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救出した少女

 レリアたちは翌日王都に向けて出発する事にした。ロザリアはとても元気そうだった。朝食も沢山食べた。ロザリアは何故かはしゃいでいるようで、レリアの腕に腕を回しながら話し出した。


「ねぇレリア。シルビアってカッコいいよね!私昨日シルビアにお姫さま抱っこしてもらって、ドキドキしちゃったぁ」


 シルビアは今、三人の代表で宿代を払いに行っているのだ。一理ある、とレリアは思った。シルビアは、女性にしては長身で美しいだけでなく凛としたたたずまいなのだ。ロザリアは美形な男性に弱いのだ。だが、とレリアは思う。ロザリアの中にいるあの男はとても美しかった。そして、どうやらロザリアはあの男の存在を知らないらしい。ロザリアが目を覚ましてあの男と出会ったら、大変な事になるだろう。


 昨日ロザリアを助けるために、ロザリアの中からあらわれた男は、レリアたちに言ったのだ。ロザリアに自分の事を知らせないでほしいと。レリアは不思議に思って男に質問した。何故ロザリアに男の話をしてはいけないのかと。男は美しい顔に憂いを浮かべて言ったのだ。自分は醜いからと。レリアはあいた口がふさがらなかった。醜いとはどういう意味だったか一瞬考えてしまった。だが男と約束してしまったので、レリアたちはロザリアに男の事を言うことはしなかった。



 レリアたちは王都に行くのに森を通って行く事にした。ロザリアが魔法薬に使う薬草を採りたいと言ったからだ。レリアたちはロザリアの薬草採取を手伝いながら、ゆっくりと森を進んだ。すると、森の奥で何やら騒がしい声が聞こえた。その音にいち早く気づいたシルビアがレリアたちにその場で待つように言った。シルビアは一人様子を見に行ってしまった。しばらくすると、シルビアから通信魔法具のペンダントに連絡があった。


「レリア、ロザリア。馬車が山賊に襲われている。二人は馬車を保護してくれ!」


 それきりシルビアの通信は途切れた。レリアとロザリアは顔を見合わせてうなずきあった。レリアたちはシルビアの走って行った道めがけて走り出した。


 レリアたちが林を抜けると、そこは馬車道になっていた。そこに見るからに高級な馬車と、その周りを取り囲むように五人のガラの悪い男たちがいた。シルビアは、その五人の男たちと一人で剣を交えていた。男たちは次々にシルビアに斬りかかるが、シルビアはそのすべてを軽く流していた。シルビアは魔剣の力を借りなくてもとても強かった。レリアはロザリアとブラオンに言った。


「ブラオン、ロザリア行こう!」

『よしきた!』

「ええ!」


 レリアはブラオンに、男の一人に火攻撃魔法を指示した。ブラオンは器用にシルビアと馬車に当てないように火魔法で男を吹っ飛ばした。ロザリアは氷攻撃魔法で襲いかかってきた男を倒した。シルビアは三人の男をみね打ちで倒した。ブラオンは倒れた五人の山賊たちを火拘束魔法で拘束した。


 シルビアは震えている馬車の運転手に声をかけてから、馬車の中に声をかけた。


「もう危険は去りました。扉を開けます」


 シルビアがゆっくりと馬車の扉を開けると、そこには震えて抱き合っている老婆と少女がいた。シルビアは怯えている二人に優しくゆっくりと声をかけた。


「おケガはございませんか?」


 恐怖から先に立ち直ったのは老婆の方だった。老婆はシルビアにいんぎんに言った。


「旅の剣士よ、この度は大義であった。お嬢さまは大層怯えていらっしゃる。このまま最寄りの街まで警護しなさい」


 老婆のごう慢な態度に、シルビアの後ろにいたレリアとロザリアは驚いてしまった。ロザリアは目に見えて機嫌が悪くなってボソリとつぶやいた。


「なんなのあのバァさん、せっかく助けてやったのに」


 ロザリアの不満に気づいたシルビアが、苦笑しながら振り向いて言った。


「まぁそう言うなロザリア、これも何かの縁だ。こちらの方々をグレブンの街までお送りしよう」


 レリアたちははからずも先ほど出発した街に戻る事になった。





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