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Episode:50

「どうって言うか、そもそもどうなってるの? あたしまだ話がよく見えなくて」

 言いながらナティエスが、殿下とイマドとを見た。この中でアヴァンに関係があるのはこの2人だから、何か分かるだろうと言わんばかりだ。


「今朝の魔視鏡見た感じじゃ、まーヤベぇかな。公爵家イラネーって連中は前からいるけど、ちっと大っぴら過ぎる」

 イマドが言うにはアヴァンというのは、やっぱり王室は好かれてるんだとか。だからこんなふうに大々的に言うのは、あり得ないらしい。


「あーでも、この手の騒ぎ昔あった、って叔父さんから聞いたな」

「そうなの?」

 イマドがうなずいて、十何年か前にもあったと言う。


「俺も生まれてねーからアレだけど、姉貴とか叔父さんの話じゃ、あん時は相当だったらしいぜ。ちっさい町でも、デモやる連中が居たらしいし」

 原因は、継承権第一位と見なされていた王女さまだという。


「国捨てようとする王女と、そんなの出す公爵家なんて要らねぇって、国中大騒ぎだったんだとさ」

「微妙に事実と違うがな」

 みんなの視線が、殿下に集中した。


「どういうこと?」

「この話、元を正せば伯母上の留学だ。友好の意味も兼ねて公爵家から初めて、海外へ留学することになってな」


 よくある話だ。

 昔だったら政略結婚になるんだろうけど、今はあんまりそういうことをしない。だから代わりに、留学という形で相手国へ王族を派遣して、同じような意味を持たせている。


「留学が、問題になっちゃうの?」

「この国は、なる」

 ややこしい話なんだろう、一息おいてから殿下が言葉を続けた。

「他の大陸ならともかく、この辺りではアヴァンは、もっとも古い国だ。加えて各国の王族も、ほとんどにうちの血が入っている」


 そういえばそんな話は、聞いたことがあった。

 世界はずーっとなんとなく乱れてるけど、別に常に戦争しているわけじゃない。たまに小競り合いがあって、あとは講和と駆け引きの繰り返しだ。


 その中で大国だったアヴァンは、当然だけど力があった。だからその庇護を受けようとする周辺国との、政略結婚があとを絶たなかったという。

 結果としてこの大陸の王族、特に東側はほとんど全部が、親戚になってしまったそうだ。


「けど、それと留学と、何の関係が?」

「さっきも言ったが、アヴァンは国も王族も古い。だから他国から留学に来ることはあっても、他国へ“行く”ことなど無くてな」

 なのに時期女王候補が外国へ留学という話に、国内が大騒ぎになったと殿下は続けた。


「つまり……みんなのプライドが許さなかったとか、そーゆーこと?」

「まぁ、そんなところだな。伯母上自身は気にしていなかったし、そもそも伯母上が言い出したことだったそうだが、国の重鎮たちと、何より国民が許さなかった」

 歴史があるというのは、いろいろ大変な面もあるらしい。





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