Episode:33
焼けた毛布や何かをそっとどかすと、石化したみんなが現れる。ざっと見回したけど、幸い損傷はなさそうだ。
「カーム・フィルド!」
ひとりづつ解呪するのが面倒で一帯に無効化魔法を放つと、みんなの姿が元に戻った。
「あれ? え? あたしたち……」
状況について行けなかったんだろう、みんな伸びをしながら辺りを見回してる。
「火、おさまったってか?」
「うん……」
イマドが聞いてきたけど、顔が見られなかった。
「要するに、何が起こったんだ?」
殿下の問いに、イマドが答える。
「えーとその、ルーフェイアのヤツが俺ら石化させて、火事しのいだんですよ」
下を向いていても、みんなが息を呑んだのが分かった。
「石化って……あの、お魚みたいに?」
「まぁそうだろうね。ったく、相変わらず桁外れだよ」
責めてるようには聞こえない。でもやっぱり、何かを壊してしまったと思う。
「ともかく、助かったらしいな。ルーフェイア、礼を言うぞ」
「殿下、お礼って言うわりに、すっごい偉そうじゃないか」
そっと見ると、シーモアに突っ込まれた殿下が、困ったような顔をしてた。
「ったく、貴族がどんだけ偉いか知らないけど、もうちょっと口のきき方ってモンを――」
「やっだぁ! なにこれー!」
ナティエスの声が、響き渡った。
「この人ったら、やだもう! きったなーい!!」
「え?」
どうも例の襲撃者を彼女、見つけたらしい。みんなもすぐそっちへ行って、完全に晒し者だ。
ちょっと可哀想だったかな、と思う。ナティエスとシーモアが相手じゃ、目が覚めてから延々とからかわれるだろう。
「……襲われたのか」
何を意味するか分かったんだろう、イマドが訊いてくる。
「ホントに、あいつだけだったのか?」
「……ううん」
そうだと言いたかったけど、ここで嘘をつくわけにはいかなかった。こういう情報に嘘があると、全滅に繋がることまである。
「んじゃ、逃げられたんか? 死体見あたらねーし」
「ううん、倒して……死体は、隠したから……」
やっぱりイマドの顔を見られなくて、下を向いて視線をそらしながら答えた。
「……だいじょぶか?」
「え? あ、うん!」
予想もしてなかった言葉に、思わず声が弾む
でもしなきゃいけないことを思い出して、また気が重くなった。
――尋問。
これが残ってる。