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14.朝比奈・シャーウッド・リリー Scene5

 俺はかすみに手早く説明した。


「なるほどね、だから急いでいると。」

「はい、そうです。」

「そうだ。この前言ったデートまだしてもらってないわね。」

「ごめん、今それだけはやめてほしい。」

「わかってるわよ。仕方ないわね。私の親に連絡してプライベートジェットを使いましょう。どちらにしろここから新幹線なんかじゃ間に合わないわ。」

「ありがとう。……ほんとにありがとう。」


 かすみはやっぱり優しいな。いつも困ってる時に助けてくれてありがとう。


「泣かなくてもいいじゃない。ほんと調子狂うわね。」

「わ、私も感謝しています。ありがとう、花宮さん。」

「当然よ。とりあえず私の悠樹は返してもらうからね。」

「そうですね。ただ私のものになる日はきっと近いですよ。」

「へえ、それは聞き捨てなりませんね。あなたと悠樹さんの関係なんて許婚に比べたら大したものじゃないですよ。」

「勿論、伴侶よりも下です。」

「幼馴染よりもね。」

「本当にそうでしょうか。私は花火を見ながら悠樹とキスを数えられないほどしました。深いほうも勿論。これでも私のほうが下なのでしょうか。違いますよね?」

「この女、飛行機に乗ったら突き落としてやろうか。」


 そうして花宮家の飛行機の乗る。


「急いで何分ですか?」

「三十分で着きますよ。」


 三十分!?はやすぎない!?


「まあ大体こんなものよ。悠樹も私と結婚してくれればこんなもの普通に乗れるわよ。」

「財力で戦うのは卑怯ではないのですか?」

「いいえ、財力もステータスのうちよ。卑怯なわけないじゃない。」

「まあ仕方ないですよ。花宮さんは私たちと比べてスタイルは劣っていらっしゃるのだから。」

「やっぱりそうですよね。」

「確かに。納得しました。」

「よし、お前ら今から全員突き落とすから覚悟しろ。」


 口調変わったかすみは全員を恐怖のどん底へ陥れたのだった。ちなみに俺も被害者の一人だが何があったか正直覚えていない。

 飛行機が着くなり高級車で病院まで連れて行ってもらった。一から百まで何も言わずともやってくれるかすみが誇らしい。


「おばあちゃん!」


 病院に入るなり、リリーがオリヴィアさんに駆け寄る。


「お母さんはどこなの!?」


 きっと俺たちの前では抑えていたのだろう。


「まだかろうじて意識はあるわ。行ってあげなさい。」


 リリーと俺は走る。そしてオリヴィアさんが言ってた部屋に駆け込む。


「お母さん!!」

「あらあらまあまあ……その子がリリーの結婚相手になるのかしら。」

「お、お母さん!!」


 同じ言葉でも伝わる想いって違うんだなって思った。


「確か……悠樹君でしたっけ。娘をよろしくお願いします。電話で話したとおり、父はもうこの世にはいません。だから父や兄、それ以上の関係でもかまいません。リリーをどうか支えてやってくれませんか。」

「娘さんは俺が必ず幸せにします。……だから安心してください。」

「お母さん、本当にいままでありがとう!私、悠樹とのデート楽しかった!お母さんが居なきゃ私、悠樹と出会えてなかったかもしれない。悠樹にはライバル多いけど……必ず幸せになって見せるわ!」

「そう……あなたのそんな顔久しぶり……だわ。悠樹君、本当に……ありが……とう。」

「お母さん!?……お母さん!?」

「は、早く医者を!早く!!」


 それから数時間後、リリーのお母さんは亡くなった。付きっ切りで看病していたリリーと俺だったが意識は回復しなかった。

 俺は泣きはじめたリリーを抱きしめる。そこに言葉なんて必要なかった。

※この作品は決してリリーさんの個別√エンドではありません。本当です。

 あとリリーのお母さんに名前をつけなかった理由は、最初から最後まで『リリーのお母さん』だったからです。どうでもいいことですけど。

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