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Episode:49

「あ、申し訳ありません。夕べ遅く着いて、ご存知ありませんね。いまご案内します」

 すぐにさっきの人が来て、食堂へ案内された。


 ――こういうことなら食事、最初からここで良かったのに。


 そんなことも思ったけど、まぁいまさらだろう。

 食堂の中は誰も居なくて、他のみんなも出来たら呼んでくれるよう頼んで、しばらく待つ。

 じき、みんなが入ってきた。


「おはよ、ルーフェ。寝れた?」

「うん」

 みんないつもと変わらない。昨日あたしがしたことなんて、なかったみたいだ。


 たぶん……気を遣ってくれてるんだろう。本当に気にしてなくて、忘れてしまってるなら嬉しいけど、あまりそうとは思えなかった。

 最後に、殿下が入ってくる。


「全員揃ってるな。それでルーフェイア、何をはじめるつもりだ?」

 昨日のことやなんかが堪えてるんだろう。殿下、ちょっとだけ不機嫌そうだ。

「えっと、何をって言っても……あの」

 自分でも何を言ってるか分からない。


「どうした? 何か言いたかったから、呼んだんじゃないのか?」

 殿下の声が、ちょっとだけ優しくなる。

 それに勇気付けられて、言ってみた。


「あの……このあとどうするか、考えないといけないので……。あと、イオニア先輩にも、ここに……来ていただかないと」

 言いながら、最初から先輩を待てばよかったかな、と思う。百戦錬磨の先輩なら、きっと簡単に采配を振るってくれたはずだ。


「イオニアというと、お前たちを連れてきたあの高飛車な女か? 彼女なら今ごろ、こちらへ向かっているはずだ」

「そうなんですか?」

 どうやら殿下のほうにはいち早く、情報が伝えられていたらしい。


「話では、山火事の報が入った時点で、すぐ谷へ向かったそうだ。だが我々が戻ったことが上手く伝わらなくて、先程まで救出本部で待機してたらしい」

 話を聞いて、先輩きっと怒っただろうな、と思う。でも、先輩にさえあたしたちが無事なのが伝わらなかったのなら、敵もまだ騙せてるだろう。


「そいえば殿下、無事ってコト王様とか知ってるの?」

「お前たちには悪いとは思ったが、父と祖父には伝えた。さすがにあの二人に、黙っているわけにもいかないのでな。だがまだ、公にはされていないはずだ」


 殿下の言うとおりだろう。

 もしどこかから漏れたなら、報道がもう騒いでる。でもさっき見た中じゃ何も言ってなかったから、まだ誰も知らないはずだ。


 けど、ずっとこのままってわけにはいかない。必ずどこかで知れるから、それまでに状況を把握して、どう動くか決めなきゃいけなかった。

「それにしても、どうすりゃいいのかね?」

 同じふうに思ってるんだろう、シーモアがそんなことを言う。





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