表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/121

Episode:04

「そんな理由じゃ、ちょっと許可できないわね」

「すっ、すみません!」

 慌てて謝る。


「誰が謝りなさいって言ったのよ」

「ご、ごめんなさい……」

 涙が出てくる。


「だーかーらー先輩、ルーフェにそうやっちゃダメですって」

「え? あぁそうだった、どうも忘れるわ。

 ――子猫ちゃん、お姉さんが悪かったわ。さ、理由を教えてくれるかしら?」

 自分でも変だとは思うけど、こう言われて抱き寄せられると、なんだか安心する。


「それでその、ナティエスって子は?」

「あの、だから、シーモアの親友で……スラム育ちで、スリとか上手くて……」

 先輩が苦笑した。


「聞かなかったことにしたほうが、いい話みたいね。

 まぁいいわ、腕に覚えがある子なら、足手まといにはならないでしょ」

 言って先輩が、あたしの額をつついた。


「その子たちを呼んで、話をしなきゃだわね。ロア、呼んでくれる?」

「だから先輩、こういう操作覚えましょうよ……」

「誰かにやらせれば十分よ」

 イオニア先輩、なんだかすごいことを言ってる。


 ロア先輩がため息をつきながら操作した。魔視鏡経由で通話石網に入って、イマドたちを呼び出すと、じきに扉がノックされる。

「イマド=ザニエスですけど、入っちゃっていいですか?」

 声と共に、扉が開けられた。


「入っていいとは言わなかったけど?」

「でも呼び出されたから、呼び出した誰かが居るんじゃねーかなーって。どうせ入りますし」

 イマド、イオニア先輩にもぜんぜん平気だ。

 そんなことをしてるうちに、シーモアとナティエスも部屋へ来た。


「なんだ、みんな揃ってるじゃないか」

「なになに? もしかしてなんか始まるの?」

「静かになさい。

 まったく、下級生はこれなんだから。いくら珍しいにしても、騒ぎすぎだわ」

 先輩の辛辣な言葉が飛んで、さすがにみんなが口を閉じる。


「いいこと、黙って聞くのよ」

 そう前置いてから、先輩がさっきの話をもういちど始めた。

 だいたいを聞き終えたシーモアとナティエスが、言う。


「要するに、まーたあの殿下のお守りってことか。こりゃ厄介だね」

「殿下、上から目線すごいもんね」

 やっぱりこの二人、殿下が好きじゃないみたいだ。


――あたしのせいだ。

 シーモアたちの名前を挙げたりしたから、好きでもない殿下の護衛を、しなきゃならなくなってる。


「えっと、その、ごめん……」

「え? なんでルーフェが謝るの?」

「え、あれ?」

 なんか違ったみたいだ。


「いや、だからさ。たしかに殿下はあんま好きじゃないけど、行くのがイヤだとはいってないじゃないか」

「そうそう。行けばお小遣いっていうか、臨時でお給料でるし」

「え? お小遣い?」

 初耳だ。


「やだルーフェ、もらわなかったの? けっこう出たんだよ」

「そういえば……」

 何か学院からお金がどうこう言われて、面倒だから口座にそのまま入れてもらったような気がする。


「まったく、金持ちはこれだから」

「ごめん……」

 謝るあたしに、2人が笑った。


「気にしなさんな、いつものことじゃないか」

「そうそう」

 慰めてくれてるんだろうけど、なんかちょっと複雑な気分だ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ