表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/121

Episode:84

 そのまましばらくルーフェたち、厳しい顔で空を見てたけど、そのうち警戒解いた。

 こんどはあたしにも、ちょっとだけ空の空気が緩んだの、分かったかも。


「行ったわね。様子見かしら?」

「たぶん、そうかと……」

 あたしもそうかな、って思う。だってもし向こうが本気なら、これじゃ済まないもの。

 そして……気づいた。


「もしかして、見張られてる?!」

 自分で言いながら、背筋が冷たくなったの。


「これじゃ不意打ち、出来ないじゃない!」

「そうでもねぇだろ。こっちの手の内、晒してるわけじゃねーし」

 イマドに指摘されて、少しあたし落ち着いたかも。


「そっか……。でも来てるのは、バレちゃってるってことだよね」

 何でだかわかんないけど、あたし竜が気づいてないって思い込んでたから、ちょっとショック。

 けど先輩やルーフェ、そうじゃなかったみたい。


「あなた、子猫ちゃんの報告聞いたでしょう? 今のは二度目。だとするなら、前回の時から儀式でうろうろしてるのなんて、向こうには筒抜け。今頃驚くなんて、少し頭が足りないんじゃないの?」

「そりゃあたし、足りないですけど……」


 なんかすっごい、ぐさっと来たかも。だってあたし、ルーフェやイマドやシーモアみたいに、頭良くないんだもの。

 頑張ってないわけじゃないんだけど、もう頭の構造違うんじゃない?ってくらい、みんな出来るし。


「……あら、本気にしちゃった? あぁそんな顔しないでちょうだい、妹が泣くのは耐えられないわ」

 言って先輩手を伸ばして、あたしのおでこをちょんと突付いて。


「いいこと? 人なんてね、差があって当たり前なの。問題は、差があるのを承知で何をどうするか、じゃなくて?」

 ちょっと意味がわかんなくて、首かしげてたら、先輩が少し笑ったの。


「むつかしかったかしら?」

 あごに手を当てた先輩が、あたしを見下ろして。ちょっと女王様っぽいけど、でも嫌な感じじゃないかも。


「要するにね、あなたはあなたで、子猫ちゃんじゃない。これは分かるわね」

「あ、はい」

 それなら分かる。だってあたし、ルーフェじゃないもの。


「だったら、違って当たり前。双子だって別人なのに、他人じゃなおさら違って当然だわ」

「ですけど……」

 違うのは分かるけど、あたし、違うから悩んでるわけで。やっぱりあのくらい、いい成績取ってみたいもの。


「だから、いいのよ、ダメならダメで。そりゃ最初から放棄する子は、私だってイヤよ? でも死ぬほどやってなおダメなら、仕方ないでしょ」

 そして先輩、なんとも言えない笑みを見せながら、またあたしの額つつく。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ