王女
レリアたちは魔物に破壊されたグレブンの街の修復をしなければならなかった。だがその前に、湖に残してきたパトリシアたちを迎えに行く事にした。
パトリシアは不安そうに乳母のダリアと待っていてくれた。レリアは契約霊獣のブラオンに大きくなってもらい、パトリシアたちをグレブンの街の避難所に連れて行った。
避難所はケガ人であふれかえり、たえず女子供の泣き声がひびいていた。レリアは実感した、グレブンの街の人々を助けるのはこれからなのだと。ケガ人は重傷な人から軽傷な人に分けられ、霊獣のブラオンとロザリアが手分けして治癒魔法をほどこしていった。
レリアとシルビアは治癒魔法なんて使えないので、ロザリアに土魔法で出してもらった大量の野菜を黙々と切って、被災した街の人々に野菜スープを作った。そして、家と家族を失いうちひしがれている人たちに温かいスープを配った。人々は温かなスープを飲み、わずかに落ち着きを取り戻したようだ。
パトリシアは先陣を切ってスープ配りを手伝ってくれた。そして泣いている子供に優しい声をかけていた。このパトリシアの行動に、レリアは関心してしまった。パトリシアは今まで手を汚した事がないようなお嬢さまなのに、ドレスのすそに泥がつくのをいとわず、働いていた。
レリアがパトリシアに声をかけると、パトリシアはきぜんとした声で答えた。
「この国の民につくすのがわたくしのつとめです」
パトリシアは貴族の娘なのだろうが、彼女はレリアよりも年下なのに、何と立派な心がけなのか。レリアはますますパトリシアの事が好きになってしまった。
グレブンの街は、ベルケル子爵の指示の元着々と復旧していった。レリアたちは街の人々のために働いた。そしてベルケル子爵は感謝と共に、もう我々だけでやっていくからと宣言した。レリアたちはパトリシアを護衛しながら王都に帰る事になった。
翌日レリアたちは、グレブンの街の人々に見送られながら王都に出発した。馬車の中で、レリアは気になった事をパトリシアに質問した。
「パトリシア、大変な事にそうぐうしてしまったわね?貴女はわずかな時間をグレブンの街で過ごしたかったのに」
レリアの言葉に、パトリシアは笑って首を振って答えた。
「わたくしは沢山の大切な時間を過ごす事ができました。もう思い残す事はありません」
パトリシアの言葉に、レリアは彼女の自由な時間が終わりを告げた事を知った。
王都に戻ると、レリアたちは何故か城に連れていかれ、豪華な部屋に通された。レリアたちは目を白黒させながら部屋のすみで固まっていた。
レリアたちには豪華な食事をして、温かなベッドで休ませてもらった。だがレリアは何故自分たちがこのような良い待遇を受けるのか理解できなかった。翌日、レリアたちは王の間に通された。レリアたちはあまりの出来事に固まったまま膝をついて低頭した。
「その方たち、顔を上げよ」
レリアがこわごわと顔を顔を上げると、そこにはプロイヤ国エルドラン国王が玉座に座っていた。その威厳のあるたたずまいに、レリアはヒィッと小さな声をあげた。エルドラン国王はおごそかな声で言った。
「その方たち、わが娘第五王女パトリシアを救ってくれた事感謝する」
国王の言葉に、レリアは石のように固まった。頭の中が混乱して仕方がなかった。パトリシアはいい所のお嬢さんだと思ってはいたが、まさか王女さまだとは思わなかった。レリアが固まったままでいると、国王の座る玉座の横にパトリシアがやってきた。彼女は豪華なドレスに身をつつみ、頭にはティアラが輝いていた。
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