表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/121

Episode:117

「そういえば、ミル……乗ってなかった?」

 谷で竜を従えた直後、ミルときたら竜の尻尾につかまって、殿下と一緒にシティへ向かったはずだ。で、そのあと無事だったんだから、落ちたりしないで着いたんだろう。

 それに聞いた話じゃ、殿下と一緒に広場に降りた後、襲ってきた暴漢を叩きのめしたっても言う。


「このままじゃ、ミルが婚約者ってことに……ならない?」

 さっきの話どおりなら、見た人はみんなそう思うはずだ。

 でもミルは、にこにこと笑ったままだった。


「ん、たぶんだいじょぶ。ほら、いちおう殿下守ったから、護衛ってことになってるし」

「そうなんだ……」

 殿下が大変な目に遭ったのは知られてるから、その辺で納得してるのかもしれない。


「ただほら、報道うるさくてー。だからあたし、別ルートであいつら振り切ってから、シエラ帰るね」

「あ、うん」

 やっぱりいろいろ、あるみたいだ。けどミルなら大丈夫だろう。


「そしたらあの、竜……」

 言いかけたところで、また別の声が重なる。


「にしても殿下、あなたホントにやれて?」

「どういう意味だ」

 返されて、イオニア先輩が傲然と言い放った。


「継承権なんか得て、ちゃんとまともに政治に関われるのか?ってこと。世間知らずのお坊ちゃまなんて、現実には邪魔なだけだわ」

「手厳しいな」

 意外にも殿下は、笑っただけだった。前ならきっと激怒してただろうから、ずいぶんな変わりようだ。


「未来のことなんて、正直分からん。だが僕がブレなければ、そうは間違うまい。それより――」

 殿下がまっすぐ、イオニア先輩を見る。


「お前こそなぜ、僕に手を貸した? 『面白そうだった』と先日は言っていたが、とてもそうとは思えんぞ」

 今度はイオニア先輩が笑った。


「殿下の目、案外見えたってことかしら?」

「そのくらい、分からんようではやって行けん。で、何故だ? 本当の理由を聞かせてほしいのだが」

 少し考え込んでから、先輩が言う。


「そうね。殿下には教えてあげてもいいかしら? 知っておいたほうが、いいことでしょうし」

 どこか寂しさを感じさせる声だ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ