Episode:24
◇Nattiess
今日で3日目。儀式ごっこは順調。たぶん。
この任務に来て今思うのは、めんどくさいことになっちゃたなぁ、ってこと。なにしろこの任務、なんかややこしい事態に巻き込まれてるっぽいんだもん。
殿下が言うにはアヴァンの国内、まだまだ裏じゃ不穏みたい。夕べなんかも、ヒマだからいろいろ教えてもらったけど、王族廃止の革命派がけっこう居るんだって言う。
ただあたしは、よく分かんなかったり。
せっかくずっと続いてるもの、無くしちゃうのはどうかな、っては思う。でも、そういう「生まれつき」の人が居るのは、どうかなっても思う。
ちなみにこの辺は、メンバーの間でもけっこう意見が違うの。
シーモアは、無くしてもいい派。ただ利用価値があるなら残しとけ、っても。
逆にアヴァンに縁があるイマドは、無くすとかあり得ない派。アヴァンは王家無くしたら、こういう豊かな国じゃなくなるって言う。
当の殿下は、せっかくこういう立場なんだから、とことん利用して国のために出来ることをすればいいって考え。意外と現実的。
まぁ結局はこういうこと、国の人が決めりゃいいんだろうけど……。
だいいちあたし的には、狙われちゃってることのほうが重大。いくら任務だからって、他所の国のことに巻き込まれて死んじゃうとか、話にならなすぎだもの。
でも幸い今のところ、実害は無し。例の人形に似たのがもう一回、投げ込まれたくらい。
――ちょっと笑っちゃうかも。
いい大人が、いっしょうけんめい人形作って投げてるとか、かなり情けないし。
というか、もっと面倒なことが発生中だから、そんなに気にしてられないの。
「ルーフェイアは……外か?」
「ですよ。見張り行きましたもん」
原因は、もちろんこの殿下。
去年の任務のときからそうだったけど、殿下ってばルーフェのことがお気に入り。なのに今回、なーんにも知らないルーフェ、こともあろうにイマド連れてきちゃったわけで。
それでもまぁ、どうにかうまくやってるかなって思う。仲良しってのには程遠いけど、どっちもケンカふっかけたりしないもの。
ただ、ルーフェが……。
「――見てくるか」
「あ、もう! 殿下勝手に出ないでくださいってば。なんかあったらあたしたち、困っちゃうんですから」
「そうは言っても、ここに詰めっきりは辛いぞ」
言って殿下が、天幕を出る。
「ったく殿下、ちっとは我慢できないのかい」
「殿下だもん……」
そんなこと言いながら、あたしとシーモアも慌てて出て。で、見たものに困っちゃった。
外に居たのはルーフェと、昼食の用意始めたイマド。久々に2人だけになったのが嬉しかったみたいで、ルーフェったらにこにこしながら、話してる。
でもこんなの見たら、殿下は面白くないわけで……。