ、恐れられ、最後は殺されるためだけに存在させられた。
Kは手にした資料を見つめながら、奥歯を強く噛みしめた。
もしこれが本当なら、リオンが語らなかった過去の影――あの声の正体も、ここに繋がる。
「……利用するために、生ませて、壊す……それがこの街の、監視者の正しさってことか」
紙束を乱暴に机に叩きつけると、資料は床に散乱し、バラバラになる。
部屋の薄暗いライトが揺らめき、緑の光が不気味に床を照らした。
その光の先に、一枚の紙が目に止まった。
他の黄ばんだ記録と違い、まだ新しい。インクの黒も、乾ききっていないように見えた。
『――記憶の管理者』
そう記された題名を目にした瞬間、Kの頭に鈍い衝撃が走った。
少女の声が脳裏に木霊する。
「進みなさい。忘れてはならない
抗うのなら、私の元へ。」
内容を読み進めるほどに、背筋を冷たくする言葉が並んでいた。
――被験体「管理者」確保。記憶の転写・抽出は断片的ながら成功。
――精神干渉において有効性あり。対象を媒介にすれば群衆統制が可能。
――当該個体は反逆因子に強く反応。ゆえに塔の下層に封鎖。
「……反逆因子……」
声が震えた。
それが自分を指しているのか、あるいは別の“何か”なのか。
読み進めた指先が止まった。最後に、赤字で殴り書きされた一文があった。
『失敗時――廃棄処分』
資料の端には、見覚えのある紋様が押されていた。
“監視者の眼”。
オクルスの門柱にあった無数の目のような紋様
Kは歯を食いしばる。
少女の声、記憶の管理者。
彼女は――監視者により囚われ、利用される存在になっている。
けれどなぜ彼女は、私を呼んだ?私を呼べた?
いくつもの資料を漁り情報が収束しない中
部屋全体が低く唸り、緑のライトが激しく点滅した。
天井の闇の中から、赤い光が幾つも灯った。
点滅するように瞬くそれは、冷たい監視の眼。
――ドローンだ。
地上で見た小型機が群れを成し、黒い羽音を轟かせながら天井から一斉に舞い降りてきた。
鋭いセンサーがKを捕捉する。
空気が震え、無数の銃口が彼へと狙いを定めた。
「……チッ、やっぱり追い掛けてくるよな」
Kは銃を構え、走りながら撃ち込む。
弾丸は壁に反射し、曲線を描いてドローンを撃ち落としていく。
「戦うには狭すぎる。どこか広い場所に行かないと」
ドローンをいくつも撃ち抜きながら進むと、洞窟のような狭い空間から、まるでクレーターが空いたかのような吹き抜けの空間へと移動していた。
久々に見た太陽の光は少し眩しかったが、それでも空気が美味しく感じられる喜びの方が大きかった。
ドローンの姿は見えない。
入り組んだ地下施設を、走り抜けながら個々撃破して逃げたんだ。
そうそう追いつかれはしないだろう。
吹き抜けとなったほぼ屋外のエリアは、天井が崩れ落ち、淡い空が覗く。
その巨大な窪地は、まるで人工的に刻まれたクレーターのように深く、大地の表面が無言で裂けていた。
かつての施設の残骸が縦横に折り重なり、鉄骨の梁が空に突き出し、朽ちたパイプが草間に絡まっている。ところどころに生えた苔や小さな草が、薄い緑の帯を描いて無機質さを和らげていた。
狭苦しい通路の緊張から解放される瞬間、その安堵は短く、しかし確かに甘かった。
銃を腰に戻し、肩を落とす。
「……助かった、か」
心臓の鼓動がようやく静まっていく。
その静けさもつかの間、空気が変わった。
冷たい光の粒が舞い、陽光に淡く溶けていく。
その中心に、一人の少女が立っていた。
長い白髪が風に靡き、青い瞳は湖面のように静謐。
純白の衣は月光を編んだ布のように輝き、全身を包むその姿は、まるで伝承の天使のようだった。
あまりにも唐突で、あまりにも神秘的で、Kは思わず息を呑んだ。
「……お前は」
口からこぼれた声は、自分でも制御できないほど震えていた。
少女は微笑みを浮かべ、囁く。
その声は――まさに、あの導きの声だった。
「ようやく……来てくれたのね、反逆者」
胸の奥で何かが震えた。
懐かしい。確かにこの声を知っている。だが、思い出せない。
名前も、記憶も、すべてを失ったはずなのに、彼女の声だけは心を掴んで離さなかった。
一歩、二歩。
知らず足が前へと出る。
ーーしかし、その瞬間、鋭い違和感が背筋を貫いた。
あまりに整いすぎた笑顔。
瞬き一つしない青い瞳。
呼吸の揺らぎすら感じさせない立ち姿。
Kは足を止め、ゆっくりと銃を構え直した。
「……お前は誰だ?」
問いかけに、少女の微笑みは崩れない。
だが、その奥に、人間らしい“生の揺らぎ”が欠けていることを、Kの直感は告げていた。
この少女は偽物だ――。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
第一章の核心に迫る情報 被検体である忌み子
そして、メインヒロイン、アーカイヴ・レコーダーの登場。
次回更新をお待ちください。




