僕を見るべき目
僕の彼女はジト目ちゃん
去年の夏まで言われていない
そのあだ名は僕のせいだ
去年付き合い始めた僕のせい
いつからだったか彼女が零す
仲いいね
楽しそうだね
だから僕は彼女も誘った
けれど断り膨れて彼女は来ない
彼女と楽しめない夜は寂しさが募る
募ったわだかまりを埋めようと
友達と話している時
僕は見たんだ
彼女は僕を見てたんだ
いつだって僕を見てくれている
彼女はジト目ちゃんになっていた
けれど彼女は別れ話を口にした
理由を聞いても応えてくれない
僕は彼女にふられてしまった
あれから二ヶ月
女の陰口から知ったのは
解らなかった彼女の答え
見てくれていたんじゃない
近くで見たくなかったんだ
僕は彼女に言わなきゃいけない
彼女は僕を見るべきだった
違う
僕が彼女を見るべきだった
彼女が僕を見るべき所も
僕が言わないから解らなかった
初めてのデートで
君と一緒に買った
カエルのキーホルダー
友達と話してる時も
君の事を想ってた
だから
このカネカエルを触っていたんだ
金が欲しくて触ってたんじゃない
手持ち無沙汰なんかじゃないんだよ
これは君と僕との秘密の愛図。
僕は勝手にそう想っていた
僕も君を見ているよ
ただそれを伝えたくて
間違っていた
想っているなら
触れるべきは君だ
君と一緒に買った物より
君と一緒に居て笑いたい
君と一緒に見て触れたい
僕は君のもとへと走ってる
僕も君を見ているからね
君にそれだけ伝えたい
君の涙のような潮風を受けて
凍える寒さが君の心に思えて
君の心を温めたくて
走って走って
心も身体も熱くする
君が僕を近くで見れるようにと
今すぐ行くよ
僕も君を見たいから
きっと僕しか知らない
僕にだけ向けてくれる
しっとり目の君に会いたくて
■あとがき
見て貰えていないと感じる寂しさは
私を好きじゃないとも思えて来る
寂しさから別れを言えば我儘に
相手の気持ちに聞き耳持たず
相手の気持ちばかりを追えば
自身の気持ちの比率さえ
解らなくなるもの
私はあなたを好きだけど
あなたは私を好きじゃない
だから私から別れてあげる
そうして見切った気になった
そんな気持ちにも応えようとする
別れてあげた筈の彼視点の物語