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新たな仲間

 レリアたちは冒険者に来る依頼を探す事にした。聞けばシルビアも新人冒険者なのだそうだ。レリアたち新人冒険者はレベル1なので、受けられる依頼が限られている。レベルが上がるにしたがって、ランクの高い依頼を受ける事ができるのだ。冒険者協会には沢山のファイルがあり、そのファイルにはラベルが貼られていて、冒険者のレベル事に整理されている。レリアたちはランク一から十までの依頼しか受けられないのだ。


 レリアとシルビアはあれでもないこれでもないと依頼内容をぎんみしていると、掲示板の方で言い争う声が聞こえた。


「や、やめてください!」

「いいじゃねぇか、お嬢ちゃん新人冒険者なんだろ?俺たちが手取り足取り教えてやるぜ」


 レリアたちが掲示板の方に目をやると、冒険者の大男二人と少女が口論をしていた。どうやら新人冒険者の少女を、大男たちが口説いているようだ。シルビアはそれを見ると、レリアたちにここで待っているように言って、ツカツカと大男たちと少女の元に歩いていった。シルビアが大男たちに声をかけた。


「おい、お前たち。この娘は嫌がっているようだが?」


 急に邪魔が入った事に大男たちは怒りの表情をシルビアに向けた。だが一瞬で表情がいやらしく変わった。おそらくシルビアがハッとするような美人だったからだろう。大男の一人がニヤニヤとシルビアの身体に触ろうとした。その途端、シルビアは大男の手をひねりあげた。大男は一回転して木の床に叩きつけられた。もう一人の大男が怒鳴って叫んだ。


「おい!クソアマ!」


 大男はシルビアにつかみかかろうとした。シルビアは大男のふところに入ると、ヒョイと腰を屈めた。すると大男が宙を舞って床に叩きつけられた。レリアは思わず大声をあげた。


「すごいシルビア!」


 シルビアに投げられた大男二人は床に転がってのびていた。シルビアは少女に声をかけた。


「娘、大丈夫か?」

「は、はい。ありがとうございました」


 レリアはブラオンを抱っこしてシルビアのとなりに近よった。少女はとても可愛らしかった。ゆったりしたローブを着ているところを見ると、どうやら魔法使いのようだ。シルビアは少女に聞いた。


「掲示板を見ていたところを見ると、仲間を探していたのか?」

「は、はい。私新人冒険者で、そうしたら大男の二人にしつこく勧誘されて」


 少女の言葉を聞いたシルビアは、レリアに振り向いて微笑んだ。レリアもシルビアを見てうなずいた。そして少女に声をかけた。


「私たちも新人冒険者なの。よければ仲間にならない?」


 レリアの言葉に少女は驚いた顔をしてから、花が咲いたような笑顔になった。



 少女の名前はロザリアと言った。魔法学校を卒業してすぐに冒険者登録をしに冒険者協会にきたというのだ。レリアたちは冒険者の依頼から盗賊退治の依頼を選択して、受付で受理された。



 レリアたちは自己紹介もかねて食堂で夕食をとった。聞けばレリアが十八歳で、ロザリアが十九歳、シルビアが二十歳だった。三人とも歳が近いのですぐに仲良くなった。ちなみに霊獣のブラオンは二百六十歳だそうだ。


 その夜は宿屋に泊まった。三つベッドが並んでいて、レリアたちはベッドに入っても話はつきなかった。レリアがシルビアとロザリアに旅の目的を聞くと、やはりレリアと同じだった。冒険者になる女子の大半は、旅先で素敵な恋人と巡り合う事だ。レリアはとなりに寝ているロザリアに話しかけた。


「ねぇねぇ、ロザリアはどんな男の人がタイプ?」

「私はねぇ、背が高くてぇ、優しくてぇ、カッコよくテェ」

「だよね、だよね。やっぱり背が高くないとね!」


 レリアはベッド一つ向こうのシルビアに言った。


「ねぇ、シルビアはどんな人がタイプ?」

「私より強い奴だな!」


 シルビアの答えにロザリアが驚いた声をあげる。


「えっ?!シルビアは背が高い人じゃなくていいの?」

「私自身が長身だからな。相手の背は問題ない」


 シルビアの言葉にレリアは思った。シルビアがよくても、相手の男性が身長の事を気にするのではないかと。レリアたちがなおもペチャクチャおしゃべりを続けいると、レリアのベッドの足元で丸くなっていたブラオンがあきれた声で言った。


『お前たち、今何時だと思っているんだ。明日から初めての冒険者の依頼に行くんだろ?早く寝ろよ』


 ブラオンの言葉に、レリアははあいと答えてロザリアたちにおやすみなさいと言った。シルビアが部屋にあったランプの火を小さくしてくれた。ほのかな明かりの中レリアは目を閉じた。だが胸のドキドキはおさまらず、中々寝付けなかった。



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