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真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 作者:ざっぽん
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34話 いつまでも一緒に


 俺は居間でリンゴ酒を飲みながら、リットの帰りを待っていた。

「ただいまー」
「お帰り、遅くまでお疲れ様」
「うーん疲れた」

 フラフラとリットは俺の向かい側の椅子……ではなく、俺に抱きつき、膝の上に座った。

「おっと」
「はふう、生き返る」
「風呂に入ったみたいな言い方するよな」
「あーお風呂いいよね、作るって言ってたのに忘れてた」
「今調べているものが終わったらゴンズに話してみるよ」
「いくらぐらいするんだろうね」

 リットは俺の肩のあたりに顎を乗せ、脱力している。

「そうだ、見てもらいたいものがあるんだ」
「なに?」
「アルがビッグホークの使いからショーテルを貰ったんだよ。それを調べてたんだが、一応リットにも見てもらいたくてね」
「分かったわ、まだディテクトマジックを使うくらいの余力はあるよ」
「ん、じゃあそのテーブルの下においてあるやつ」

 リットは俺の首から手を離しはしたものの、俺の膝からは動かず手を伸ばして袋を取った。
 袋から剣を取り出すと、ディテクトマジックの魔法を唱える、

 ディテクトマジック。
 魔術だけでなく法術や精霊術、一部の前衛系加護の武技にすらある基本的な魔法で、魔力を可視化する魔法である。
 基本的な用途は相手にかけられている魔法による強化や装備している魔法の道具による影響を見抜くこと。
 応用として、魔法の罠を見抜いたり、こうして魔法の道具の鑑定などにも使える。

 もちろん、俺は使えないが。

「両刃のショーテル。刃は紅鋼。柄は黒檀。鍔よりも柄頭の方が大きい。イーゴス島の刀匠の作ね。悪くはないものだわ。Cランク冒険者向けの高級品といったところね」
「魔法はどうだ」
「シンプルな強化の魔法がベースね。刀身の切れ味と硬度を強化しているわ。さらに魔法効果を付け足したり、より強力に強化していくこともできる、これもまたCランクの冒険者が初めて手にする魔法の武器にちょうどいいわ、でも」

 リットはショーテルの柄につけられた宝石をじっと見つめる。

「間違いない。この剣にはロケートの魔法がかかっているわ」

 ロケートとは、かけられた物がどこにあるのかを指し示す魔法だ。
 この魔法で得られた情報は、単に術者に居場所を伝える他、コンパスにつなげて方向を指し示したり、地図と駒につなげて居場所を誰にでもわかるようにしたりといったことができる。

「精霊術が使えると言っても、私の加護は前衛系だし、これの解呪は無理よ」
「分かってるさ。俺も同じ結論だ」

 知識面から調べた俺と、魔法のオーラによって調べたリット。どちらの結果も一致するのなら間違いないだろう。

「ロケートか。好意的に考えるなら、アルに何かあったら助けに行けるようにか」
「それ信じてる?」
「いんや。ビッグホークはそんな“良いやつ”じゃない」

 ビッグホークが盗賊ギルドで成り上がるために行った、数々の“伝説”は、このゾルタンで際立つほどの残虐なものだ。
 その手法から敵も多いため、サウスマーシュ区という自分の領域から滅多に出てくることはないと言われている。

「アルの居場所を知りたい理由があるんだろうな」

 それで高価な魔法の武器をプレゼンとしたのだろう。

「居場所を知りたい理由……」

 いくつか考えられるな。

「っと、悪いな疲れて帰ってきたのに。外で何か食べてきたか? サンドイッチは用意してるけど、食べてないならちゃんと作るぞ」
「サンドイッチだけでいい」
「そうか? ……外で食べたわけじゃないんだな」
「うん、でも今はこうしていたいかな」

 何か、リットの様子が変だな。
 いつもより、なんだか寂しそうというか、不安がっているというか……。

「どうした? 何かあったのか?」
「私達、いつまでこうして一緒に暮らせるのかな」
「いつまでって……」

 やはり何かあったのだろうか?
 リットは今まで見せたことのない不安な表情を浮かべている。

「いつまでもだよ。俺はそのつもりだ」
「本当?」
「本当だよ、俺がリットに嘘をついたことあるか?」
「……ある!」
「え?」
「左の道に遺跡があるって言った! でも右だった!」

 あー! ロガーヴィアで遺跡探索した時のことか!

「あ、あれはだな……というかお互いにどっちが先にエルフの財宝を手に入れるかってやっているのに、相手に聞くやつがあるか!」
「嘘ついたんだー!」

 ぎゅーっと抱きついて、嘘ついた嘘ついたと繰り返すリット。
 俺は苦笑しながら、優しく抱きしめ返した。

「分かった分かった、たしかに俺は自分が得する嘘はつく」
「やっぱり!」
「つまり、俺は自分が得しない嘘はつかない」
「どういうこと?」
「俺はリットといつまでも一緒にいたい。嘘をついてリットから離れる理由がない。だから嘘じゃない」
「……もう、言ってて恥ずかしくないの」
「そりゃもう……すげー恥ずかしい」

 大人しくなったリットは、軽く俺の首にキスをした後、名残惜しそうに離れた。

「やっぱりレッドの料理が食べたい」
「いいよ、じゃっ、さくっと作ってくるから」
「……いつもありがとう。あのね、私も、ずっとレッドと一緒にいたい」
「ならずっと一緒だろ」

 台所に戻る前に、もう一度リットの様子を見たが、やはり少し不安そうだった。
この後の話も含めるつもりだったのですが、ちょっと1話にすると文量が多くなったので次の話に
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