記憶2
またあの歌が聞こえる。
お母様が歌ってくれたのとは、違う歌。
だけど似ている。
そうだ、彼は魔法が使えるんだ。
ん?どうして知ってるんだっけ?
そうだ、見せてもらったの
煌めく火の鳥を
いつ?
歌が聞こえなくなって意識がなくなってく。
いや、これは夢の中で目が覚めていってるのかな?
ただ、彼が見せてくれた魔法がとても綺麗だったのは覚えていた。
侍女に起こされた。
朝になるまで寝てたらしい。
また、夢だったのだろう。
あの歌を聞いてると、お母様が近くにいるみたいに感じる。
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今日は、父は休みを取ったらしく家にいて昼食に誘ってきた。
私を毒殺したいのだろうか。
父の思っていることがよくわからない。
父があんな風に蔑んできたのに一緒に仲良くご飯を食べましょう、だなんて馬鹿馬鹿しい。
何を考えてるんだか。
関わりたくない、と伝えてと侍女に言ったら
『お嬢様の事を心配してるんですよ』と言ってきた
どこをどう思ったらそうなるんだか
『妻を殺した娘』何かを心配する訳がない。
─私は一体何をしたというの?─
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あの歌が、聞こえてくる。
辺りを見渡すと監視の侍女がいない。
カーテンから、橙色の光が零れ落ちてくる。
もう夕方のようだ。
歌は、外から聞こえてくる。
誰が歌っているのだろう?
そう疑問を抱いた途端、それを確かめずにはいられなくなってしまった。
私は、好奇心に負けてカーテンと窓を一気にひらいた。
外を見れば、この部屋は、2階のため眺めが良かった。
久しぶりに外の空気を吸った気がする。
歌が聞こえる方を見ると、赤い髪の少年が歌を歌っているようだった。
なにかが、頭を過ぎる
─おかあさま、このふわふわしたのな〜に?─
置いていかないで
─@\?*=って言うの?!─
私のせいでいいから
─おっきくなったら、おともだちなれる?─
お願いだから…
─じゃあ、お約束ね!─
私の記憶を消さないで…!
─あかいきつねさん!─
やめて!!
ベットから飛び起きる。
汗が身体にまとわりついて気持ち悪い。
嫌な夢を見た。お母様と私が話してる夢。
私はお母様と話した記憶は無い。
きっと幻想だろうに
この世界どこ探しても、赤い毛をもつ狐なんていない。
気分が悪い、私は侍女を呼び湯浴みをする事にした。