85話 崩壊への序章
レイが開拓を始めてから約一年と三か月が経過した。
エルナンド国の再興から始まった開拓は、巡り巡って交易(予定)国家レグディの建国を決定づけた。
机上の空論だった北部と南部を繋ぐ大運河の開通は現実のものになりつつある。
移住者は集まり続けている。大魔境をぶち抜いて建国しているレグディは人の受け皿として非常に優れている。魔法と武技を授けられた人々は大魔境に戦力として繰り出していく。
産業も多く生まれた、ギルドという枠組みも受け入れ非常に早く発展している。南部の軍事力も壊滅したせいで庇護も求める国々も非常に多く、大魔境の内部どころか、グレイアス大陸の南部も丸ごと国土に出来るかもしれない。国の力が伸び伸びと伸びそうだ。
賢神の試練で得られた知識は五大国から送られてくる援助の見返りとして十分な量を差し出してなお十分以上の利益がある。これをもとにレグディはいずれ六番目の大国になることは確定と言えるだろう。
これにはレイもご満悦だ。全てが順調。珍しく魔境にも賢神の試練にも工房にも執務室にも行かず、楽しそうにお城の上層にあるバルコニーで快晴の青い空を見上げて頬を緩めている。その姿はアルトが呆れるほどだ。
「ねえレイ、本当に今日はどこにも行かないの?気まぐれで魔境に行くなら今すぐ決めてよ?」
「しんぱいしなくても、いかないってばー。きょうはあたまがやりたいことでいっぱいだから、なにもできそうにないからー、おやすみだよー」
「……はいはい。まあ、このお城なら危険はないか。じゃ、私は部屋の掃除でもしてるわね。最近は侍女服に袖を通してなかったから感を取り戻さないと」
ぽわぽわしたレイを置いて遠くに離れていく。今のレイは使い物にならないと判断したようだ。
しかし仕方のないことでもあるとアルトは内心で納得する。レイはいつも働いている。現地で素材の調達だけでなくその加工、組み立て、使い道、外部との調整などなど、アロスの姫様たちが苦言を呈しても全く聞かずに動き続けている。この一年……いや、思い返せばレムレスティ修道院にいたころからレイが休んだ日というものを見たことがなかった。
本人は仕事と遊びを同一に捉えている様子があるのだが、良くないことだろう。仕事で大切なのはメリハリだ。遊ぶときは遊んで、引き締めるときは引き締める。これが出来ないとどえらい失敗をするということをアルトは知っていた。
優しい顔で離れると、すこしして見慣れない貴族がバルコニーに入ってきた。
「これはこれはレイ様、奇遇ですな。ご機嫌麗しゅう」
「???……ああ、ろーばとむのがーらんさん、こんにちはー」
「……え、ええ。こんにちは」
ガーラン・フーカー。ローバトム国という小国から最近レグディに来た貴族だ。歳は四十半ばといったところだろうか。国力が乏しい小国だが周辺諸国との共同体を作り上手く立ち回っていると聞いている。実際に噂以上に有能な貴族だ。アンリムも褒めていたから印象に強く残っている。
そこまで思い出して、レイの思考は再び溶けた。今日は休暇である。やりたいことが頭の中で飽和して何も手が付かない。思えば生まれてから十一年間で休んだ記憶もあまりないので、今日は完全に何もしない日、日向ぼっこの日である。
これは周囲の人間を信用してのことだ。レイが大陸を巻きこんで起こした大嵐、六番目の大国の樹立の計画は既に達成したといっても過言ではない。
始まりはエルミナと結婚したいという感情、いや、衝動だった。多くの偶然に転びかけたが多くの助けがあったことでここまでこぎつけることが出来た。近くで助けてくれたアルトとアヤメにユニリンはもちろんだが、政治的に全面的に協力してくれたローレンティアとアンリムも同じくらい助けられた。五大国からの援助をうまく活用できたのは姫様たちのお陰だろう。みんなに感謝しているが、特に彼女たちには非常に強い恩を感じている。
同様に、彼女たちが自分を助けてくれているのだから、自分が肩に力を入れすぎるのも間違いだと考えている。後ろに立っているガーランも同様だ。詳しくないし親しくもないが、ここでおかしな行動をしたらアンリムが必ず制裁を与えるし、ガーランも知っているはず。だから何も警戒は必要ないし、このまま日向ぼっこをしているままでいい。寝ころんだままというのはマナーが悪いが、まあレイは実質的にこの国の王様なので問題にもならないだろうという慢心もある。
隙だらけ、という事実が無くならないのも、また事実だが。
「そういえばレイ殿、いい機会なのでお聞きしたいことが。レイ様はご自身の将来をどのようにお考えですか?アロスの姫様たちと、どちらとのほうが仲がよろしいのでしょうか」
「どちら……?」
「はい、アンリム様の方であろうと皆が噂しています。私もその通りだろうと思っていますが、せっかくの機会なのでお聞きしておこうと」
「はにゃ……?」
ぽかんとした表情でレイが聞き返す。その表情は年相応……いや、今まで大人びていた反動なのか、今までとは逆の意味で年齢不相応というべきか。
実年齢が十一歳、普段が二十一歳なら、今は一歳児が浮かべる表情にも見える。しかし肉体に搭載している脳の機能が低下したわけではないので、すぐに結婚の話だと理解した。
「けっこんはしませんよー、けっこんはえるみなとしますからー。あいつだけですよー」
「――――……は、エルミナ……様?ですか?」
「そーそー、えるふのえるみな、そろそろむかえにいけるかなー」
レイは楽しそうに語る。いや声を漏らす。その表情は無垢の赤子が親に抱かれ笑みを浮かべているようだ。
「…………しっ、失礼!!少々急用を思い出しました!!」
「……またね?」
ガーランは様子がおかしくなり、レイが寝返るを打つように振り向くと既にいなくなっていた。
その行動に少しだけ疑問を感じ、状況の整理と相手の心を読もうとして……やめた。
読心術は警戒行動。アンリムたちがいる以上、彼にも警戒は必要ないのだから。
「ふぁあ……くぅ……」
レイは再び日向ぼっこのお昼寝に戻った。
「おやガーラン殿、いかがし――」
「ガーラン様、様子が――」
レイとの対談を終えたガーランは真っ青な顔を見られたくないというように急いで自室に向かう。その様子は彼をよく知る人なら一目で分かるほどに異常だった。
いや、優れた貴族である彼自身が自覚していないことが一番の異常事態というべきか。レイの居住地兼職場である城の隣にある建物群の一つにガーランの部屋は与えられている。自室に着くと勢いよく、殴るようにドアを開いた。
「だっ、旦那様!?どういたしました!?」
「手紙を書く、今すぐだ!用意してくれ!」
「はっ、はい!」
待機させていた従者からインクを受け取り、自国の王へと手紙をしたためる。内容は即時帰国の嘆願、もしくは追加の人員の要請。今後の計画が破綻した事実、王女の婿探しの再検討。
そこまで書いて、彼は手紙を握りつぶした。
「ちくしょう!!!!!!!」
「ひっ!?旦那様!?いかがなさいましたか!?」
「……くそっ!」
「ひぃぃぃ……」
自分の拳が壊れるほどの勢いで机にたたきつける。彼は錯乱していた。長年重用し信を置く従者も初めて見る姿に動揺を隠せない。
しかし、従者が想像したよりも遥かにガーランはパニック状態だった。
(馬鹿な!?冗談だろ!?エルミナというのは誰だか知らないが、一人としか結婚しないとか馬鹿なんじゃないか!?最低でも五大国から一人ずつだろう!?)
彼は内心で悲鳴を上げる。それほどまでにレイから聞き出した情報が異常だったからだ。
交易国家レグディが六番目の五大国になるというのは情報と情勢に強いものなら事実と断言できるほどに確かだ。レイはそんな国の建国王である。少々状況が特殊であるが……おそらくレイが成人年齢である十五歳になるころに正式にレグディの建国を世界に宣言するのだろう多くの者が考えていた。
その時、傍らには王妃としてアンリムがいる、というのも同じくらい確かだろうと、誰もが思っているのだ。
この世界はまだまだ文明が未発達であり、書面だけの契約という約束事は効力が弱い。文字通り薄っぺらく、破ったところでお咎めも効果が無いなどざらだ。約束は破られる前提で動き、備えることは常識だろう。信用できる書面での契約など、それこそ五大国同時の中でもトップクラスの重大な契約くらいだ。
しかし、そんな世界であっても家族は大切であるという絶対の前提は世界的に……いや、人類全体で共有できることだった。だからこそ信頼の証として、時に子供を人質として、もしくは婿や嫁として相手の家に送るのことで絆が深まるのだ。
それがこの世界の貴族の常識である。思えばレイが自分から話題にあげることはなかったが、当然すぎて自分が知らないだけで裏では話が進んでいるのだろうと推測した……いや、常識的に考えていた。
国王として初代であるレイは多くの有力者と繋がりを持ち後継者も作らなければならない。具体的には多くの嫁を貰い子供を作るべきなのだ。
その場合、第一婦人となるのはアンリムだろう。最も繋がりが強固なアロス国の王の娘たち。姉のローレンティアは王位を継ぐのでアロス国の女王となり、継ぐべき領土が曖昧で後継者として争う可能性もある妹のアンリムはレイの国に送る。そのためにアロス王も全力で援助しているのだろうと推測し……いや、常識で考えていた。
残りの大国の君主たちにも娘がいるからレイが嫁にもらうのだろう。大国の王ならば妻が二桁いる程度は当然だ。珍しく王の妻が一人だけのアロス国で育っていることや、スラムで拾われたあたりの情報が少々の不安材料だが……しかし、少々思考が特殊だが、貴族たちの社会で育てられ、王侯貴族として常識も持っているはずのレイが取るであろう行動は予想できる……はずなのだ。
レイは少々特殊な人間だが、英雄と呼ばれる人間は総じて特殊である。それにレイは常識的な一面も強い。アロスの姫様たちに助けられているといっても、エルナンド国の復興のころから集団のトップに立ち適切に人々を導いているのがその証拠だ/単に能力が高いだけなのでは?
それにレイは仲の良い女性が非常に多い。本人を含めて年齢を考慮すれば少女や幼女と呼ぶべきかもしれないが……婚約や結婚を当然の事柄として生きている貴族たちにとってもあまり関係ない。ララクマ帝国の武門十七衆の娘であるアヤメとどちらだろうか。正妻でないとしても良好な関係の者たちの中から何人かは娶るだろう。
多すぎても良くない。しかし大国の王の初代なら妻の数が三桁になっても多めであるがありえないとは言えないだろう。
だからこそ、ガーランの故郷であるローバトム国もなんとか王女をねじ込めないかという話があったのだが、全てがおじゃんになった。
(何はともあれ私は逃げて……いや、逃げてどうする!?レイ殿は大陸を巻き込んでいるんだぞ!?逃げ場なんてどこにもない!)
ガーランは筆を走らせて手紙を書き、何度も没にしては再びしたためる。彼の混乱を表すようにゴミとなった手紙が山のように積み重なる。
六番目の五大国。それは人類にとって希望の一つだ。人間社会は発展と停滞、そして衰退の歴史でもある。発展が限界になれば停滞し、停滞を打ち破れなければ必ず内紛が起こり衰退する。これは必ずだ。だからこそ開拓村制度や他国との戦争で何とか停滞を打破しようとする。
北部と南部を遮る大魔境の開拓もその一つだ。誰もが頭に浮かべながら現実的ではないとしていた偉業、机上の空論が現実に成ろうとしているのだ。これだけでも偉業なのに、賢神の試練を超少数精鋭で攻略し、しかも得られた賢神の知識を振りまくという聖人君子のような振る舞いに、これらに匹敵する『魔法を使えるようにする魔法』の開発、さらに精霊武技なる特殊な武技が使えるようになる奇跡の術も同等の価値があるだろう。
一つ一つが人類の歴史書に残る偉業といっていい。全部をこの一年と三か月で行ったというのだから、ガーランも自分の眼で見なければローバトム王たちのように信じなかっただろう。
同時に、この超大嵐の影響を受けて北部でも情勢が非常に大きく動いている。五大国では波乱が起こり、中小国家は尻に火が付いたよう。
レフロート聖王国では教皇派のクーデター、聖女派との激突。武器の出所がザザラザ商業連邦なのではないかという疑惑。他の大国たちの最高戦力も集結しどこまで戦火が広がるのか、それとも早く終わってくれるのかと誰もが固唾を飲んで見守っている。
ガーランの見立てではすぐに収まるだろうと考えている。もうすぐ交易国家レグディが正式に樹立する(はずの)大事な時期。だからこそ起きたともいえるが、終結を望む人の方が多いはずなのだから。
同時に中小国家もパニックだ。世界が動くときは国が動くとき。大国は影響が大きいだけで発展するだろう。しかし中小国家にとって大きな影響とは国家の滅亡も候補に挙がるのだ。
国家の滅亡には様々な要因が考えられるが、その中でもレイが世に出した『魔法を使えるようにする魔法』と武技を授ける精霊の奇跡、そして五界から魔物を召喚する召喚石。このあたりは直接的な意味で特に危険だ。政治的ではなく物理的な意味で国家の危機である。特にこの世界では強力な魔物が魔境から何故か出てきた、単独で国家を滅ぼされたという事例もあるのだから。
そしてこの嵐の中心にいるのがレイであり、ローバトム国から代表として派遣されてきたのがガーランだ。人類社会全体から見れば小国なぞ大したことはないが、本人たちにとっては守るべき世界の全てともいえる。
怖いから帰ってきました、などといっても社会的に死ぬ。故郷すら逃げ場ではない。
(………………いや、まてよ、そうだ!陰謀か!?これは何らかの陰謀に違いない!そうだ、その通りだ!妻を一人しか娶らない?たった一年で国を作り、ここまで大魔境を開拓したレイ殿が?英雄は非常識な存在といっても、彼は武勇だけでなく、政治的には非常に優れている。私はまだこの国に来てから日は浅いが、王宮で育ち、アロスの姫様たちに能力面も信頼された者の能力が低いなどありえない。定石というにも不自然だ。ならば、そう、つまり、これは何らかの大いなる陰謀で――――。
…………………………私のような、小国の代表に、そんなことをする意味が、どこに?)
「旦那様、やはり様子がおかしいです、治療師の方をお呼びしますからね!?」
ガーランはついに力が抜け、机に倒れ伏す。ペンは手を離れ、インクが床の布を汚した。
信じられない。信じがたい。信じたくない。
足元が崩れるようだ。栄光に繋がる船に乗ったら、船底に穴が開いていた気分だ。
……いや、船底の穴に気が付いて船長に報告したら、「たぶん大丈夫だよ。それに失敗も人生のスパイスだよね」と返事をされた気分、と例えた方が近いのかもしれない。
ガーランは貴族である。小国ではあるが、王に近い家に生まれた貴族である。彼は若いころからフライテンを始めとした大国に留学し、勉学を学び、その後は中小国家も自分の眼で見て回った。今のローバトム国が周辺諸国と連合を組み上手くやれているのはガーランが築いた人脈のお陰といっても過言ではない。
そんな彼は理解していた。人は、一人では生きられないのだと。人間は社会性のある生き物だ。人間は弱いから社会を築く。社会を作って助け合う。助け合って生きている。個人で国を亡ぼせる強力な騎士や冒険者だって、食料の生産や衣服の仕立て、武器の手入れに住居の建築まで全部を一人で出来るということはない。
助けた方は自覚せず、助けられた方も自覚しない。それでも人間は助け合って生きている。それが四十年以上生きたガーランの結論だった。
その理念で言えば、レイは少々破天荒……いや、博打気質が強すぎるのではないかという疑念を抱いていた。
報告によれば、レイは常に強敵に挑んでいる。最初に名を轟かせたのは山飛びの戦場でリリア・ララクマを誘拐した時だったか。あのフアナが珍しく剣を振るったという事実に目を奪われがちだが、フアナは二百年前の戦争を境に引退したはずなのだ。フアナを引っ張り出したきたと推測されているが、フアナは勝手に来ただけで、レイは「ワンちゃん行けるだろう」くらいの気持ちでA級冒険者八名という、アロス国国礎十五柱やララクマ帝国武門十七衆級の八名にも等しい戦力に挑んだのかもしれない。
他の報告でも、例えばレイは幼い身でアロス王に教わって陰謀術を使いこなしアストラ公爵を暗殺したという。
本当だろうか。確かに暗殺した事実が残っているが、本当に入念な計算の上の行動なのだろうか。
ララクマ帝国では竜倒祭で優勝して名を馳せた。博覧会で発表する内容をより多くの人を集めるためだという。
本当だろうか。全て考えていたというには、途中の単身でザルダリア州の暴動を鎮圧した功績は広めないのはなぜだろうか。
疑い始めればきりがない。しかし、一度疑問を持ってしまえば無限に疑えしまう。
レイは回復魔法の達人だという。レフロート聖王国の聖女にも匹敵する腕前らしい。最近は多大な功績をあげて【打撃治療師】のカイガキすら凌駕していると称えるものをいるほどだ。
もしかして、回復魔法で治し、口封じをしているだけで、失敗の数の方が多いのではないだろうか。
レイは賭博気質が強いのではないだろうか。国のトップになれば、賭博気質は息を潜める……の、だろうか/本当に?
レイは善良な人間だ。民に犠牲が出ることはしないだろう/どれだけ落ちぶれても寒さと飢えに苦しまないほどの福祉はこのためでは?
安定して八十点を取るよりも、五割の確率で失敗しても百点を目指すのは構わない。英雄とはそうして生まれるのだから。
しかし王様になってもそのなり方を続けられるのは非常に困る。
「はぁ……はぁ……ぁぁぁ―――」
「旦那様、お気を確かに!呼吸が苦しいのですか!?」
レイの性格は楽観的で、悪く見れば軽薄だ。それに、スラム育ちだという。頑丈だし、回復魔法を感覚的に使えるらしいし、許容できる苦しみの大きさは相当大きいはずだ/自分を基準に考えていないか?本当に?
どれだけ落ちぶれても、前を向ける世界を作りたいとレイは言っていた。レイはそこを隠していないし、よく演説もしている。もちろんガーランも知っている。
思えば、『落ちぶれることは』、許容しているように思う。
うっすら気が付いていた。レイは犠牲を許容するタイプだと。
「こうしてはいられん!とにかく、レイ殿をトップに置かない組織を作らなくては!いくぞ!」
「だ、旦那様?」
ガーランは心に灯がともり、立ち上がる。心配そうな、疑問顔の従者を連れて親しい貴族の元へと急いで向かう。人の世とは足で出来ているのだから。
「クーデターでも起こす気か……?」
そんな彼らを、呼ばれた治療師は誰かに報告した方がいいのだろうかと困った顔で見つめていた。
「グー……はっ」
「レイー、そろそろ日が暮れるわよー。寝るなら布団で寝なさい」
「……運んで、アルト姉」
「はいはい。珍しく甘えんぼね」
丸一日を昼寝で過ごしてレイは、今度は夜眠に入る。
全てを記憶する脳は反射と無意識の行動も記憶している。
しかし本人に思い出すつもりがなければ、宝の持ち腐れである。
90話には完結です。最近は思うように執筆できず週一投稿が崩れがちですが、幼少期編完結まで頑張ります。




