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魔物との対決

 シルビアは、レリアの契約霊獣のブラオンに乗りながら、これから大きな戦いが始まる事を感じていた。グレブンの街に近づくにしたがって、火に燃えるこげた臭いが鼻の奥をツンと刺激した。


 シルビアは自身の腹を撫でながら、魔剣グラディウスに話しかけた。


「グラディウス。強大な力を持つ何かがいる」

「ギャハハ!におう、におうぜ!魔物のにおいだ。暴れるぞシルビア!」


 グラディウスの心強い言葉に、シルビアは我知らず微笑んだ。


 グレブンの街に到着すると、そこは火の海だった。シルビアたちはすぐさま街の人々の救出に取りかかった。ベルケル子爵は、グレブンの街の人々から慕われているので、ベルケル子爵が先頭に立ち避難を呼びかけると、街の人々は素直にそれに従った。


 グレブンの街の人々は、黙々と街の外の林に避難をしていた。身体の悪い者には若い者が手を貸している。シルビアたちは動けないケガ人たちを集めた。そして、レリアの契約霊獣ブラオンと魔法使いのロザリアが治癒魔法をほどこしていった。シルビアは比較的ケガの軽い男に話しかけた。


「一体この街で何が起きたのですか?」


 男は恐怖に顔をゆがませて答えた。


「バケモノだ。バケモノがやってきて、街に火を放ったんだ」

「そのバケモノは今どこに?」

「ベルケル子爵のお屋敷の方に行った」

「バケモノはどんな姿をしていたんですか?」

「顔は見えなかった。フードをまぶかにかぶった男だった」


 シルビアははっとした。フードの男とは、ベルケル子爵に精霊のたまごを売りつけた男ではないか。このグレブンの街を精霊に襲わせようとした張本人だ。シルビアはギリリと歯を食いしばった。


 シルビアたちはフードの男の強行を阻止するべくベルケル子爵の屋敷に行く事にした。ベルケル子爵は屋敷の者たちが心配だから自分も行くと言って聞かなかったが、何とか説き伏せてケガ人たちと避難場所まで行ってもらう事にした。


 シルビアたちが大きくなったブラオンに乗って、ベルケル子爵の屋敷に到着すると、そこは無残に破壊されていた。シルビアたちはただちに屋敷の中の人々の救出に向かった。屋敷の中はメチャクチャで、崩れ落ちた天井の下じきになりうめいている使用人たちが沢山いた。ブラオンとロザリアの魔法でケガ人たちの上にあったがれきをよけてもらい、人々を助けていった。その中にベルケル子爵の執事がいた。執事はベルケル子爵の身をしきりに案じていた。シルビアはベルケル子爵の身の安全を伝えて彼を安心させた。


 シルビアたちは、屋敷の中のケガ人をすべて外に避難させたが、中には亡くなっている人たちもいた。その人たちのなきがらは屋敷の外に寝かせた。そのままにしていくのは気がとがめたが、まずは生きている人たちの安全を最優先しなければならないのだ。


 シルビアたちがケガ人たちを誘導しようとしていると、上空から声がした。


「この街には魔力の弱い人間ばかりだが、少しは魔力の強い美味そうな魂の人間がいるようだな」


 シルビアが声のする方を見上げると、そこにはフードの男がフワフワと浮いていた。シルビアはフードの男に強い怒りが湧いた。フードの男は、自分が人間の魂を食べたいがゆえに、精霊に街を破壊させようとしたり、自らの炎で街を焼いて、何の罪もない街の人々を殺したのだ。するとシルビアの腹の中から声がした。


「シルビア。怒りに支配されるな、相手の思うつぼだ。心をないだ水面のように保て」


 シルビアはフウッと息を吐いて自身の腹を撫でた。長い時間を共にした友の声だ。シルビアはグラディウスに言った。


「グラディウス、奴に勝てそうか?」


 腹の中の魔剣が笑った。


「誰にモノを言っていやがる。俺は魔剣グラディウスさまだぞ?!」


 シルビアはフッと笑った。フードの魔物は強大な魔力を有する。剣の道を志すシルビアにはその事を肌で感じる事ができた。だがシルビアの腹の中にいる友がいれば恐怖を吹き飛ばす事ができた。シルビアは自身の腹に手をおくと、腹から大剣を抜き出した。魔剣グラディウスを。



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