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謎の魔法使い

 レリアとシルビアはロザリアの名前を呼びながら、逃げまどう冒険者たちの間を走り回った。すると大男たちにもみくちゃにされているロザリアを見つけた。レリアはロザリア、と叫んだ。ロザリアはレリアに気づくと、レリアの所に近寄ろうとした。だが小さなロザリアは側にいた大男に跳ね飛ばされて倒れてしまった。それを見たレリアは悲鳴をあげた。倒れてしまった小さなロザリアを冒険者が踏もうとしたのだ。


 レリアは思わず目を閉じた。だがシルビアに肩をたたかれ、ゆっくり目を向けると、そこには長身の男に抱き上げられている気を失ったロザリアがいた。レリアは叫んだ。


「ロザリア!」


 レリアは、ロザリアを抱き抱えた男を見て驚いた。とても美しい男だったからだ。男はロザリアを大切そうに見つめてからシルビアに言った。


「おい女、こいつを守れ」


 男はシルビアにロザリアを任せると、フワリと身体を宙に浮かべた。どうやら男は魔法使いのようだ。だが男は呪文を一言もつぶやいてはいない。呪文を唱えずに魔法を使えるなど、そうとうな魔法使いのようだ。男はブラオンの側に行くと何かを言った。するとブラオンは男を防御魔法の外に出した。男はそのまま空を飛び、精霊と対じした。男と精霊は何か会話をしている、男は精霊語がわかるようだ。だがどうやら交渉は決裂したらしい。精霊は男に向かって氷攻撃魔法を放った。男は防御魔法でそれを防いだ。次に男が攻撃魔法を放った。強力な炎魔法だ。


 男の炎魔法に対して、精霊は氷攻撃魔法を放つ。二つの攻撃魔法はぶつかり合い、両者一歩も引かなかった。レリアは上空で繰り広げられる戦いを固唾を飲んで見守っていたが、その一方で目を覚まさないロザリアが心配でならなかった。先ほどからロザリアに声をかけてもゆすっても、一向に彼女は目を覚まさないのだ。


 シルビアがレリアに声をかけた。レリアがハッとして空を見上げると男と精霊の魔法の戦いは激しい爆発を起こした。だがその爆風は、ブラオンの張った防御魔法で守られた。しばらくすると男が地上に降りてきた。レリアたちは男の元に駆け寄った。レリアは男に言った。


「ロザリアが目を覚まさないの!」


 男はレリアをジッと見てから小さな声で言った。


「案ずるな」


 ロザリアを抱いているシルビアが男に言った。


「助けていただきありがとうございました。あの精霊とは何を話していたのですか?」


 男はシルビアの顔もジッと見てから答えた。


「精霊と約束した。必ず精霊のたまごを返すると」


 男の言葉にレリアはホッと息を吐いた。どうやら精霊との戦いは回避できたようだ。男はレリアとシルビアに言った。


「どんな事をしても必ずたまごをあの精霊に返せ。いいな」


 男の有無を言わせぬ迫力に、レリアとシルビアはうなずいた。男は無言でロザリアを抱いたシルビアに近づくと、ロザリアの腹に触れようとした。レリアはふと、男に質問した。


「あの、貴方はロザリアとどういう関係なんですか?」


 レリアの質問に、男は何故か困ったような不思議な顔をしてから答えた。


「ロザリアは、私自身だ」


 男はそれだけ言った後、ロザリアの腹に触れた。すると驚くべき事が起こった。男はまるでロザリアの腹に吸い込まれるようにして消えてしまったのだ。レリアとシルビアは、驚きの声をあげた。


 しばらくするとシルビアの腕の中のロザリアが、何事もなく目を覚ました。レリアは不安に思ってロザリアに聞いた。


「ロザリア、大丈夫?具合悪い所ない?」


 ロザリアはレリアの言葉にキョトンとした顔をして答えた。


「レリア、お腹空いた」




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