表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

03.共通 Scene1

「行ってきます!」


 俺はかすみと学校に行く。まさか高校の入学式が人生で二回もあるなんて思ってもいなかった。やはり二回目でも胸の奥から感じる高鳴りは抑えられそうにない。


「ねえ悠樹。悠樹の隣の席は私らしいよ。昨日お母さんが言ってた。」

「えっ、結構楽しみにしてたのに。香奈さんの権力の使い方おかしいでしょ。」

「それはあるけど。悠樹は私が隣だと嫌なの?残念そうにしてるけど。」


 やばい、顔に出ていたみたいだ


「う、嬉しいけど。普通に。」

「普通にって何?あー、早速浮気?ふーん。」

「違うって。かすみが隣なのは嬉しいけど、その、なんていうか隣が誰かっていうわくわく感があるっていうか。」

「つーん。」

「ごめんよ。悪かったって!」


 登校中しばらく話を聞いてもらえなかった。

 校門に着くと玄関とは別の場所に人だかりができていた。


「なあ、あれって保護者の受付か何かか?」

「違うわよ。だって受付は校舎内だもの。」


 じゃあ一体なんだろう。そのときだった。


「そこの男の人!女子生徒が三階から落ちそうになって大変なんです!助けてください!」

「なんだって!?いくぞ、かすみ!」

「本当なら大変ね。急ぐわよ。」


 着いた先には本当に女生徒が今にも落ちそうになっていた。


「かすみ、釣竿は!?」

「あるけどここからじゃ掛けられないわよ?」

「じゃあ俺があの木に登ってあの子の制服に引っ掛ける。後は頼んだぞ!」

「ちょっと。本当にやるの!?……はあ、仕方ないわね。」


 俺はあの子の隣まで登った。


「ハッ!!」


 彼女のところまでジャンプする。


「よし!」


 彼女にフックを掛けることに成功した。

 だが俺はこのとき喜びのあまり気づかなかった。そう、代わりに自分がそのまま落ちてしまうということに。


「あ、あれ?」


 今度こそ死んだな、これは。


「あ、あなた様は……悠樹様!?」


 上から聞こえた声と同時に手をつかまれる。


「悠樹様なのですね!?やっとお会いすることができました!いえ、ここでお会いするなんてきっと運命なのでしょう!」


 なにやら俺のこと知ってるみたいなんだが。


「それよりも大丈夫なの!?さっきそこで掴まってたし腕疲れてるんじゃ。辛かったら離してもいいよ?ここなら離しても大怪我はしないと思うし。」

「いいえ、もう絶対に二度と離しません。悠樹様は私の旦那様なんですから!」


 なんかすごいこと言われてる。しかしそんな大きな声で言ったら……。


「悠樹、何その娘?今悠樹のこと旦那様とか言ってたけど。」


 マジ顔でキレていらっしゃる!?ほんとに覚えてないんだけどな。

 そのときだった。彼女の襟にかけたフックが外れたのだ。


「危ない!」


 とっさに彼女を抱きしめる。


「悠樹様!?」


 なんとか衝撃から彼女を守りきった俺はそのまま気絶したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ