表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/121

Episode:66

「じゃぁ聞きなさい。上位種の竜の特徴は?」

「んー、飛べる、大きい、頭がいい、魔法が使える、あと魔法があんまり効かない?」

 訊かれたナティエスが、次々と挙げる。ほぼ正解だ。

 イオニア先輩も、満足そうにうなずいた。


「よく出来たわ。で、その中で今回問題になりそうなのが、“魔法が効き辛い”ってこと。これは分かるわね?」

「あ、はい」

 みんなうなずく。


「で、仮にこの魔法で足止めしたとして。予想通りの効果が出なかったら、あなたたちどうするつもり?」

「あ……」

 そこまで考えてなかったんだろう、ナティエスやシーモアが慌てた表情になる。


「やれやれ。まぁ候補生でもないなら、こんなものかしら? とりあえず何か思いつくなら、言ってごらんなさい」

 少し考えて……あたしは思い切って言ってみた。


「あの、複数で唱えるのは……」

「方向としては、悪くはないわね。でもムリよ」

 あっさり却下される。けど、悪くないのにダメな理由が分からない。


「あぁ、子猫ちゃんには難しかったかしら?」

 あたしの表情で分かったんだろう、先輩がそんなことを言う。

「子猫ちゃん、あなた、魔法得意でしょ?」

「え? あ、はい」

 なんであたしが子猫なのかは分からないけど、魔法が得意なのは確かだ。


「やっぱりね。まぁその年じゃ仕方ないけど、覚えておいたほうがいいわ」

 そう言うと先輩、腰をかがめてあたしと視線を合わせた。

「この魔法、誰でも使えるものじゃないわよ?」

 言葉と一緒に、ぱちんとおでこを弾かれる。


「えっと、あの、えっと……?」

「あぁいいのよ、才能があるのは悪いことじゃないから。ただね、誰でもあなたみたいに、こんな大きい魔法が使えるわけじゃない。分かるわね?」


 言われて気づく。

 確かにこの魔法、たぶん扱いづらい部類だ。あたしでも同時に複数発動させられなさそうだから、相当魔力を食うんだろう。

 だとすれば上級隊ならともかく、候補生くらいだと発動させられない。ましてやこのメンバーじゃ、使えるのはあたしとイオニア先輩くらいだ。


「あの、でも、あたしと先輩で……」

「理解が早くていいこと。でもムリね。私でもこの魔法、おそらくキツいわ。制御でミスるでしょうね」

 ちょっと悲しそうな、先輩の表情。


「すみません……」

「いいって言ったでしょ。私の力が及ばないのは、私の責任。あなたが気にすることじゃないわ」

 言いながら先輩が、あたしの頭を撫でる。

 ――意外と、優しいかも。

 最初はもっと怖い人かと思ってたけど、そうでもないみたいだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ