Episode:23
「ここに居てもこの通りだし、安全っぽいとこもダメってことだよね……」
「どっちも見張られてるって思ったほうが、確実だろうね」
嘆いても仕方ない、そんな強い表情でシーモアのヤツが言う。この辺はコイツ、やっぱさすがだ。
「とりあえず、移動するかしないか決めねぇとだな。それによって、いろいろ変わってくんだし」
「そうなるね。
――ルーフェイア、どう思う?」
いちばん場慣れしてるヤツに、シーモアが訊く。
「ここのほうが、いいと思う」
それがルーフェイアの答えだった。
「同じ相手にするなら、こっちのほうが安全そうだし……それに向こうに行って、両方相手にすることになったら、持たないから」
「なるほどな」
洞窟のとこで感じたヤツは、巨鳥並かそれ以上だ。だったら人形投げる程度のほうが、相手すんにも楽だろう。
「しゃーない、真面目に見張り立てるかね」
「……この人数じゃムリだろ」
さすがに反対する。
なんせ俺ら、4人きゃ居ないわけで。それで1日中ったら、かなりキツいことになる。
「えっと、そしたら、結界じゃ……?」
「待ってよルーフェ、それ出入りどうするの? 結界張ったら、解かないと出られないよね?」
「あ……」
ナティエスの言うとおりだ。ずっと篭ってられんならいいけど、天幕暮らしじゃそんなんムリだし。
みんなで少し考える。
「したらよ、昼間はテキトーに見張りたてて、夜は結界ってのはダメか?」
「あ、それならやれるかも」
話がまとまってきた。
「そうしたら、まず昼ごはん食べて、それから割り振り決めるかね」
「だな。んじゃメシ出すか」
5日分の食事は用意されてっから、朝に出して溶かしときゃ、すぐ食えて楽だ。
そんな俺らの様子に、殿下が苦笑した。
「まったく、お前たちというのは。前向きというか、気にしないというか……」
「殿下ひどーい。でも気にしても、何にも変わらないでしょ?」
ナティエスが言い返す。
シーモアが後を続けた。
「嘆いててなんか解決すんなら、あたしもそうすんだけどね。生憎、世の中そんな甘くないし」
「シーモアの場合、黙って待ってるとか性に合わねぇだろ」
「あんたねぇ……」
そんな軽口叩きながら、俺らみんなで、メシの用意にかかった。




