確信的駄文小説3『異世界で勇者さんが魔王さんを倒しました』
※ この小説は[確信的駄文小説]です。苦手な方はご注意ください。
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さて、ここは異世界。名前はない。
そもそも世界に名前なんぞいるものか。人間界? ユートピア? アルカディア? 地球ランド? ……いやいや。
じゃあ聞くが、我々が住んでるこの太陽系は、なんて世界だ。名前なんぞあるか?
―― って話だ。
ついでに、勇者も魔王も名前なんぞない。……いや、こっちはあるにはあるが、いちいち名前で呼んだら面倒くさいし、読者も覚えなくちゃならなくなるから、楽に書けて楽に読めるものを書こう! という観点から、これを省略する。
さて、この世界についての説明を頼もうじゃないか、妖精くん。ちなみにこいつには、名前どころか性別もないぞ。
「やあ、妖精でござい。ではまず、この世界についての説明を。この世界は、あんたらの住む太陽系をモデルにして作られているから、けっこう似てるんだ。じっさい私のような『妖精』って存在も、太陽系のあんたらのお仲間……というか祖先さんがたが作った概念でっしゃろ。イギリスにたくさんいるって話だ」
―― だそうだ。
「そうそう、似てるっつっても、違いもあるぜ。たとえばこの世界には『電話』がある。もちろんあんたらのとこにもあるよな、グラハム・ベルってやつが発明したって話じゃねーか。ただ、私らのとこじゃ違う。『電話』というものはあるが、それを作ったのはグラハム・ベルじゃなく、グラグラ・ハムだ。……なんだ、パクリじゃねーかって? だから言っただろう、この世界は異世界であって、あんたらの住む太陽系のコピーみてーなもんだって」
―― だそうな。
「考えてもみろよ、ダーダネルス海峡を渡るのに、泳いで渡るやつと、船で渡るやつといるだろう。あんたらのベルさんが水泳選手なら、私らのハムは豪華客船ってなわけだ」
―― つまり、「電話」という結果は同じだが、行き着くまでの過程が違うってわけだな。
「ちなみに、こっちの世界のダーダネルス海峡は、もともと陸続きだったのが私ら妖精のパワーで溝ができて海水が流れこんだってことになってる。……まあ、作者のなかでの裏設定のはずだったんだが、ついしゃべっちまったから、表に出ちまったな、はははっ」
―― 爽やかな笑い声である。
ということだ。
この世界の概要はまあこんなもんか。ということで、いよいよ勇者が登場だ。
「俺、勇者。性別はちゃんとあるぜ。教えないがな」
「私ヒロイン。性別は……、もう、それくらい考えてよっ」
さて、ヒロインが魔王にさらわれた。
「きゃー」
勇者は魔王を追っかけて、城の門を叩いた。
「おい勇者、やめてくれ。ダイヤモンドの門だぞ、軽々しく叩くな」
「そうよ、悪いのはこいつ、悪逆非道の精神を有した魔王よ。ダイヤは悪くないんだもーん」
勇者がダイヤの門をぶち壊そうとしたもんだから、もうたまったもんじゃないってんで、魔王は門を開けたんだ。
で、勇者がなかへ入って、魔王、討ち取ったりー。
「キャ、ありがと」
「どういたしまして、田中さん」
「あら、どうして私の名前を?」
「どうして名前を出したかって? 勇者も魔王も名前が出ないんだぜ、せめてヒロインだけでもっていう心遣いさ」
「まあ素敵、ジェントルマンね」
「おいおい、俺の性別は明かさないお約束だろ」
というわけで、めでたしめでたし。




