表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/121

Episode:29

「ルーフェもしかして、イマドのこと?」

「え、どうして……分かるの?」

 あたしの疑問に、ナティエスがけらけらと笑う。


「だって。ルーフェもイマドも殿下も、分かり易すぎだもん」

「そう、なんだ……」

 自分じゃ隠してたつもりだけど、丸分かりだったらしい。

 ナティエスが隣へ座り込む。


「そんなに、気になる?」

「気になるっていうか……」

 自分でもよく分からない。気になるのはたしかだけど、なんかもっと、重い感じだ。

 そんなあたしを見てなぜか、ナティエスは笑った。


「ルーフェにも、こういうの分かるようになったんだー」

「え?」

 何を言われたのか分からなくて、考え込む。


「あれ? ルーフェだって、イマドのことでしょ?」

「うん……」

 またため息をついて、つい口にする。


「頼んで、悪いことしちゃった……。任務なんて、楽しくないのに」

「――え?」

 こんどはナティエスが考え込む。


「ちょっと待ってルーフェ、イマドと殿下のことじゃなかったの?」

「え? それもそうだけど……こういう任務、イマド慣れてないのに、名前出しちゃったから……」

 一瞬ナティエスがぽかんとして、次に吹き出した。


「なにそれっ! やだもうルーフェ、そうだったの? せっかく気にしてるから、ちょっとは分かるようになったと思ったのにー」

「え……」

 どうも何か、根本的に食い違ってるらしい。

 あたしの答えがよほど面白かったのか、ナティエスはまだ笑い転げてる。


「あーもう、ルーフェったらやっぱりルーフェなんだからー。

 イマドには言っといてあげるね、このこと。きっと笑い出すよ」

「え? あ、うん……」

 なんでこれを言うと笑うのか、見当もつかない。ただそれでも、イマドが笑うならいいかな、と思う。


「あーもう、笑いすぎてお腹痛いー。っていうか、止まんないー」

 ナティエスは楽しそうだけど、なんだか複雑な気分で立ち上がる。そろそろ夕暮れ、天幕の中じゃ夕食を並べ始めてるだろう。

 そのとき初めて、あたしは異変に気づいた。


 ――異臭。

 辺りを見回して、走り出す。


「ルーフェ?!」

「来ないで!」

 ナティエスにそう言って、あたしは歩を進めた。

 いくらも行かないうちに、いやな予感が現実になる。かすかに感じる熱気と、強くなるキナ臭さ。


「ルーフェー、ねぇどしたのー?」

「火が……」

 瞬間、ナティエスの表情が引きつった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ