Episode:59
「まったく、そうやって甘えてばかりでしょうがないわね」
「えー、でもぉ~。先輩頭いいしー」
2人のやりとりを見てるうち、頭が痛くなってきたのは気のせいだろうか?
「やれやれ。じゃぁ古代竜と人間の特徴、思いつく限り挙げてごらんなさいな」
言われて、みんなが思い思いに並べていく。
「竜ったら、強くて大きくて、ブレス吐けて飛べる。あと、強力な魔法が使える?」
「こっちの魔法も、あんま効かねぇよな。あと爪も牙もヤベぇし、尻尾もけっこう危ないぞ」
こうして考えてみると竜、中でも古代竜と呼ばれる上位種は、反則の強さだ。戦うために居る種族と言ってもいい。
「こんなのと戦うとか、冗談じゃねぇな」
「愚痴って何かの役に立つわけ? そんなくだらないマネしか出来ないのなら、さっさと学院へ戻りなさいな」
イオニア先輩、いつもどおり辛辣だ。
けどイマドは、気にする様子もなかった。この辺は凄いと思う。
「やらないなんて言ってませんて。けどマジで俺らだけじゃ、余裕で死ねますよ?」
「だからさっきから何度も、人間と竜の特徴を挙げなさいって言ってるじゃないの」
何度もってほどには、言ってないと思うのだけど……。
「人間の特徴……なんだろ?」
「あれかね、数がやたら多いとか、腹黒いとかかい?」
「そゆのなら、嘘つくとか、騙すとか、自分の都合しか考えないとかも?」
間違ってはいないけど、なんかいいところがない。
「ったく、お前ら少しは真っ当なこと言えよ。人間ったら、道具使うとかその辺だろ」
イマドが補足したけど、シーモアとナティエスが言うほうが、正しく聞こえるのが困りものだ。ただどれも、竜に太刀打ちできるものだとは思えなかった。
みんなの言うことを聞きながら、考える。
アヴァンの本当の継承を意味する、竜騎士。なのにそれは、強いからなれるわけでもない。むしろ虚弱王や謀略王と言った、一見ムリそうな人ばかりだ。
カギはやっぱり、「人間には人間の戦い方が」ってことなんだろうけど……。
瞬間、思い出す。謀略王の日記には確か、「王の資質」に関わることとも、書いてなかっただろうか?
「人間の特徴が、王の資質に関わる……?」
どこか矛盾する、二つの言葉。
「あーもう。殿下、その試練ってのは、要するに何すんだい? 本気でなんも伝わってないってこと、ないと思うんだけどね」
シーモアがそんなことを言う。どうも考えるのが面倒になったらしい。
「だからさっきから言っているが、試練の内容は伝わってないぞ」
何度も訊かれてる殿下は、少しイヤそうだ。
「けどあたしらがやった儀式なんかは、伝わってるじゃないか」
「当たり前だ。やり方そのものも伝わってなかったら、儀式にならんだろう」
ちょっと怒ったふうに言ったあと、殿下が続ける。




