Episode:83
「えっと、あの、ごめん……」
条件反射でルーフェ謝ってるけど、何がどうなってまずいのか、ホントの意味は分かってないだろうなぁ。
ただイマドのほうは、それだけでも落ち着いちゃったみたいで。
「いや、謝んなくていいって。つかお前、悪くねーし」
「そ、そぉ?」
泣かせないように必死のイマドと、優しくしてもらって嬉しそうなルーフェと。なかなか微笑ましかったり。
「ほら、いいから食えよ。また食いっぱぐれっぞ」
「あ、うん」
当然今度は、横の殿下がおかんむり。
っていうか、殿下も諦めればいいのに……。
「子猫ちゃん、こっちへいらっしゃい。一緒に食べましょ」
殿下のほうをじろりと睨みながら、結局イオニア先輩が引き離した。
でもルーフェがそこ立っちゃうと、今度は殿下とイマドの組み合わせになるわけで。これはこれで、最悪のペアかも。
もうね、どっちも「楽しい食事」とか、地の果てに忘れ物な感じ。ただただ無言で食べてるの。
当然、見てるこっちも楽しくないわけで……。
「んー、やっぱおーいしい~!」
間違い。若干1名、楽しそうなのが居たっけ。
「みんな食べないの? ミルちゃん食べちゃうよ?」
「こら、てめぇ、食うんじゃねぇ! つかなんでそう、ルーフェイアのばっか手だすんだっ!」
そうなのよね。ミルって大人しいルーフェの、よく横からさらってくの。やられてるルーフェのほうも、大人しい上にお人好しだから、どうぞどうぞって感じで何にも言わないし。
「だってルーフェ、食べないんだもん」
「それでも食うなっ! こいつ、時間かかるだけだっての!」
イマドもイマド。よく面倒みるなぁ。
そのとき突然、ルーフェが太刀を取って立ち上がって天を仰いで。
同時に反応したのがイマド。いつも思うけど、あのルーフェの速さに、よく付いてけると思う。
「子猫ちゃん、これ、報告にあった気配と同じ?」
先輩も分かってるみたいで、そんなこと言って。
ただ悔しいけど、あたしは分かんなかった。言われてみればそんな気はするけど……気がするだけ。確信持てないもの。
「似てます。たぶん、同じかと」
「同じだな。けど、魔力妨害かけてやがる。はっきり見えねぇ」
あれ?と思う。この言い方だと、イマドのほうがもしかして正確?
ただちょっと、納得もできたり。イマドがここまでいろいろ見えるなら、ルーフェと互角にやれるのも、分かる気がするもの。
だとしたらなおさら、殿下には入る隙ないんじゃないかなぁ……。