Episode:03
先輩が続ける。
「聞いた話と、前回の病院テロでの件から、あなたがこの任務に耐えられると判断したわ。
――命令よ。私と一緒にアヴァンへ来て、ローウェル殿下の護衛をなさい」
「……はい」
あたしはうなずいた。「命令」と言われたからには、拒否は出来ない。
「向こうからの依頼内容は、先ほども言ったとおり、儀式の間の護衛よ。具体的には、数日間野外での護衛ね。
それにしても野宿が儀式になるなんて、ほんと貴族のやることは理解不能だわ」
イオニア先輩、辛辣だ。
ただ話しからすると、要するにあの殿下と数日間、野外で一緒にすごせばいいだけらしい。だから護衛って言っても、食料の確保とかがメインなんだろう。
ともかく、そう難しい任務じゃないはずだ。
そんなことを思っていると、先輩が何か書かれた紙を出した。
「ルーフェイア、同行者を3名、ここから選んで頂戴。
試験結果なんかを考慮してこちらで選んだけど、相性もあるでしょうしね。最後はあなたが見たほうがいいわ」
「はい」
その場でざっと、リストに目を通す。
「あの、これ……7年生じゃ、ない……?」
学年が違うみたいで、知らない名前ばっかりだ。
「ほら先輩、だから言ったじゃないですか。ルーフェは内気だから、同じクラスの子のほうがいいって」
「そうみたいね。あなたが正しいとは思わなかったわ」
先輩二人がそんなことを言う。
「人選のし直しね。まぁ単なる野営みたいなものだから、7年生でもやれなきゃ困るわ。
――ルーフェイア、誰かいるかしら?」
「え? え??」
急に言われて、何のことか分からなかった。
「あぁ悪かったわ、小さい子にこんな説明じゃアレだものね」
謝ってるんだろうけど……こう言われると、なんか複雑な気分だ。
先輩が話を続ける。
「ちゃんと説明するから聞きなさい。さっきも言ったけど、任務の内容それほどたいした話じゃないの。だからあなたが3名、好きな同行者を選んでいいわ。正直あなたが居れば、他は誰でも大丈夫でしょうからね」
「あ、はい」
なんだかよく分からないけど、友だちを選べってことらしい。
「あとでもいいのだけど、いま誰か思いつくかしら?」
「えっと、あの、イマドと……あと、シーモア。それと、シーモア行くなら、ナティエスも……」
考えながら答える。
「ちょっと待って頂戴。記録簿からいまの子たちのデータ……ロア、出るかしら?」
「出ますよ。てか先輩、このくらいの操作覚えてくださいってば」
「うるさいわね」
イオニア先輩、魔視鏡の操作は苦手みたいだ。
代わりにロア先輩が、次々と記録を出す。
「ふぅん、イマド=ザニエス……次席。シーモアって子が三席と。思ってたより妥当ね」
先輩が次々と品定めしていく。
「このナティエスって子はどうなの? 成績を見る限り、Aクラスでは中ほどのようだけど」
「えっと、あの、シーモアの親友で……」
イオニア先輩の瞳が鋭くなった。




